本日の1冊: 大人も子どももわかるイスラム世界の「大疑問」 (講談社プラスアルファ新書)

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大人も子どももわかるイスラム世界の「大疑問」 (講談社プラスアルファ新書)大人も子どももわかるイスラム世界の「大疑問」 (講談社プラスアルファ新書)
池上 彰

講談社 2002-04-18
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タリバンなど過激派原理主義のイメージの強いイスラム教だが(アメリカでも、9.11の後、イスラム教や中東の人々が不当に差別されたり、逮捕や弾圧受けたりした)、そもそも全人類の6人に1人がイスラム教、さらにアメリカでも増加しているイスラム教の本質を知る必要を感じていた。

本書はイスラム教に先立ち、その元となるキリスト教、さらにキリスト教の元となるユダヤ教の歴史・要点を記す。そして肝心のイスラム教は、歴史から教義、イスラム教文化、中東の戦争から過激派原理主義の思想やタリバンの生い立ちまで、幅広く、分かりやすく書かれている。これを一通り読んだだけで、イスラム教徒は○○と単純に表せない、ましてやイスラム=テロなどといった思想が如何に短絡的か、理解できる。また、十字軍もキリスト教世界から見ると討伐戦争だが、イスラム教から見れば、当時文化的に劣っていたキリスト教の世界が起こした野蛮戦争だという、180度違った解釈も興味深い。

どの宗教でもそうだが、多くの人を惹き付ける魅力は、何かしらある。例えばイスラム教では、神の前では皆平等、富めるものは収入の2.5%を貧しいものに施す義務があるなど、現代でも通用する考え方は多い。一方、女性は守る存在なので父親か夫が保護書という古い考え方、現世の行いが良く天国に行けたものは、素晴らしい酒が飲め、幾人もの美女を妻にし、小性が周りの世話をするといった、欲望というか煩悩のような考え方があるのも事実。

池上彰氏の書物は初めて手にしたが、TV同様にポイントを分かりやすく書かれていた。タイトルのイスラム教はもとより、元のキリスト教やユダヤ教、そして神道(恥ずかしながら、「しんどう」ではなく「しんとう」と読むと知らなかった)と仏教にも言及してあり、宗教全般の入門書としても、多くの人に必読の1冊である。


備忘録:
コーラン:預言者ムハンマドが聞いた、神の言葉を記した書
ハディース:コーランを理解するための参考書

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