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墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社プラスアルファ文庫) 飯塚 訓 講談社 2001-04-19 売り上げランキング : 1634 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
1985年8月12日に御巣鷹山で墜落したJAL123便。本書は、127日間に及んだ身元確認のうち、特に藤岡市内の3つの体育館で指揮した方による、警察・医者・看護師の47日間にわたる記録が主となる。
初めこそ完全な遺体もあったが、その後は部分遺体ばかり、別の人の
頭蓋骨が埋まっていたため目が3つあった頭部、焼けて煤のみとなった皮、大量にわいてくる蛆虫、そして猛暑の中の体育館で連日・連夜明け方帰宅で、体には腐臭が染みつき外にも出られず、文字通り過酷を通り越して極限状態の作業だったことがわかる。例え指1本でも、ここまでして身元を確認する執念に、ただただ頭が下がる。
一方で、結論が早急と感じる場面も多々あった。遺体の確認にこだわるのは日本くらいとし、アメリカなど海外ではその考え方が理解されないとしているが、諸外国でも遺体を回収する考え方はあるので一概にそうとも言えないのではないか。また、後半からは日本、警察、自信の自画自賛的な描写が気になった。遺体から婚約指輪を紛失した際、遺族に辞職で責任をとると謝罪して最後は理解してもらえたと書いているのだが、原因が何も書かれておらず、安易に精神論で対応しようとしていることに、警察の一面をみた気がした。
安全・快適エアラインはこれだ (朝日新書 41) | |
朝日新聞社 2007-04-13 売り上げランキング : 649435 おすすめ平均 報告書的で読みもの的面白さには欠けるが・・ 安全面から見た航空機の雑学本 フライト中に楽しめる本ではないようです Amazonで詳しく見る by G-Tools |
各種ランキングを紹介するも、著者としての結論が出ているわけでもなく、少し消化不良であった。安全・快適の章では380の脱出テストを紹介していたり食事を紹介したり最新設備紹介したり、航空会社ごとの快適なシートを掲載するWeb(URL)を紹介したり(P.168)、中には航空管制の話を出したり(タイトル通り趣旨はエアラインの比較なはずで、ここで航空管制が出てくるのは少し違和感)。良くも悪くも雑学集。
航空ジャーナリストの事故分析関連の著書は得てして、豆知識のパッケージになってしまうのか、誰に、何を訴えたいのか、論点がぼやけてしまうように感じる。
肩肘はらずに、雑学集として読めばいいのだろうが・・・。
エアライン・クライシス―なぜ信じられない事故が起こるのか (平凡社新書) | |
平凡社 2002-04 売り上げランキング : 668382 おすすめ平均 種々の航空事故を把握するにはいいが・・・ 内容に重みがない 飛行機に乗る前に Amazonで詳しく見る by G-Tools |
今昔東西、様々な航空事故を紹介。が、本としては話の流れに論理性がなく、個々の事故の分析も軽薄。
まず論理性という意味で、話の始まりが”クライシスの始まり”ということで9.11によって航空の安全が覆されたと謳っている。にもかかわらず、本編は過去の”信じられない”事故の事例紹介や、古い機体の危険性・特定の機体の結果説明に終始する。そして話の結末も、局所的な結論である。
個々の事故では、因果関係が確定していない物や、恣意的な報道等をそのまま掲載しており、多面的な分析がほとんどなされていない。例えばB777のために洋上飛行ルールをFAAが規制緩和した点を、エアバスが安全性をないがしろにしていると批判した点について、”もしエアバスの主張が正しければとんでもないことである”と早急に結論づけている。しかし、(アメリカのメーカーよりなルール変更の是非は別として)ルール変更による事故が2010/3現在、出ていない点からもルール変更による危険性の増加は認められない。
その他、気になる点多数で、残念な内容だった。