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空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)
池井戸 潤

講談社 2009-09-15
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空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)
池井戸 潤

講談社 2009-09-15
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老人たちの裏社会老人たちの裏社会
新郷 由起

宝島社 2015-02-10
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既に件数は未成年よりも多くなっている高齢者による犯罪。本書はそんな実態を、万引き、ストーカー、暴行・DV、売春、ホームレス、孤立死(後ろ2つは犯罪ではないが・・・)の事例を生々しく記す。

社会を引退し、孤立していくことで精神的な変化をもたらすのだろうか。いままで全うに生きていたはずの人々による、奇行は目を覆うばかり。本書は解決策まで言及していないが、思うに、人生として”暇”の使い方がいかに重要か。しか現役時代からいかにるに趣味であり、教養を身につけておくかということだろう。

『教養とは自分一人で時間を潰す能力のことである』中島らも
ヤノマミ (新潮文庫)ヤノマミ (新潮文庫)
国分 拓

新潮社 2013-10-28
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南米アマゾンの原生林に原初の暮らしを残すヤマノミ、彼らの元で4回計150日間に渡って暮らして記録したルポタージュ。初期は言葉もまともに通じない人間、彼らに馴染むために必要最低限の人数(著者、カメラマン、彼らの数人が多少理解するポルトガル語の通訳者)での住み込み、慣れないアマゾンの環境、病気や時には死の危険すらあり得る環境下での取材は、並ならぬ覚悟で行ったと推察する。

原初の暮らしとは言え同じ人間、怒りや笑い、悲しみといった感情は持ち合わせていることに、なぜかホッとする。著者も、暮らしはじめこそは時間を気にしていたが、やがて都会の感覚とは異なるゆったりとした時間感覚に気付いて自然の流れに任せるようになったという。しかし、彼らを知るに連れ、独特の死生観、恐ろしさを知るようになる。

夫婦の形はとるが、比較的自由な性。しかしながら現実問題として、家族が居なければ、また居たとしても夫の力量(狩りのスキル)で養える家族の数が決まる。また、障害児が生きていくのは厳しい世界において、時に母は生まれた子供を天に帰すと言う---生まれてすぐに、生かすか殺めるかを決断する。

近年はブラジルが医療や教育を提供する。医療技術の存在を知り、祈祷を施していた長老の権威お低下。お金の存在を知り、また食や生活環境の激変で太る者も出るなど、急速に独自の文化は失われているよう。文明と出会うことで、彼らは何を得、何を失うのだろう。

本日の1冊: 詐欺の帝王

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詐欺の帝王 (文春新書)詐欺の帝王 (文春新書)
溝口 敦

文藝春秋 2014-06-20
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オレオレ詐欺(振り込め詐欺)の頂点にいた人物へ取材を元に、システム金融からオレオレ詐欺へ変遷した歴史、詐欺に関わる人物の素性に迫る。

本書を読んで何よりびっくりしたのは、オレオレ詐欺の頂点に立つ人物が如何に優秀かということ。決して思いつきや暴力だけで成り立っていない、むしろそれらは全く使っていないと言うこと。知識有り、カリスマ有り、論理的に考え、行動している。例えば被害にあう人物の分析に対しては、ノーベル経済学賞のダニエル・カーネマンの理論を理解した上で実践している。---だからこそ、多くの人が多額に騙され、警察に捕まるのは末端だけで決して全容に迫れないのだろう。感想は憎しみや怒り(自分や身近が被害にあっていないというのもあるが)という感情よりも、才能が勿体ないの一言に尽きる。 いる
決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫)
半藤 一利

文藝春秋 2006-07
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広島、長崎を経て終戦へ向けた議論、天皇の降伏聖断。そして8月14日から15日正午の玉音放送までの緊迫した24時間を克明に(一部、史料が不十分な箇所はその旨明記有り)記す。

戦争継続派によって起こされたクーデターによって皇居を占拠されるも、ちょっとしたきっかけから玉音放送を録音したテープリールを奪われなかった偶然によって、承知の通り無事に終戦放送に至る。実は終戦も、ぎりぎりの状況でなしえた奇跡と知る。

