Recently in 科学 Category
| 放射能と理性 なぜ「100ミリシーベルト」なのか | |
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フクシマ2011を受けて追記・翻訳された、放射能を考えさせられる1冊。
放射能の安全基準は100ミリシーベルトで必要十分であり、過度な恐怖や感情的・盲目的な意見に一石を投じる。放射線の影響を語る際には必ず線形か否か、即ちどんな微量でも悪影響を受けるか否かが問題となるが、本書では線形理論をばっさり切り捨てる。ヒロシマ・ナガサキの長期にわたる観察結果、チェルノブイリ、種々の実権を通じて、閾値以下の放射線は人間の修復効果により無害(一定量以下の出血が問題ないように)であることを示す。リスクとしてはたばこなどその他の要因を除外すべきでないこと、原子力業務従事者の平均寿命がその他の労働者よりも高いことなど、当然のことから興味深い話まで。その上で、過度な恐怖心から原発のコスト高、火力発電の公害を問題視する。
この理論は何がなんでも原発反対派には受け入れがたいものであり、議論にすらなり得ないだろう。しかし、3.11の後にメガソーラーを掲げた孫ソフトバンク社長や県内200万世帯のソーラー発電普及を公約に謳った岩神奈川県知事が最近になってトーンダウンや公約撤回したことからも分かるように、感情的で千慮欠いた思考は何も問題を解決しないことを改めて思い知らされる。
尚、本書はヒロシマ・ナガサキの追跡調査やチェルノブイリなどの事例をどこまで著者が確認したのか、各種記述についても逆に原子力のデメリットに盲目的と感じ得ないが、今(これから)のエネルギーを考える上で読む価値ある1冊。
P.S. P.189にある最新のアレバEPR(ヨーロッパ加圧水炉)ではメルトダウンした炉心融解捕獲区画が設けられているように、福島のメルトダウンも原発=悪というより、古い(50年も前の)設計の問題であることを多くの人も知るべきであろう。でなければ、何が安全で何が危険か判断できない。
| ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書) | |
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「死」という永遠のテーマを、細胞レベルのメカニズムから生きるための「死」という観点で千慮されている。
細胞には自らを殺す自死(アポトーシス)というプログラムがあらかじめ組み込まれている。個々の細胞が個体全体を認識し、不要な細胞が自ら死んでいくことが個体を個体として統制しているという。オタマジャクシがかえるに生まれ変わるように。また、細胞の生まれ変わる回数は種によって予め決まっており、人間だと50~60回、すなわち人間の寿命を迎えることになる。死は進化のためにも必要なプロセスであり、細胞レベル、個体レベル、そして星、宇宙まで万物に誕生~寿命を迎える仕組みがそなわっていることは、神秘的ですらある。
さらに本書では、死から病気への治療法、すなわち生への展望を説く。ガン細胞は日々生まれて消滅していく中、消滅しない細胞がガン発症になるという。それら異常をきたしたガン細胞、あるいはHIVウィルスなどにアポトーシスを組み込むことでガンやAIDSの治療とすることの可能性に、ある種のロマンを感じる。
| 粘菌 その驚くべき知性 (PHPサイエンス・ワールド新書) | |
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知性という言葉がどう控えめに見ても適用できないと思われる単細胞のアメーバ状生物、粘菌。本書は粘菌を対象とした実験から、その合理的行動、迷いといったものを示し、”知性”とは何かを問いかけてくる。
例えばえさを配置した迷路で最短経路を行く、苦手な物質を避けるなど、これらは感覚か、知性か。実験の中でも興味深いのが、関東の地図上で各都市にえさを配置し、東京(ちょうど新橋から電車が始まったように)の位置に粘菌を置いた実験。粘菌の伸びる経路は、まさにJRの路線図そのものになっている。
著者は不名誉(?)なイグ・ノーベル賞を受賞されたが(最も、著者は喜ばれている模様)、本書の内容はカーナビの経路設定や輸配送経路設定問題との考察など、実利にも富み奥深い。
| 図解・感覚器の進化 (ブルーバックス) | |
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珍しい、感覚器全般の専門書。人間だけでなく蚊やミミズ、魚に鯨、モグラ・・・様々な動物から、さらに時代の流れによる進化、及び退化まで、感覚器を考察する。”進化の逆戻りはない”ことから、1度陸に上がってからまた海に戻った鯨やいるかはどう進化したか、ミミズはどう感じるか、コウモリが暗いところでも飛ぶ仕組み、などなど、これほどまで感覚器を網羅的に扱った本は希であり、興味深い。
残念なのは(本書の内容ではなく)、いくら知識として得ても、それら動物がどう探知しているかまでの理解で、どのように感じているかは決して理解できないこと。これは欲張りすぎだろうか。。。
| かぜの科学―もっとも身近な病の生態 | |
![]() | ジェニファー アッカーマン Jennifer Ackerman 早川書房 2011-02 売り上げランキング : 70546 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
