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怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書)怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書)
アルボムッレ スマナサーラ

サンガ 2006-07-18
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仏教の三毒、貪・瞋・癡のうち、「瞋」を意味する「怒り」をテーマにした1冊(ちなみに、残りの2つは貪欲と愚痴)。
大抵の人は怒りたくて怒っている訳ではないだろう。どうすれば怒らなくなるか、、、との思いで本書を手にしたら、裏切られるだろう。本書は単に怒らなくなる方法を伝授するのではなく、怒る行為そのものを毒、無知で動物以下の弱者であると一蹴した上で、怒りは本人の破滅を招いたり周りにも毒を撒く行為であると諭す。怒りそのものは主観的なものであり、考え方の問題なのだと言われて見ればわかるが、それが凡人には難しく、また、時には必要な「怒り」もあるように思ってしまうが、いろいろ考えさせられる。
仏教の世界観を知る上でも貴重な1冊。手塚治虫の「ブッダ」を思い出す。
クラウゼヴィッツの戦略思考―『戦争論』に学ぶリーダーシップと決断の本質クラウゼヴィッツの戦略思考―『戦争論』に学ぶリーダーシップと決断の本質
ティーハ・フォン ギーツィー クリストファー バスフォード ボルコ・フォン アーティンガー Tiha Von Ghyczy

ダイヤモンド社 2002-04
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有名だが難解故、なかなか原書を読めないクラウゼヴィッツの戦争論。本書はBCGが、そのエッセンスをわかりやすく抜き出している。

不確実性の最たる戦争において、いかに決断するか。「いかに備えるか」、「戦争か平和か、攻撃か防御か、など相反する2対を弁証法で熟考する」など、クラウゼヴィッツの考えは時代や手法にとらわれない。これが、現代まで残り語られるゆえんだろう。

具体的な示唆はないため、余計難しい戦争論だが、本書はBCGの手によりかなり読みやすくなっている。

以下、備忘録
理論(セオリー)という言葉はギリシャ語の「セオレイン(見る、熟慮する、調べる)」からきており、実践(プラクティス)は同じくギリシャ語の「プラテイン(する、行なう)」に由来する。(P.35)
星の王子さま (新潮文庫)星の王子さま (新潮文庫)
サン=テグジュペリ Antoine de Saint‐Exup´ery

新潮社 2006-03
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世界で聖書の次に読まれているという1冊。星の王子さまミュージアムはじめ、その存在こそ知っていたが読んだことなかったので手に取ってみる。

アフリカに不時着したパイロットが宇宙から来たという王子様に出会い、星々の住人達の話とともに大人のつまらなさ、盲目さを聞かされる。その世界観は、奥深く、難しい。あるいは、自分もつまらない大人になって盲目になっただけだろうか。

”l'essentiel est invisible pour les yeux”(大切なものは、目に見えない)

という言葉が非常に印象的。なお、作者のサン・テグジュペリ自身もアフリカに不時着した経歴の持ち主であるが、そのときの状況や心境も興味深い。
出現する未来 (講談社BIZ)出現する未来 (講談社BIZ)
P. センゲ O. シャーマー J. ジャウォースキー 野中 郁次郎 高遠 裕子

講談社 2006-05-30
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不確実性の対処として、過去からだけでなく未来から学ぶ・未来をコントロールという考え「U理論」を理論的に示す1冊。「U理論」とは、心を無にする意義が前提にあり、その状態にはいるための「センシング」(Uの字を降りる)、何もかもなくした瞬間に内なる知が出現する「プレゼンシング」(Uの字の底)、「リアライジング」(Uの字を上る)という3段階で構成された考え。仏教や禅の考え方なども融合しており、面白い。
野中郁次郎監訳とあり、理論的な内容を想像していたが、後半は9.11発生時にランダム発生器に乱れが発生など、神秘的・非科学的な内容が占める。
獄中記 (岩波現代文庫)
獄中記 (岩波現代文庫)佐藤 優

岩波書店 2009-04-16
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悪名高き外交官として宗男ハウスと共にひとときニュースで話題になった当人が、タイトルの如く逮捕されて拘留されていたときに記した1冊。国策による逮捕という当人の主張は非常に論理的、納得感があるとともに、以下にマスコミのニュースだけで物事を判断することが稚拙で危険なことか、痛烈に思い知らされる。また、氏の千慮、教養、強靱な精神力とストイックさには、ただただ敬服する。

