教養: 2011年5月 Archives

バカはなおせる—脳を鍛える習慣、悪くする習慣
バカはなおせる—脳を鍛える習慣、悪くする習慣久保田 競

アスキー 2006-03-24
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赤ちゃんから老人まで脳機能の向上(退化防止)について、一時期流行った”頭を鍛える”類の本、ゲームへの批評を含めた、ネタ・ノウハウ本。タイトルからいかにも軽そうに見えるが、著者は「脳」に関する国内最高権威だそうで、至極まっとうな1冊。

ゲームやネット、本の脳への影響、ワーキングメモリーの向上策やボケ・アルツハイマーの防止策や統計上から導かれている事実など、知っていた内容もあれば、例えば、子供には本を読むより運動させるほうが脳に良い効果が認められるなど、意外な新事実を知らされることも。恋愛多きことが脳に良いのは認めつつ、健全な社会生活のためには1人の人を愛するほうが・・・などと俗世的な内容も面白おかしく記載されており、堅苦しさは全く感じさせずに読める。

記憶力向上、将来の健全な脳のために、読んでおきたい。
アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新 (中公新書)
アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新 (中公新書)野中 郁次郎

中央公論社 1995-11
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1775年に英軍のそれを模して設立したアメリカ海兵隊について、歴史からその海兵隊の意義、そして普遍的な組織(個人)の価値とは何かを分析、まとめ上げている。「失敗の本質」同様、その内容は単に歴史や対象(ここでは海兵隊)だけでなく、現在の身の回り、組織戦略や個々の意義は何か考えさせられる。

空・海・陸軍と違い、海兵隊は常に不要論と共にその存続が危ぶまれてきたため、自己革新を遂げて来たというのが本書の主眼。元は船上の兵士としてスナイパー・切り込み隊だったのが、時代が主砲になると憲兵として、海軍と摩擦が出ると前線基地の防御要員として、そこから強襲に転じて水陸両用作戦を考案・硫黄島、沖縄などで生かす。その後もヘリボーン、そして湾岸戦争など現代では即応部隊として、その価値を変革しながら示し続ける。

海上部隊も、航空隊も、陸上部隊も持つ中、海兵隊の中心は皆ライフルマンという哲学もおもしろい。何をより所にし、何に注目し、何を変革していくか。良書である。