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「学力」の経済学 中室 牧子 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2015-06-18 売り上げランキング : 70 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
教育の科学とも言うべき1冊。データに基づいて効果のある教育の仕方を説く。教育の世界に限らないが、憶測や主観で判断される議論は不毛以外の何ものでもないが、悲しいかな、日本の教育の世界では未だにそれが主流である。本書ではゲームの影響、褒めることや少人数学級の是非などの論点を、主にアメリカの研究成果(うらやましいことに、向こうでは30年単位で追跡した実験結果がある)から方向性を導く。
親はもちろん、教育関連に関わる行政、政治家の方々にも(僭越ながら)ぜひ読んで頂きたい一冊。
自分からどんどん勉強する子になる方法 杉渕 鐵良 すばる舎 2015-02-19 売り上げランキング : 654 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
小学生から中学生くらいの子供を持つ親を対象に、どのようにすれば子供が勉強に興味を持つか、自らやるようになるのか。子供が勉強をやらずにTVゲームなどに傾倒するのはそもそも勉強が楽しくないので、楽しくする方法を具体的に説く。
ポイントは、
・何より興味を持つ必要があり、ゲーム形式や親と一緒にやるなど、楽しい仕組みを作る。
・勉強した時間よりも集中に重きを置き、細切れで行う。最初は1分でも構わない。
・スポーツと同様、考えなくても手が覚えるよう繰り返しやる、勉強につまずいたら中学生でも小1レベルに戻るなど、基礎力を重視。
とある。小生は子供の集中力や自発力に興味を持ったのだが、親自身もいっしょにやるべきという指摘には十分できていないと反省するとともに、最近できていない自分の学習に対しても、細切れ時間や反復などは考えさせられた。
親が反対しても、子供はやる 大前 研一 PHP研究所 2007-12-07 売り上げランキング : 57255 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
自身2人の息子を持つ大前研一氏。その独特かつ自由な子育て論は、経営コンサルタントとしての大前氏と同様、斬新かつ本質をついている。特に変化の早い時代では、先生(=先に生まれた人)の意義は知識を教えることから、一緒に考える人という言葉は、親にも当てはまる。
一方で、受験勉強など詰め込み教育には反対だが現段階で人物を評価するもっとも公平な手段である以上(それに引き替え、A.O.入試の散々たる結果は言うに及ばず)、子供にはTVゲームやらせよ(注:息子の一人はTVゲームに関わる会社で働く)という主張は、万人向けのメッセージとしては疑問がある。
遊ぶ奴ほどよくデキる (小学館文庫) 大前 研一 小学館 2008-11-07 売り上げランキング : 41777 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
人生を楽しむべきという大前研一氏のメッセージが伝わってくる1冊。クルーザー別荘、書斎などわくわくするようなネタから、散策やグルメ旅行など身近な話も多い。また、子育て論や家族について書かれており、オフ論としてビジネスマン(特に、仕事一筋になりがちな40代以降?)必読の1冊
小生自身、会社(仕事)一筋の人生を送っていないので、そのような人生を送っていると退職後に空しい時間を過ごすことになるといった危機感はまったくピンとこない。ので、共感や興味をもったポイントを備忘録がてら記す。
・仕事の利害関係の無い人と”パブ型”で飲もう。(P.155~)
・「隠れ家」を2軒持てば人生が豊かになる(P.165~)
ちょっと大人っぽい、外飲みの方法。最も、前者のパブは、日本ではパブリックビューイングなどイベントでもないと発展しないように感じたが。
・学習机というコンセプトの商品は、じつは日本にしかない。(P.189~)
雑誌「プレジデント ファミリー」でも提唱されていたが、子供の勉強はダイニングでやることを提唱する。日本では子供部屋と学習机が入学時に用意されることが多いが、これは固定観念的と感じていたので、非常に共感した。
・テレビを見ながらの食事が家庭を崩壊させる!(P.190~)
