教養: 2012年2月 Archives

怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書)怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書)
アルボムッレ スマナサーラ

サンガ 2006-07-18
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仏教の三毒、貪・瞋・癡のうち、「瞋」を意味する「怒り」をテーマにした1冊(ちなみに、残りの2つは貪欲と愚痴)。
大抵の人は怒りたくて怒っている訳ではないだろう。どうすれば怒らなくなるか、、、との思いで本書を手にしたら、裏切られるだろう。本書は単に怒らなくなる方法を伝授するのではなく、怒る行為そのものを毒、無知で動物以下の弱者であると一蹴した上で、怒りは本人の破滅を招いたり周りにも毒を撒く行為であると諭す。怒りそのものは主観的なものであり、考え方の問題なのだと言われて見ればわかるが、それが凡人には難しく、また、時には必要な「怒り」もあるように思ってしまうが、いろいろ考えさせられる。
仏教の世界観を知る上でも貴重な1冊。手塚治虫の「ブッダ」を思い出す。
クラウゼヴィッツの戦略思考―『戦争論』に学ぶリーダーシップと決断の本質クラウゼヴィッツの戦略思考―『戦争論』に学ぶリーダーシップと決断の本質
ティーハ・フォン ギーツィー クリストファー バスフォード ボルコ・フォン アーティンガー Tiha Von Ghyczy

ダイヤモンド社 2002-04
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有名だが難解故、なかなか原書を読めないクラウゼヴィッツの戦争論。本書はBCGが、そのエッセンスをわかりやすく抜き出している。

不確実性の最たる戦争において、いかに決断するか。「いかに備えるか」、「戦争か平和か、攻撃か防御か、など相反する2対を弁証法で熟考する」など、クラウゼヴィッツの考えは時代や手法にとらわれない。これが、現代まで残り語られるゆえんだろう。

具体的な示唆はないため、余計難しい戦争論だが、本書はBCGの手によりかなり読みやすくなっている。

以下、備忘録
理論(セオリー)という言葉はギリシャ語の「セオレイン(見る、熟慮する、調べる)」からきており、実践(プラクティス)は同じくギリシャ語の「プラテイン(する、行なう)」に由来する。(P.35)
星の王子さま (新潮文庫)星の王子さま (新潮文庫)
サン=テグジュペリ Antoine de Saint‐Exup´ery

新潮社 2006-03
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世界で聖書の次に読まれているという1冊。星の王子さまミュージアムはじめ、その存在こそ知っていたが読んだことなかったので手に取ってみる。

アフリカに不時着したパイロットが宇宙から来たという王子様に出会い、星々の住人達の話とともに大人のつまらなさ、盲目さを聞かされる。その世界観は、奥深く、難しい。あるいは、自分もつまらない大人になって盲目になっただけだろうか。

”l'essentiel est invisible pour les yeux”(大切なものは、目に見えない)

という言葉が非常に印象的。なお、作者のサン・テグジュペリ自身もアフリカに不時着した経歴の持ち主であるが、そのときの状況や心境も興味深い。
出現する未来 (講談社BIZ)出現する未来 (講談社BIZ)
P. センゲ O. シャーマー J. ジャウォースキー 野中 郁次郎 高遠 裕子

講談社 2006-05-30
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不確実性の対処として、過去からだけでなく未来から学ぶ・未来をコントロールという考え「U理論」を理論的に示す1冊。「U理論」とは、心を無にする意義が前提にあり、その状態にはいるための「センシング」(Uの字を降りる)、何もかもなくした瞬間に内なる知が出現する「プレゼンシング」(Uの字の底)、「リアライジング」(Uの字を上る)という3段階で構成された考え。仏教や禅の考え方なども融合しており、面白い。
野中郁次郎監訳とあり、理論的な内容を想像していたが、後半は9.11発生時にランダム発生器に乱れが発生など、神秘的・非科学的な内容が占める。