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新装版 播磨灘物語(4) (講談社文庫)新装版 播磨灘物語(4) (講談社文庫)
司馬 遼太郎

講談社 2004-01-16
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信長の死去、秀吉を天下人として樹立するため扮装する黒田官兵衛。しかし、その後の扱いは、官兵衛の能力に対する嫉妬か、単に考えの違いか、優遇されることはなく隠居する。
秀吉の崩御の後、九州から天下を狙うも、関ヶ原はあっという間に終結する。歴史小説故の、儚さ。
新装版 播磨灘物語(3) (講談社文庫)新装版 播磨灘物語(3) (講談社文庫)
司馬 遼太郎

講談社 2004-01-16
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信長に裏切ったと誤解された官兵衛は、捕らえられ牢獄に幽閉されてしまう。出る頃には体に障害を負い、親しかった半兵衛は亡くなり、半兵衛は身も心も大きく変遷していた。本巻は、登場人物の疑心暗鬼がよく出ており、それらがかみ合ってドラマをなしている。

無実によって幽閉されただけでなく、半兵衛の機転が無ければ子供も殺されていたにも関わらず、怒りへ昇華しない官兵衛の人間性というか、時代性は、今の人間にとっては理解できないものがある。
新装版 播磨灘物語(2) (講談社文庫)新装版 播磨灘物語(2) (講談社文庫)
司馬 遼太郎

講談社 2004-01-16
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信長に謁見、紹介された秀吉との協力関係が始まる。毛利側への工作、未だ小国に拘る主人の小寺藤兵衛との関係。全てが薄氷の上でなされる緊張感が、読む者にも伝わってくる。
新装版 播磨灘物語(1) (講談社文庫)新装版 播磨灘物語(1) (講談社文庫)
司馬 遼太郎

講談社 2004-01-16
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NHK大河ドラマで有名になった黒田官兵衛の伝記。1巻では黒田官兵衛の祖父から登場、父が播州小寺家に伝えるあたりから物語は始まる。世は信長の台頭により、官兵衛も一国に収まらず動き出すのだが、決して自分が天下をとる矢面に立たないおかしさ。
竜馬がゆく〈8〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈8〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎

文藝春秋 1998-10-09
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線香花火。

読後感を一言で言い表すと、そんな言葉が思い浮かんだ。大政奉還を考案するも、土佐藩、薩長、それぞれの思惑で綱渡りが続く中、いよいよ維新の夜明けが見えてきた。そんな最中、ふっと竜馬は居なくなる---暗殺される。竜馬は明治政府の人事素案も考えていたが、そこに自身の名前は書かず、ひょっとして、結末を知っていたかのよう。

また、小説の終わり方も心憎い。これだけの長編、竜馬が居なくなった後も史実なり何なり、余韻を引っ張ることはいくらでもできたであろう。敢えてそうせず、すっぱり終わらせる---読者の中で物語が続くことを知っているかのように。
竜馬がゆく〈7〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈7〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎

文藝春秋 1998-10-09
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単なる剣豪、変わり者だった竜馬が、倒幕に向かって駆けてゆく。いや、倒幕と言うよりも、むしろ新しい日本の創造にというべきだろうか。事実、倒幕を唱える者は竜馬以外にも居たようだが、議会の制定、法治国家など、倒幕の先を見ていた者は皆無だった模様。

薩長同盟は着々と倒幕に向けて力を蓄えていき、自ら起こした海援隊も幕府相手に火を噴き始める。かつて脱藩した土佐も巻き込み、さらに倒幕と血気盛んな連中の中にあって大政奉還という奇手を考え出す。プライドや自分の考えに固持せず、身内・世に迎合することなく、目指す世界へ向けてひたすらな実直さこそ、竜馬が現代でも人々を魅了する所以か。

余談だが、船に見せられ、手に入れた際には子供のように喜び、沈んだり没収された際には家族を失うように悲しむ姿に共感を覚える。自分の場合、差し詰め飛行機だろうか。。。

竜馬がゆく〈5〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈5〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎

文藝春秋 1998-10-09
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池田屋の変、蛤御門の変と、長州藩の動乱、それによる佐幕に傾く過程が描かれる。ここで、勤王的な動きは完全に潰えるかに見える。史実を知っていても、そうした動きは興奮さえ覚える。

さて、竜馬はと言えば、勝により西郷隆盛と出会い、お互い認め合っていく。何気ない小話から始まるも、ここに歴史の偶然、必然を感じさせる描写が、読む者を惹きつける。その勝は、先の変で海軍学校からも長州に加わった土佐浪士が居たことから幕府に呼び戻され、肝心の船は没収される。
さらに竜馬の色恋ありと、読む者を飽きさせない。
竜馬がゆく〈4〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈4〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎

文藝春秋 1998-09-10
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竜馬が海軍育成に苦心、金策に走り回り、いよいよ船を調達する。当時は誰もがすっ飛んでいると思っていた夢を思い描き続け、実現した心境は計り知れぬ。と同時に、尊皇・佐幕といった思想が、如何に小さいことか。いや、当時の人々はそれでも自分の信念に従い、忠実に生きたのだろう(切腹することとなった竜馬の親友、武市もしかり)。そしてその違いは何か、所々にヒントが出てくるが、竜馬に大局を見、時流を読む能力に長けていたの一言だろう。
そんなこんな考えながら、物語は折り返し地点、いよいよ面白さもスピードアップしてくる。
竜馬がゆく〈3〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈3〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎

文藝春秋 1998-09-10
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3巻では勝海舟が登場、めまぐるしく状況は変化し、坂本竜馬の考えも倒幕に定まってくる。1巻と2巻は序章、3巻より物語が始まると言っても過言ではない。破天荒だが凡人が思いつかない構想、大局観など、今まで剣客でしかなかった竜馬の魅力が一気に花開く。
竜馬がゆく〈2〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈2〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎

文藝春秋 1998-09-10
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千葉の道場から泥棒のお供を連れ国へ戻る。黒船以来、尊皇攘夷の勢力と幕府の抗争は次第に大きなうねりとなっていく。特に思想を持たない竜馬であったが、時代の流れに巻き込まれていき、藩ぐるみの抗争に限界を感じる竜馬は脱藩を決意する・・・といった辺りが2巻。

「坂の上の雲」もそうであったが、司馬遼太郎という人は小説を書くに辺り、相当な調査をしているのだろう。たまに”この人物については資料がなかった”という記載にあたり、これはフィクションでなかったと言うことに気付かされる。単なる歴史的事実を超えて、登場人物の人間性から関係まで追求し、まさに登場人物1人1人に魂を吹き込んでいる。故に、読む者を惹きつけるのだろう。

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