社会: 2011年5月 Archives
年金は本当にもらえるのか? (ちくま新書) | |
鈴木 亘 筑摩書房 2010-07-07 売り上げランキング : 6137 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
今後の急速な高齢化社会や過去の大盤振る舞い・散財で、今まで同様の制度維持が困難となることは誰もが不安に思っている。本書では、そうした年金に関する一般的な疑問を、最近の制度改定やその検討経緯の解説を含めてQ&A形式で解説されている。
年金は積み立てから賦課方式へ変貌したり、制度がころころ変わり分かりにくいが、その変更には素人目に見てもご都合主義で哲学が見えない。物申せるように、最低限の知識や情勢は把握しておく必要があると改めて再認識させられた。
c.f. 「未納が増えると年金が破綻する」
アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新 (中公新書) | |
野中 郁次郎 中央公論社 1995-11 売り上げランキング : 7622 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
1775年に英軍のそれを模して設立したアメリカ海兵隊について、歴史からその海兵隊の意義、そして普遍的な組織(個人)の価値とは何かを分析、まとめ上げている。「失敗の本質」同様、その内容は単に歴史や対象(ここでは海兵隊)だけでなく、現在の身の回り、組織戦略や個々の意義は何か考えさせられる。
空・海・陸軍と違い、海兵隊は常に不要論と共にその存続が危ぶまれてきたため、自己革新を遂げて来たというのが本書の主眼。元は船上の兵士としてスナイパー・切り込み隊だったのが、時代が主砲になると憲兵として、海軍と摩擦が出ると前線基地の防御要員として、そこから強襲に転じて水陸両用作戦を考案・硫黄島、沖縄などで生かす。その後もヘリボーン、そして湾岸戦争など現代では即応部隊として、その価値を変革しながら示し続ける。
海上部隊も、航空隊も、陸上部隊も持つ中、海兵隊の中心は皆ライフルマンという哲学もおもしろい。何をより所にし、何に注目し、何を変革していくか。良書である。
社会の真実の見つけかた (岩波ジュニア新書) | |
堤 未果 岩波書店 2011-02-19 売り上げランキング : 1593 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「ルポ 貧困大国アメリカ」の著者による最新作らしく、前半は9.11以後のアメリカ、特に戦争一辺倒のムードやその陰で改悪が進行していた教育問題を中心にアメリカの問題をさらけ出す。徐々にウィキリークスや日本の問題(昨年の、宮崎で口蹄疫が流行ったときに1ヶ月以上メディアは取り上げなかったのは記憶に新しい)、メディアで報じられているときに裏であった出来事などを扱い、メディアの情報鵜呑みにする危険性に警笛を鳴らす。
本書では新聞・インターネットなどを用いて情報を多面的に収集方法や、選挙の必要性を具体的な事例を出して紹介、1人1人が考える大切さを痛感させられる。子供から大人まで、薦められる1冊。