もっとも身近な病、「風邪」。種々の研究はされど、未だ予防と完治の特効薬がない「風邪」。本書は、その風邪に対する様々な実験(中には、風邪の人のウィルスを鼻に塗りたくるなど考えるだけでおぞましい物まで!しかし、それらの被験者は後に良い思い出どころか、人生の友人・伴侶をそこで得ていたりするというからわからないものだ)や研究の歴史を通じて、風邪に対する理解を深める。
空気感染ではなく(インフルエンザは空気感染)接触感染、それも汚染された手で顔を触ることで伝染する、サプリメントやビタミンCは効果がない、など、なかなか興味深く、知らなかった、自分の誤った知識に気付かされることもいくつか出てくる。但し、後者については偽薬でも信じることで効いてしまうプラシーボ(ラテン語で「私は喜ぶだろう」という意味 P.199)効果もあり、難しいところ。
科学の本だが、愛情の類を否定するどころかその効能も認め、最後にはお母さんの風邪の食事レシピなども掲載しているのが、読む人を和ませる。
| 図解 次世代エネルギーの基本からカラクリまでわかる本 (洋泉社MOOK) | |
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そもそもの出発点、エネルギー保存の法則から始まり、各種発電方式の仕組み、グローバルな政治・業界状況、メリット・デメリットと、国際的な趨勢と、俯瞰的に理解できる。見開き2ページで解説と図表が半々の面積を占め、さらっと読める。
原発問題の是非と盲目的な再生エネルギーへの転換主張が世を埋め尽くしている今だからこそ、読んでおきたい1冊。
以下、備忘録。
(P.165)
デジュール標準:「デジュール」はフランス語で「法にあった」の意味。ISO、IECなど。
フォーラム標準:「フォーラム」はもともと「公共的な広場」の意味、DVDなど。
デファクト標準:「デファクト」はフランス語で「事実上の」の意味。Windows、VHSなど。
| 巨大翼竜は飛べたのか-スケールと行動の動物学 (平凡社新書) | |
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巨大翼竜が飛べたのか否か、タイトルでの問いに対する著者の回答は最終章まで登場しない。最初に断り書きがあるとおり、少し拍子抜けさせられる。が、読み始めると著者の着眼点、研究に対する熱意にぐいぐいと引き込まれる。
速度、深度などを計測する「データロガー」をペンギン、うみがめ、アホウドリなどに取り付けることで、それらの行動を記録。そこから、体重と羽を動かす周期・速度などとの関係を明らかにしていく。導き出した公式も掲載しているのだが、それらは平易な文章で記述されており、素人でも、なるほどと納得させられる。
所々、研究者の裏側をかいま見られるようなコラムも。
それらを読んでいくうちに、ぐいぐいと著者の世界へ引きずり込まれる。そして最終章。さて、巨大翼竜は飛べたのだろうか?
P.S. 以下の後書きが3.11東日本大震災との関連を想像させられ、非常に気になる。読み終えてHPを確認するが、著者らは無事だった模様。
2010年12月、この時季にしては妙に暖かい岩手県三陸沿岸にて (P.279)
| 言葉はなぜ生まれたのか | |
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カラーイラスト多く、絵本のようにさらっと読めるが、内容はなかなか奥が深い。
研究結果として、
・ことばの4条件
・上記4条件のうち、いずれか1つをもつ動物の紹介
・ことばの発祥から現代までの歴史
がロジカルにまとめられている。主題であることばの理解もさることながら、疑問→仮説→検証のステップの実例として、物事を単純化して表現する例として、様々な視点で参考になる。
シンプルだけど奥が深い、奥が深いけどシンプルな1冊。
| 人はなぜ逃げおくれるのか ―災害の心理学 (集英社新書) | |
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”人は災害が起こったとき人々はパニックになる”---一般的な常識であるが、それは正しくないという。火事などが発生しても「たいしたことありません」とパニックを恐れ施設側、他人事と軽視する人々。本著では様々な災害事例とともに、生き残るために必要な条件を考察する。紹介される事例は各国の天災、函連絡船「洞爺丸」の沈没、開拓時代に西海岸を目指し越冬する人々など、バラエティに富んでいる。また、阪神大震災の事例を始め、PTSD、災害ボランティアなど身近に関係する情報も多面的に紹介されている。
数ヶ月前に図書館で予約して本だが、東日本大震災を契機に現状の理解、津波や地震に対する防災のあり方について、考えさせられる。
以下、末梢だが備忘録として。
・パニックはギリシャ神話、「パン」という半獣神の名が由来。(P.15)
・日本語には、英語のサバイバーに対応する言葉がない(P.152)
→英語ではSurvivor(生存者)だが、日本語では”被災者”とNegativeな言葉となる。
| みんなが知りたい南極・北極の疑問50 南極点の標識が毎日移動しているって?南極の地下にある地底湖の正体とは? (サイエンス・アイ新書) | |
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南極・北極を対比しつつ美しいカラー写真と共に解説。気候・地理・動植物の生態・歴史といった基礎的な話から南極に多い隕石やオーロラの仕組みといった宇宙にも関連した話、南極の昭和基地の生活・南極の地底湖・南極の地表が々動くため南極点も日々異なるといったネタ的な話まで、まさにタイトルの通り北極・南極のことを広く把握できる入門書として最適な1冊。