崩壊とは大げさな気もするが、団欒の場で一同が黙々とテレビを見て食事しているところは多いが、これは非常に奇妙に感じる。最も、最近は食事中のスマホも同列になるだろう---子供の食事中に、つい手に取ってしまうことがあるので自戒の意味を込めて。
仕事も家事も育児もうまくいく! 「働くパパ」の時間術 栗田 正行 日本実業出版社 2012-05-26 売り上げランキング : 154811 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
家族だけでなく仕事や自己啓発など自身のことも含めてどうコントロールするか、本書はそんな問いに対する解の1つとなりうる。冒頭の”今、この本を手にしているあなたは、それだけで十分、すてきなパパです。だって、職場や家庭で忙しいにも関わらず、この本を読んでパパスキルを上げようとしているんですから。”からして、著者の人間性が垣間見える。教師という本職の通り、人(子供、生徒、そして想定される読者=パパ)の人生をよりよいものにしようとしているのだから。
内容は時間術に始まり、子育てのTipsやママとのコミュニケーションの重要性、自身の自己投資の必要性と方法など、幅広く含んでいる。そして書籍に至るまでに、種々のPDCAサイクルを回してきたのだろう、軽く書かれているものの、思慮深さを感じる。また、参考書籍や著者が利用するオーディオブック、お薦め文房具などアイテム類にも話は及び、肩肘張らずに楽しめる。
5歳までに決まる!才能をグングン引き出す脳の鍛え方・育て方 成田奈緒子 すばる舎 2010-05-20 売り上げランキング : 186232 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
専門家の著者が言うことなので、いろいろ参考になることが書いてあるように感じるが・・・いくつか書かれていることに疑わしい点、誤りがあり、このまま読んで信じていたら、イソップ童話の"ろばを売りに行く親子"になると感じた。
例えば、”「残しちゃダメ」で摂食障害になることも!?”と言って残すことを母親に怒られ食事が恐怖となった子供の例を紹介しているが、それがどれだけ発生していることなのか、そもそも因果関係を考慮しているのか。偏食を是とする主張には、大いに疑問が残る。
そしてもう1点、早寝の根拠として"成長ホルモンの分泌は夜11時頃から午前2時頃にかけてみられますが(略)”としているが、これは典型的な都市伝説である。そもそも成長ホルモンは1950年代に高橋康郎氏が発見したもので、成長ホルモンの分泌は決まった時刻ではなく寝入ってからの時間が影響するという報告をしているのだが、その中で寝入った時刻が遅かったときに通常よりも成長ホルモンの分泌が少なかったため、(有意な差がないにもかかわらず)特定の時刻に分泌すると後生の人間が解釈して、広まっていったものである。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC297368/
これらから、著者はどこまで専門家としての知識があるのが、正直疑わしい。
カリスマ・ナニーが教える赤ちゃんとおかあさんの快眠講座 ジーナ・フォード 高木 千津子 朝日新聞出版 2007-03-22 売り上げランキング : 1879 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
赤ちゃんが泣いたらおっぱいか寝かしつけを探り、後者なら揺らして寝かしつけ・・・今まで当たり前と思っていたことが、真っ向から否定されて、まさにコペルニクスの天動説的なショックだった。
著者はナニーとして数々の赤ちゃんを見てきた経験から、赤ちゃんの要求に応えるディマンドフィード(Demand feed)方式より、スケジュールに赤ちゃんを合わせる方が、赤ちゃんも親も楽になると主張する。そして、月齢ごとに適切と主張するスケジュールを提示する。
本書は母親向けに書かれているので授乳の部分が多いが、睡眠など父親でも参考になるところはある。本書に従い(妻が)スケジュール通りに試したところ、昼寝の時間になったら暗くしたベッドへ連れて行くだけで自然と寝てしまったのには感動すら覚えた。もちろん、今でも夜泣きは多いし、うまくいかないこともある。しかし、今まで泣いている赤ちゃんを抱えてスクワットしたりしていたのがアホらしい。。。赤ちゃんの育児は奥深い。
10歳までが勝負!「生きる力」をはぐくむ子育て 高濱 正伸 SSコミュニケーションズ 2007-10-25 売り上げランキング : 78669 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
