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本日の1冊: 火星の人

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映画「オデッセイ」の原作。映画では省かれていた生活や苦労、トラブルなど、小説ならではの面白さがある。本を読んでから映画を見ると、あっけなさにちょっと物足りなくなる。



火星の人火星の人
アンディ ウィアー 小野田和子

早川書房 2014-08-25
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アラスカ物語 (新潮文庫)アラスカ物語 (新潮文庫)
新田 次郎

新潮社 1980-11-27
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30年以上も前の本でありながら、まったく古さを感じさせない。その面白さに、時間を忘れ読みふけってしまった。一言で言うと、日本人が主人公のダンスウィズウルブス[アラスカ編]と言ったところか(一言じゃない・・・)。

十五歳で日本を脱出したフランク安田は、キャビンボーイとしてアメリカ沿岸警備隊のベアー号に乗っていた。物語はベアー号が北極圏で氷に阻まれ身動きが取れなくなり、食糧危機が起こったところから始まる。差別からあらぬ疑いをかけられたフランク安田1人、150マイル離れたポイントバローの町へ歩いて向かう。

九死に一生を得てたどり着いたフランクは、ベアー号に戻らずポイントバローに残ることにした。やがて現地の人々の信頼を得ていき、エスキモーと結婚する。白人の鯨乱獲や疫病の持ち込みで絶滅の危機にあったエスキモーのために、ゴールドラッシュにあったアラスカで金脈と新たな地を求めて冒険に出る。

金脈の発見や、新たな居住地でのインディアンとの交渉など、まさに事実は小説より奇なりを示す物語。話は、晩年まで続き、第二次大戦で日系人として無実でありながら拘束されたり、あるいは周りに親切すぎて自身には残らず家族からは不満募らせられたり、物語としての面白さとともに、人の一生とは何か考えさせられる。

※エスキモーとイヌイットについて
日本では、カナダの主張に従って生肉を食べるという意味から「エスキモー」は差別用語という認識になり「イヌイット」を使用しているが、以下の理由から、私は敢えて「エスキモー」を使うべきと考える。
・「エスキモー」は北極圏・高緯度に住む原住民を指す単語であるのに対し、「イヌイット」はカナダを中心とした一民族 に過ぎない。アラスカやシベリアなどに住むイヌアピトやユーピクをひっくるめてイヌイットと呼ぶのはおかしい。
・アラスカなどでは「エスキモー」という言葉に誇りを持って使用している。
博士の愛した数式 (新潮文庫)博士の愛した数式 (新潮文庫)
小川 洋子

新潮社 2005-11-26
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記憶が80分しか持たない老数学者と、その世話をする家政婦。数学、偏屈な博士、世話。いったいどうして、退屈そうなテーマをここまで心温まる物語にできるのだろう。80分しか記憶が持たない人の話という前提知識から、如何に障害に苦労する話と想像していたが、全く違った。”障害は不便だけれど不幸ではない”という乙武氏の言葉通り、幸せな気持ちになれる1冊だった。

博士は事故にあって、80分までしか記憶を保持できなくなっていた。これまた癖のある博士の義姉の依頼で、派遣されることになったシングルマザーの家政婦は、毎日、初対面の扱いをうける苦労をしつつも、家政婦の子供も一緒に通い、3人で良い関係を築いていく。

博士の担当を外されるなどのハプニングはあるものの、基本、何気ない小話で構成される。相手を思いやり、考え、行動する、そうした日常の行為・身近なところに幸せはあると、教えてくれる。
ハゲタカ(下) (講談社文庫)ハゲタカ(下) (講談社文庫)
真山 仁

講談社 2006-03-15
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外資ファンドの日本法人トップ鷲津他、スーパーを建て直すために邦銀からスピンアウトした人物、地元ホテルチェーンを再建するため奮闘する若き女社長、魅力ある登場人物達が繰り広げるストーリーが絡み合い、一気にフィナーレまで読む者を惹きつける。

唯一の難点(?)は、鷲津の過去が暴かれるところか。今までの盛り上がりが、少し不完全燃焼。これも早く続編(ハゲタカⅡ)を読めと言うことか。
ハゲタカ(上) (講談社文庫)ハゲタカ(上) (講談社文庫)
真山 仁

講談社 2006-03-15
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バブル崩壊後、各行の不良債権問題とその買い取りで話題になった外資ファンド。本書はそんな攻防の話なのだが、とにかく心地よいテンポで読む者を引きずり込む。不良債権の実態、外資ファンドの裏側、闇を暴くようなところもあるのだが、本書はむしろ登場する人物達の魅力に惹かれる。
八日目の蝉 (中公文庫)
八日目の蝉 (中公文庫)角田 光代

中央公論新社 2011-01-22
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不倫相手の子を誘拐して育てる女と、その子が大きくなってからの2部構成。不倫、誘拐と許されるはずもないストーリーながら、知らず知らずに引き込まれる。後半、その子が大きくなってからの話でも、決して感情移入するような話ではないはずなのに、母になる変貌を目の当たりにして女性の偉大さを感じ、感動すら覚える。

家族とは何か考えさせられると共に、子が守ってあげるような存在は一瞬であるとともに貴重な瞬間だとしみじみ感じさせられた。余談ながら、本書で出てくる人物はどれも個性派揃いなのだが、男性がことごとく貧弱なのも気になるところ。
ラッシュライフ (新潮文庫)
ラッシュライフ (新潮文庫)伊坂 幸太郎

新潮社 2005-04
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5つのストーリーが次第に絡み合っていき1つの物語に・・・ここまでは良くある話だが、後半でも登場するだまし絵が、まさに本書を比喩している。なかなか、読む者を惑わせメビウスの輪のように感じさせられる。冷静に考えて解けた快感はパズルを解いた時のよう。
なかなか斬新な冊。
沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)
沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)山崎 豊子

新潮社 2001-12
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一社員(主人公の恩地)が企業の闇に立ち向かう・・・水戸黄門的なフィクションと期待して読むとなんとも言えぬ読後感になる。政治家・官公庁・企業の利権・癒着、読めば読むほど何ともならない現実に絶句するか、怒りを覚えるか。本書がフィクションとも実話ともとれる位置づけがまた、様々な思いがわき起こる。感じ方は読む人それぞれで、反論があるのも納得(それが正しいというわけではなく)だが、大作であることには違いない。
沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)
沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)山崎 豊子

新潮社 2001-12
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御巣鷹山の事故から安全を第一に”国際航空”の立て直しのため、政府は外部の人間を会長に起用。主人公は新たに設けられた会長室の部長に抜擢されるが、、、種々の腐敗構造。どこまでが現実で、どこからが物語なのかは知るよしもないところが本作が問題視される一因でもあろう。

まるで全てが映画のような(事実、映画化もされたが)闇に世界に読む者を惹きつける。
沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)
沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)山崎 豊子

新潮社 2001-12
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2巻までの小説ライクな流れと打って変わって、ルポタージュのようになる。事実、物語(?)の中でも20年ほどの歳月がたっているほか、登場する被害者の一部が実名で登場したりと、明らかに前巻までの流れと異なる。

小生も記憶ある当時のニュースでの衝撃がふつふつとわき起こる。この1巻だけでも、当時を知る貴重な1冊。

以下、個人メモ。

被害者の機内メモ

コックピット-ACC:Area Control Center=(所沢)航空交通管制部 間の交信記録
http://jal123.com/JAL123.swf (位置情報付きフラッシュ)

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