国の存続のために降伏を決意した天皇、指導者。同じく国を憂い、降伏を翻そうとクーデターを起こした青年将校、敗戦の責任を感じて自害する阿南陸相。手段や結論としての正しさは別として、共通するのは、登場人物の日本を強く想う気持ちに、心揺さぶられる。
ウルトラマラソン マンウルトラマラソン マン
ディーン・カーナゼス

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2012-02-16
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”この男、いったいぜんたいどうしてここまで走るのか?”
読みながら、読み終えて、すごすぎるの一言が何度思い浮かんだか。

46時間ノンストップで320kmを1人で走り抜いたディーン・カーナゼスの半生+ドキュメンタリー。陸上をやっていた学生時代を経て、普通のビジネスマンになってそこそこの成功を収めているも、あるとき人生の物足りなさから走り始める。

足のツメがはがれ、フラフラになりながら100kmマラソンを完走するも、車に戻って嘔吐、痙攣する凄まじさを記す。だが、その後にはあっさりと翌年も完走したと記載。次は50℃のデスバレー190kmレース。食パンがトーストになる酷暑(熱?)、途中でリタイヤするもこれまた翌年リベンジで完走を果たすとある。更には-40℃の南極でのフルマラソン。

そして最後に320km駅伝レース。当然ながら他の参加者はチーム戦なのだが、チーム”ディーン”、即ち彼だけは1人で走る。道中の困難さや過酷さもさることながら、金曜日の夜に走り始めて日曜日にゴール、そして月曜日には普通に出社して仕事するという。そしておきまりのように、翌年、またそれ以降も同じように完走したと、さらっと書いてあるのだから・・・もう笑うしかない(実際、話の中にはユーモアも多い)。

余談ながら、つい最近ハワイで見られる事象として知った「グリーン・フラッシュ(緑の炎)」について記載があった。フォーズバーからラッキーチャッキー・リバークロッシングに至る、太平洋で拝めるらしい。
米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方
L・デビッド・マルケ 花塚 恵

東洋経済新報社 2014-05-30
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落第状態だったロサンジェルス級原潜を、トップダウンの命令ではなく個々の主体性を重んじるという大凡軍隊には向かないと思われる手法で立て直した実話。

新たな艦に赴任した艦長が取り組んだのは、挨拶から始まり、主体性の重視や権限委譲、ミス防止ではなく理念の共有や技術の向上など、軍隊特有のものは一切なく、組織をリードするに当たって普遍的な事項ばかり。それもそのはず、コヴィー博士の「7つの習慣」や「Whyから始めよ!」等、著名なビジネス書を参考にしているのだから。リーダーだけでなく、担当者のレベルでも、どうプロアクティブに行動するかという点において参考になる。

できすぎと思える程の結果を残すわけだが、そこがまたサクセスストーリーの読み物として面白い。
ルポ 介護独身 (新潮新書)ルポ 介護独身 (新潮新書)
山村 基毅

新潮社 2014-06-16
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ある日、突然やってくる”介護”の現実。そこには同じ大変であっても、子育てとは違った、悲惨の現場が多い。本書ではさらに、孤立しやすい独身者による介護にスポットを当てている。

様々なケースの介護の現場を紹介しており、その重いリアルに、介護を経験してい者としては今まで考えたこともない、あるいは浅はかだったと痛感させられる点多々。当然ながら介護する・される側それぞれの事情や生活があり、単純に介護と言っても千差万別であり、本書を読んだからといって解決策がすんなり出るものではないのは事実だが、迫られていない時にこそ、読んで考えておくべきと感じる。

本書は独身者が介護をする場合の孤立を主題にしているが、孤立という意味では夫婦間の介護でも、あるいは家族から押しつけられている場合などでも発生し、必ずしも独身者に限らないのではないかと感じた。むしろ、独身者が介護される側に回ってからの方が切実なのでは?
死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
門田 隆将

PHP研究所 2012-11-24
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3.11で1F(福島第一原発)で何が起きていたのか。電源喪失した原発に対して、現場に残り必死の冷却やベントなど原子炉をコントロールしようとし続けた、吉田所長・当直長らをはじめ東電の社員、協力会社や消防隊、自衛隊など関係者の活動を記録する。曰く付きの管元首相の来訪、本社との意見齟齬など、現場の対応だけで大変な中、外部に翻弄された様がありありと描画されている。