子供に必要なのは「生きる力」、それを要素分解すると「知識や技能を身につけ活用する力」、「学ぶことへのやる気や意欲」、「自分で考える力」、「自分で判断する力」、「自分を表現する力」、「問題を解決し自分で道を切り開いていく力」だと言う。最近の教育論、非認知スキルとも重なる部分多く、共感持てる内容が多かった。
タイトルの”10歳までが勝負”の理由が最後の方(P.187~「つ」のつくうちは神の子)に書かれているのだが、その内容がへぇーであった。つまり、ひとつ、ふたつ、・・・、ここのつと「つ」がつく9歳までは神様が育ててくれるから、大人があまり介入するなと言う。親自身が本を読む、勉強すべきというのは頷くところ。その他にも、ダメなものはダメという、子供部屋で勉強させない、干渉しすぎると子供は伸びない、不自由な経験をさせる、など多くの実績がある話が分かりやすく書かれている。
一方、外遊びを殊更強調されているのは疑問だった。虫や生物に触れる利点はわかるが、それが学力にも影響するのは本当だろうか(真実だとすれば、外遊びが多い昔や、田舎の方が学力が高くなるということになる)。犯罪が多くなっているような印象操作も感じられるが、外遊びの多かった昔の方が少年犯罪は多かったわけで、単に”昔は良かった症候群”に感じられた。
成功する子 失敗する子――何が「その後の人生」を決めるのか ポール・タフ Paul Tough 高山真由美 英治出版 2013-12-19 売り上げランキング : 1050 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
貧困・教育問題を専門に扱ってきた著者による、最新のアメリカ教育理論で、NYタイムズや成毛氏が絶賛していたので読んでみる。
成功というと大げさだが、何が子供の人生の充実度を決定付けるかという点について、考えさせられる1冊。最近の研究によると知識や知性よりも、非認知的スキルと呼ばれる性格面の能力、具体的には粘り強さや自制心、好奇心、誠実さ(勤勉さ)、ものごとをやり抜く力が大きく影響することが分かってきている。これは、『本日の1冊: 親と子の「伝える技術」』でも同じ事を言っていたが、こちらはさらに踏み込んで書かれていて、実際に行われてきたプログラムとその結果を紹介する。
読んでまず頭に浮かんだのが、同様に好奇心や集中力・持続性・楽観性・リスクテイキングが人生のキーファクターであると説く Planned Happenstance Theory だった。つまり、教育・育児だけでなく、大人にも非認知的スキルは有効と言えよう。
日本の教育は未だ主観・経験に基づく点が多い反面、システマティックに体系立てられているアメリカの教育論もウォッチしていく必要性を強く感じた(アメリカは、昔は黒人の知能が低いという常識があり、人種による知能を検証してきたため、今では客観・体系的に整理されているのだろう)。
親と子の「伝える技術」 三谷 宏治 実務教育出版 2013-05-14 売り上げランキング : 123987 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
どこかで読んだことあると思えばそのはず、本書は「一瞬で大切なことを伝える技術」の親子版とのこと。前書で書かれていた具体的・抽象的×事象・心象の2×2のフレームワーク(中身は割愛)を、曖昧・ハッキリ×現象・気持ちと言葉を置き換えていたり、寸劇(?)の挿絵写真も多用されており、著者がさらにわかりやすさを追求しているのがわかる。
ほんのさわり程度ではあるが、ハーバード教育大学院のVisible thinking(思考の可視化)の紹介をするなど、ただ軽いだけでなく理論も学べる。
理論というと難しく考えてしまいそうだが、ほめた回数を数える、ルールを紙に貼る、など具体的で簡単なアクションに落とし込んでいて、さらに子供のように”できた”シールまで付録としてある。
近年の非行や若年鬱は、親や周りの大人が過干渉であることが多いというのも興味深い(P.148~)。子育ての目的・目標は何かと答えられる人はどれくらいいるのだろう。つい目先を見てあれもこれも気にしてしまいがちだが、長期的な視点、高い視野を持つように意識したいと、自戒した1冊だった。
以下、読後メモ。
バーバラ・フレドクリソンはポジティブ心理学において、人はポジティブさがネガティブさの3倍を超えると成功すると発見した。但し、ネガティブさも必須。ゼロだと暴走して失敗する。(P.102)