本日の1冊: イスラームから世界を見る (ちくまプリマー新書)

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イスラームから世界を見る (ちくまプリマー新書)イスラームから世界を見る (ちくまプリマー新書)
内藤 正典

筑摩書房 2012-08-06
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キリスト教の文化圏である西欧でも政教分離が今では当然となっている中、無宗教がほとんどの日本では宗教が密接に政治と絡むイスラムの世界(注:イスラムでも政教分離の国はある)は理解が難しいところ。本書はイスラムの歴史と共にそうした世界観を、さらにはイスラムから見た西洋圏を知ることができた。

アラブの春としてエジプト、シリア等の民主化運動を西側のメディアは総じて賞賛するが、その先の事、具体的には民族・宗派による対立を想定していることは少ない(自分は本書を読むまでまったく考えが及ばなかった)。中東の民主化というのが西洋の考えの押しつけであるか、また難しいか、思い知らされる。

著者は中立・客観的、というよりはかなりイスラム世界寄りの発言をされていて、その世界観を知らなかった者にとっては自分のように違和感をもったり、あるいは否定的な考え方を持つ者もいるかもしれない。事実、amazonの書評では批判的な意見もあった。しかし、メディア含め日本で手に入るほとんどの情報がキリスト・西洋の考え方である中、アジテーションを目的とするのでなければ、こうした異論を知ることも世界観が広げるために必要と感じた。

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