ロシア外交、教養、宗教と学ぶことは多岐にわたるが、この本の主題とも言える鈴木宗男氏の断罪と小泉政権時代における世の沸き方を冷徹に、客観的に分析しているその内容も面白い。即ち、鈴木宗男氏を「政治権力をカネに買える腐敗政治家」とすることは、
 ”ケインズ型の公平配分からハイエク型の傾斜配分への転換を実現する上で好都合の「物語」なのである。”(P.511)
と論じている。
放射能と理性 なぜ「100ミリシーベルト」なのか
放射能と理性 なぜ「100ミリシーベルト」なのかウェード・アリソン 峯村利哉

徳間書店 2011-07-29
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フクシマ2011を受けて追記・翻訳された、放射能を考えさせられる1冊。
放射能の安全基準は100ミリシーベルトで必要十分であり、過度な恐怖や感情的・盲目的な意見に一石を投じる。放射線の影響を語る際には必ず線形か否か、即ちどんな微量でも悪影響を受けるか否かが問題となるが、本書では線形理論をばっさり切り捨てる。ヒロシマ・ナガサキの長期にわたる観察結果、チェルノブイリ、種々の実権を通じて、閾値以下の放射線は人間の修復効果により無害(一定量以下の出血が問題ないように)であることを示す。リスクとしてはたばこなどその他の要因を除外すべきでないこと、原子力業務従事者の平均寿命がその他の労働者よりも高いことなど、当然のことから興味深い話まで。その上で、過度な恐怖心から原発のコスト高、火力発電の公害を問題視する。

この理論は何がなんでも原発反対派には受け入れがたいものであり、議論にすらなり得ないだろう。しかし、3.11の後にメガソーラーを掲げた孫ソフトバンク社長や県内200万世帯のソーラー発電普及を公約に謳った岩神奈川県知事が最近になってトーンダウンや公約撤回したことからも分かるように、感情的で千慮欠いた思考は何も問題を解決しないことを改めて思い知らされる。

尚、本書はヒロシマ・ナガサキの追跡調査やチェルノブイリなどの事例をどこまで著者が確認したのか、各種記述についても逆に原子力のデメリットに盲目的と感じ得ないが、今(これから)のエネルギーを考える上で読む価値ある1冊。

P.S. P.189にある最新のアレバEPR(ヨーロッパ加圧水炉)ではメルトダウンした炉心融解捕獲区画が設けられているように、福島のメルトダウンも原発=悪というより、古い(50年も前の)設計の問題であることを多くの人も知るべきであろう。でなければ、何が安全で何が危険か判断できない。
成川式文章の書き方―ちょっとした技術でだれでも上達できる
成川式文章の書き方―ちょっとした技術でだれでも上達できる成川 豊彦

PHP研究所 2003-09
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文章の善し悪しは、常套となる「型」を知っているか知らないかでだいぶ違ってくる。本書はそうした「型」毎に改善ポイントと悪い例・良い例とともに多数掲載されている。大抵は小学校の作文で一通りのことを習った後はなかなか文章を添削される機会も少ないので、そうした「型」(ルール)を知らない・忘れていることも多いだろう。事実、本書を一通り読んで知らないこともあった。

一例を挙げると、”37 カギカッコでくくった文章には句点「。」を打たない”。
悪い例(抜粋)
 ①「今日は雨が降った」。
   「今日は雨が降った。」
良い例(抜粋)
 ①「今日は雨が降った」
 ③花子は言った。「今日は雨が降りそうね」。
 ④「今日は雨が降りそうね」。花子は言った。
基本はタイトルの通り、悪い例、良い例の1番目だが、良い例の③④のように前後で文章が続くときは打つ、など。
※但し、”昔は閉じ括弧の前にも句点を打つことがあった”と記載の通り、市販の書籍でも句点が打たれている文は多い気がする。

いろいろ参考になった書籍だが、各種のルールで、例が具体例をあげるものの本質的でない印象を多々受けた(例えば、”一般に、慣用が固定していると認められるもの”<P.241>などは判断を読者にゆだねるよう受け取れる)。また、常用漢字を使用する(P.160)例として、”新製品の進捗状況”を悪い例とし、良い例に”新製品の進行状況”をあげるなど、一般的なビジネスの実態からは疑問の箇所もある。
数学的思考の技術 (ベスト新書)
数学的思考の技術 (ベスト新書)小島 寛之

