科学: 2011年4月 Archives

巨大翼竜は飛べたのか-スケールと行動の動物学 (平凡社新書)
巨大翼竜は飛べたのか-スケールと行動の動物学 (平凡社新書)佐藤 克文

平凡社 2011-01-15
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巨大翼竜が飛べたのか否か、タイトルでの問いに対する著者の回答は最終章まで登場しない。最初に断り書きがあるとおり、少し拍子抜けさせられる。が、読み始めると著者の着眼点、研究に対する熱意にぐいぐいと引き込まれる。

速度、深度などを計測する「データロガー」をペンギン、うみがめ、アホウドリなどに取り付けることで、それらの行動を記録。そこから、体重と羽を動かす周期・速度などとの関係を明らかにしていく。導き出した公式も掲載しているのだが、それらは平易な文章で記述されており、素人でも、なるほどと納得させられる。
所々、研究者の裏側をかいま見られるようなコラムも。

それらを読んでいくうちに、ぐいぐいと著者の世界へ引きずり込まれる。そして最終章。さて、巨大翼竜は飛べたのだろうか?

P.S. 以下の後書きが3.11東日本大震災との関連を想像させられ、非常に気になる。読み終えてHPを確認するが、著者らは無事だった模様。

  2010年12月、この時季にしては妙に暖かい岩手県三陸沿岸にて (P.279)
言葉はなぜ生まれたのか
言葉はなぜ生まれたのか岡ノ谷 一夫 石森 愛彦

文藝春秋 2010-07-13
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カラーイラスト多く、絵本のようにさらっと読めるが、内容はなかなか奥が深い。

研究結果として、
・ことばの4条件
・上記4条件のうち、いずれか1つをもつ動物の紹介
・ことばの発祥から現代までの歴史
がロジカルにまとめられている。主題であることばの理解もさることながら、疑問→仮説→検証のステップの実例として、物事を単純化して表現する例として、様々な視点で参考になる。

シンプルだけど奥が深い、奥が深いけどシンプルな1冊。
人はなぜ逃げおくれるのか ―災害の心理学 (集英社新書)
人はなぜ逃げおくれるのか ―災害の心理学 (集英社新書)広瀬 弘忠

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”人は災害が起こったとき人々はパニックになる”---一般的な常識であるが、それは正しくないという。火事などが発生しても「たいしたことありません」とパニックを恐れ施設側、他人事と軽視する人々。本著では様々な災害事例とともに、生き残るために必要な条件を考察する。紹介される事例は各国の天災、函連絡船「洞爺丸」の沈没、開拓時代に西海岸を目指し越冬する人々など、バラエティに富んでいる。また、阪神大震災の事例を始め、PTSD、災害ボランティアなど身近に関係する情報も多面的に紹介されている。

数ヶ月前に図書館で予約して本だが、東日本大震災を契機に現状の理解、津波や地震に対する防災のあり方について、考えさせられる。

以下、末梢だが備忘録として。
・パニックはギリシャ神話、「パン」という半獣神の名が由来。(P.15)
・日本語には、英語のサバイバーに対応する言葉がない(P.152)
 →英語ではSurvivor(生存者)だが、日本語では”被災者”とNegativeな言葉となる。

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