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今、ホットなアドラー。本書はアドラーの経歴や著作など人物像、アドラー心理学の理論や育児・教育論(アドラーはパーソナリティだけでなく、子供の教育についても深く研究している)など、入門書とありながらアドラーについて一通りの知識を得られる。「嫌われる勇気」のように興味そそらるようにエッセンスを抽出した本もマーケティング的にはありだと思うが、そのような本だけでは本質を得られないと感じた。
例えば「嫌われる勇気」では”他人の課題”を説明し、他人を気にしない自立の必要性を諭す。一方で、アドラーは他者貢献や他人への信頼について言及しており、決して個々が独立して生きていけるわけではなく、他人と関わらなければ生きていないことを言っている---「嫌われる勇気」だけを読んだ人の感想は、他人と境界を作るべきと捉えた人が多かったので、気になっている。
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アドラー心理学を、彼の生い立ちや置かれた環境とともに解説する。「嫌われる勇気」の後だと、単に個人主義というよりも、むしろ他者との関わり合い、アドラーの言葉で言うところの”共同体感覚”に重きを置かれていると感じる。
アドラーの著作から引用するところが多いのだが、「子どもの教育」の多用からもわかる通り、アドラーが子どもに対する教育に深い考察をもっていた点も興味深い。
例えば、兄弟順位による個性の違いの解説や、叱ることや褒めることの弊害と勇気づけの必要性は、疑問点はあるものの、納得したり、斬新だった
また、「嫌われる勇気」では他者の評価を気にしない、他者の問題を解決しないという個の重要性を感じてすっきりした分、こちらでは無償の愛的な奉仕が強調され、矛盾と感じる両者の融合に頭を使わされる。
もっとも、個の置き方や他者との関わり合い、人生を考える上で、本書は適切な1冊であることに変わりはない。