ベストセラーズ 2011-02-08
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惜しい。タイトルがいかにも学術的で興味をひくものではないのだが、中身はわかりやすく(難解な部分もあるが)面白い。まずは目次を一部、引用する。

第1部 不安定な毎日を生き抜くための数学的思考
第1章 相手を自分の思い通りに動かすには
第2章 給料が上がらないのはなぜか
第3章 人に本音をいわせるテクニック
第4章 「だらしない人」の経済学
第5章 年金問題を数学から考える
第6章 協力って、大事?
第7章 不確実な世界における行動法則
第8章 勝ち組は、運か実力か
第2部 幸せな社会とはどういうものか
第1章 どんな経済、社会が望ましいか
第2章 今、コモンズを考える
第3章 デフレ不況への処方箋
第4章 伝統的な経済学の限界
第5章 お金より大切なものはあるか
第6章 私たちが暮らすべき魅力的な都市とは
第7章 人間の「不完全知」といかに向き合うか
第3部 「物語」について、数学的思考をしよう
~省略~

タイトルで手に取らせ、中身が薄っぺらい本ほど腹立たしいことはないが、本書は正反対。凡庸なタイトル(失敬!)と比べ、各章のタイトルは興味をそそられるではないか。そして、中身はもっと面白い。日経新聞に時折登場する、経済の解説やゲーム理論などをわかりやすく、論理的に解説されている。

例えば第1部 第2章から、リスクを取らなければ人並みの給料しか手に入らないことが証明される。その他、人々が衰退産業にしがみつく理由として「ダウ&ワーラン効果」を解説したり(P.84)、魅力的な都市の条件が普通に考えるのと正反対、狭くて古今の建物混在し複数の機能を持って人口密度があること(P.158、アメリカの都市学者ジェーン・ジェイコブスが調査・分析)、など目から鱗の話も。

終盤は村上春樹の世界観が出てきて、単に数学的世界だけではなく飽きないと同時に、複雑な世界観の思慮を要求する。
バカはなおせる—脳を鍛える習慣、悪くする習慣
バカはなおせる—脳を鍛える習慣、悪くする習慣久保田 競

アスキー 2006-03-24
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赤ちゃんから老人まで脳機能の向上(退化防止)について、一時期流行った”頭を鍛える”類の本、ゲームへの批評を含めた、ネタ・ノウハウ本。タイトルからいかにも軽そうに見えるが、著者は「脳」に関する国内最高権威だそうで、至極まっとうな1冊。

ゲームやネット、本の脳への影響、ワーキングメモリーの向上策やボケ・アルツハイマーの防止策や統計上から導かれている事実など、知っていた内容もあれば、例えば、子供には本を読むより運動させるほうが脳に良い効果が認められるなど、意外な新事実を知らされることも。恋愛多きことが脳に良いのは認めつつ、健全な社会生活のためには1人の人を愛するほうが・・・などと俗世的な内容も面白おかしく記載されており、堅苦しさは全く感じさせずに読める。

記憶力向上、将来の健全な脳のために、読んでおきたい。
アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新 (中公新書)
アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新 (中公新書)野中 郁次郎

中央公論社 1995-11
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1775年に英軍のそれを模して設立したアメリカ海兵隊について、歴史からその海兵隊の意義、そして普遍的な組織(個人)の価値とは何かを分析、まとめ上げている。「失敗の本質」同様、その内容は単に歴史や対象(ここでは海兵隊)だけでなく、現在の身の回り、組織戦略や個々の意義は何か考えさせられる。

空・海・陸軍と違い、海兵隊は常に不要論と共にその存続が危ぶまれてきたため、自己革新を遂げて来たというのが本書の主眼。元は船上の兵士としてスナイパー・切り込み隊だったのが、時代が主砲になると憲兵として、海軍と摩擦が出ると前線基地の防御要員として、そこから強襲に転じて水陸両用作戦を考案・硫黄島、沖縄などで生かす。その後もヘリボーン、そして湾岸戦争など現代では即応部隊として、その価値を変革しながら示し続ける。

海上部隊も、航空隊も、陸上部隊も持つ中、海兵隊の中心は皆ライフルマンという哲学もおもしろい。何をより所にし、何に注目し、何を変革していくか。良書である。