ノン・フィクション: 2011年9月 Archives

132億円集めたビジネスプラン
132億円集めたビジネスプラン岩瀬 大輔

PHP研究所 2010-11-16
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ライフネット生命・副社長の肩書きで有名な著書。一見、タイトルからは錬金術のような類を想像してしまう可能性もありそうだが(私だけか?)、至極まっとうな1冊。新会社の構想から、実際に出資を募る段階で説明された新規生保のリスク、対象とするマーケットといった内容をロジカルに書かれている。とにかくそのシンプル・明快な説明は心地よく、ライフネット生命のファンが増加している原点が垣間見える(社長、出口氏の魅力もあるがここでは割愛)。

前半の論理的な展開と変わって、後半の人集め・組織作りの説明ではパッション(情熱)が濃く出てくる。目指すべき目標、意志の強さといったものの大切さもしみじみ感じさせられる。論理と情熱のバランスが感動的ですらある。

BCG出身でもある著者だけあり非常にロジカルに書かれており、戦略立案の参考はもちろん、人生観を考えるきっかけなど価値ある1冊。
原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書)
原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書)有馬 哲夫

新潮社 2008-02
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原発のイメージ作りがどのように作られてきたか、CIAと政治への権力欲強い読売新聞社主・正力の駆け引き、ディズニーの利用などを公開されたCIA資料を基に明かされる。

2度の原爆投下、第五福竜丸事件と原爆・水爆共に初の被爆者を出した日本で、なぜほど原子力が夢のエネルギーとしてもてはやされたのか。1人の日本人とアメリカCIAの思惑が緻密に描かれている。ディズニーも巻き込んだアメリカのイメージ醸成、読売新聞・日本テレビとマスコミを思うがままに操作する正力。

テレビなどマスコミはおろか、ディズニーランドでさえプロパガンダとして機能していたという事実。原発賛成、あるいは反対と感情的に言うは易し。どちらにせよ、まずは過去の歴史を知ることは必須であると痛感した。と同時に、今まさに報道されている内容もどういう意図を含んでいるか、考える教材にもなる。
Three Cups of Tea: Young Readers Edition: One Man's Journey to Change the World... One Child at a Time
Three Cups of Tea: Young Readers Edition: One Man's Journey to Change the World... One Child at a TimeGreg Mortenson David Oliver Relin

Puffin 2009-01-22
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NYTimesで長らくベストセラー・トップ10にランクインされていた本の、子供向け版。そのため平易な文法、語彙(本書最後にGlossary<用語集>あり)で書かれているため、英語が得意でないNon-Nativeにも最適な1冊となっている。

とある登山家Greg Mortensonが、K2の麓の村々の実情を知るや、文字通り人生をかけてパキスタン・アフガニスタンに学校を建てていくストーリー。日本人にとってごく当たり前の教育が、世界が違えば(とくに、本書で登場する地域の女性にとって)如何に当たり前でなかったか気付かされる。私財を投げ売り、ただでさえ偏見のあったイスラムに対する支援に9.11といった逆風を乗り越えた主人公に敬服すると共に感動させられる。9.11で冷静さを失ったアメリカも、”教育が平和を作る”という本書の言葉に、きっと感銘を受けたに違いない。

後半に掲載されたテロの恐怖もあったパキスタン・アフガニスタンに行ったり、国内(米国)でも講演等で飛び回り留守の多かった主人公を父に持つ娘のインタビューも、寂しさを共感すると共に、立派な考えを持って育っていることから父親の信念の大切さも気付かされる。

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