本日の1冊: ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書)
ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書) | |
田沼 靖一 幻冬舎 2010-07 売り上げランキング : 28341 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「死」という永遠のテーマを、細胞レベルのメカニズムから生きるための「死」という観点で千慮されている。
細胞には自らを殺す自死(アポトーシス)というプログラムがあらかじめ組み込まれている。個々の細胞が個体全体を認識し、不要な細胞が自ら死んでいくことが個体を個体として統制しているという。オタマジャクシがかえるに生まれ変わるように。また、細胞の生まれ変わる回数は種によって予め決まっており、人間だと50~60回、すなわち人間の寿命を迎えることになる。死は進化のためにも必要なプロセスであり、細胞レベル、個体レベル、そして星、宇宙まで万物に誕生~寿命を迎える仕組みがそなわっていることは、神秘的ですらある。
さらに本書では、死から病気への治療法、すなわち生への展望を説く。ガン細胞は日々生まれて消滅していく中、消滅しない細胞がガン発症になるという。それら異常をきたしたガン細胞、あるいはHIVウィルスなどにアポトーシスを組み込むことでガンやAIDSの治療とすることの可能性に、ある種のロマンを感じる。
0 TrackBacks
Listed below are links to blogs that reference this entry: 本日の1冊: ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書).
TrackBack URL for this entry: http://nakakura.net/movabletype/cgi-bin/mt-tb.cgi/560
Leave a comment