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ビジネスモデル全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)ビジネスモデル全史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)
三谷宏治

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2014-09-18
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ビジネスモデルを解説する書は枚挙に暇がないが、本書は歴史観点から考察しながらも、一話ごとに完結し読み物として独立しているのがいい。1400年代の金融概念から、1900年代に入って誕生したトラベラーズチェック、20世紀のジレットモデルや、コンピュータのIBMによる水平分業、任天堂、21世紀に入ってAppleの垂直分業、フリーミアム(そろそろ衰退しているが・・・・)とコンテンツは「全史」と言うにふさわしい。

難点は、価格か。厚みはあるものの空白部分の多い本書は、3000円を超える価格が妥当か迷うところ。欲を言えば、学生でも買える2000円以下が好ましいと感じる(本書はその厚みゆえ、Kindle等の電子書籍の方が利便性が高い)。
CIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できるCIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できる
J.C.カールソン 佐藤 優

東洋経済新報社 2014-06-27
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人心掌握、交渉など、CIAの技術を限りなく普遍化して抽出されており、通常のビジネス書として読める。CIAの逸話も所々内包されており、そうしたスパイものを好む人にも楽しめる。
[カラー改訂版]頭がよくなる「図解思考」の技術[カラー改訂版]頭がよくなる「図解思考」の技術
永田 豊志

KADOKAWA/中経出版 2014-01-28
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図解のものごとをなぜ図解する必要があるのか、その目的や意義から、技術、そして習得するためのアドバイスまでおりこまれている。この類の本は理解するのと実践できるのには大きな壁があるが、本書でもとにかく実践の必要性を説く。
技術面では、基本として四角と矢印から始まり、フレームワークやアイコンといったTips的なものまで書かれており、シンプルな中にも奥深い内容が盛り込まれている。
プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術
永田 豊志

KADOKAWA 2014-05
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初めてプレゼン資料を作成するとなると、自分もそうだったが、ついPowerPointに箇条書きから始めてしまう。まずは”考える”と言われるが、では何をどのように考えればいいのか。また、なぜつまらない・眠くなるプレゼンとなるのか。本書はそのような問いに対し、シンプルに、わかりやすく解を示す。

基本の型、現状と将来を示し、その間を埋めるのが提案というシンプルな図式で、何度も表す。そして言葉こそ出さないが、演繹法・帰納法を盛り込みながら、いかに内容を濃くするかが図示される(この、図で示すというのがわかりやすさのポイントだろう)。

後半では時間配分やスライドの基本的な型、スケジュールなどの表現の仕方から、アイデアの出し方まで満載。
次の会議までに読んでおくように! ~モダンミーティング7つの原則次の会議までに読んでおくように! ~モダンミーティング7つの原則
アル・ピタンパリ 阿部川久広

すばる舎 2013-02-16
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効率的な会議の推進のためにどのようにすべきか。意見交換や情報共有など、会議で行われることは多々あるが、本書では会議を決定の場、アクションプランを出す場と言明する。

原則とは、意志決定をする、時間通り、出席者を制限、準備不足を許さない、アクションプランを創り出す、情報はシェアせず資料には事前に目を通す、ブレインストーミングを併用する、の7つ。準備を怠らない、時間通りなど、(できているかは別にして)誰もが意識するだろう事から、出席者を制限のように人(会社)によってはカルチャーショックとなるものもある。サブタイトルに”原則”とあるが、最後のブレインストーミングなどはどちらかというとTips集に感じる。

本自体は非常に文章が少なく、ものの30分もあれば読み終えられる。
レゴはなぜ世界で愛され続けているのか 最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理レゴはなぜ世界で愛され続けているのか 最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理
デビッド・C・ロバートソン ビル・ブリーン 黒輪 篤嗣

日本経済新聞出版社 2014-05-22
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私自身、80年代にこよなく愛したレゴのストーリー。今でこそレゴショップをアウトレットモールでも見かけ、変わらぬ姿を見せるが、90~2000年代初頭にかけて経営危機に瀕していたことは驚愕。レゴブロックの著作権失効、デジタルの台頭、その時代に出していた方針ブレブレの商品群を見て納得。本書はレゴがどのように誕生して有名になったか、そしてどのように危機を乗り越えたが綿密に記されている。

レゴの本質とは何か?レゴが問い続けた、また一時忘れてしまった重要な要素はまさにこの一言に過ぎる。著作権が切れたことで安い同等製品が氾濫し、子供達はTVゲームなどに夢中でブロックは古い遊びになることで、レゴは迷いが出始める。さらにコストを意識しない開発やレゴランド、ショップの展開などでレゴは2003年頃には瀕死の重体になっていた。

そんな中、想像する喜びやストーリー性の追求、子供が何に興味を持つかという現場主体によるリサーチなどによって、劇的な復活を果たす。副題にもある、7つのイノベーションとは、レゴが復活するために成し遂げてきたことを記している。

本書を読んで、レゴショップを訪れたら、またレゴで遊びたくなった。
ロジカル・セリング ―最強の法人営業 (BEST SOLUTION)ロジカル・セリング ―最強の法人営業 (BEST SOLUTION)
近藤敬 斎藤岳

東洋経済新報社 2010-11-26
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「営業」を語るにあたり、体力・気合い・根性論的なものはさすがにナンセンスだが、ここまでロジカルに書かれた本をみたことがなかった。成約というゴールへ至るまでに超えなければいけない2つの壁「悩みの壁」「人の壁」、具体的には「顧客の根本的な悩みは何か」と「キーパーソンは誰なのか」という情報を探るためのノウハウが、ロジカルに説明されている。

本書で解説されているテクニックを練習するための題材として、実際の商談をベースにした問題も掲載。営業としてのスキルアップはもとより、受注に至るための仮説力と検証力を総動員するプロセスは、応用範囲が広い。
外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック外資系コンサルのスライド作成術―図解表現23のテクニック
山口 周

東洋経済新報社 2012-10-19
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プレゼンのスライド、所謂PowerPoint作成に必要な知識を、1スライド・1メッセージといった基礎的なお作法から、情報の取捨選択基準となるフレームワークなどコンサルらしいレベルまで学べる。最後には実際に改善案を検討する問題が収録されていて、(多くの人がそうであろう)読んでわかった気になるだけでなく、実際に使えるように頭を使うところまであるのが良い。

とても残念だったのが、Kindle版だけかわからないが、誤植が散見された。
マッキンゼー―――世界の経済・政治・軍事を動かす巨大コンサルティング・ファームの秘密マッキンゼー―――世界の経済・政治・軍事を動かす巨大コンサルティング・ファームの秘密
ダフ・マクドナルド 日暮 雅通

ダイヤモンド社 2013-09-21
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マッキンゼーの設立から今日まで、成長や変遷の経緯を時のMD(マネージングディレクター)を中心に纏めている。”秘密”という日本の副題から実際の案件の詳細や裏話を期待させられるが、どちらかというと歴史的な話なので原題の”Story”の方が近い。また、大前研一氏についてもマッキンゼーとしての評価が詳しい。

100年単位でマッキンゼーの歴史を知ることで、経営の複雑さを考えさせられる。即ち、昔はクライアントの業績を躍進させていたものの、今では必ずしもそうなっていない。ではなぜ、企業はマッキンゼーを雇うのか---フォーチュントップ100の2/3がマッキンゼーのクライアントだという。本書ではその解が、マッキンゼーを雇うことがステータスであり企業のブランドイメージであるという。だからこそ、BCGやアクセンチュアなどと違い高額フィーを維持し続けているのだろう。

最後には、ITに乗り遅れ苦戦を強いられていること、クライアントのためになっているのか疑問を呈して終わる。
ハーバード流交渉術ハーバード流交渉術
ロジャー フィッシャー ブルース パットン ウィリアム ユーリー Roger Fisher

阪急コミュニケーションズ 1998-03
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交渉というゲームを研究結果から理論構築した1冊。単に理論だけではなく、1978年キャンプデービッドでの中東和平や、1981年イラン人質奪還作戦などでも適用されていることから、経営学等で習得コースになっているのも納得する。

人と問題を切り離す、立場でなく利害に注目するといった原理原則から、相手のパターンや出方に応じた戦術など、人間関係に絡む全ての活動に有益である。こうした理論武装したアメリカに対し、空気や感情・立場で交渉をしていた日本が、1980年代の貿易摩擦などでいいようにされたのも頷ける。

名著ではあるが、如何せん、古いのが気になる。一応”新版”とあるが、今では”BATNA”として有名な単語を”不調時対策案”と訳されていて、一瞬、理解が進まなかった。