社会: 2012年6月 Archives

「規制」を変えれば電気も足りる (小学館101新書)「規制」を変えれば電気も足りる (小学館101新書)
原 英史

小学館 2011-08-01
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「実は”余っている電力”はたくさんある。でもそれを国民は買えない・・・。」との触れ込みやタイトルから、電力問題に対する提言と思ったのだが。中身はサブタイトル『日本をダメにする役所の「バカなルール」総覧』の方だった。見事に、タイトルでだまされた1人である。

肝心の中身は、”なぜ学校の階段には必ず「踊り場」があるのか?(第1章)”、”理髪店がどこも「月曜定休」の理由(第3章)”、”なぜケイン・コスギはピンチの後にリポビタンDを飲むのか?”など、豆知識的な内容が種々、法規制の内容や背景と共に解説されている。不自然と思いつつ、あるいは何も感じずに過ごす中にも、無駄な規制、既得権益を守るための規制などいろいろあることがわかる。
つながらない生活 ― 「ネット世間」との距離のとり方つながらない生活 ― 「ネット世間」との距離のとり方
ウィリアム・パワーズ 有賀 裕子

プレジデント社 2012-01-27
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インターネットの普及以来、メールにWebに、昨今ではSNSと、四六時中ネットに繋がっている生活が当たり前となった。むしろ、繋がっていないことで不安すら覚えてしまう人も多い。著者もそんな1人で、あえてネットに繋がらずに心の平安を取り戻そう、、、という趣旨なのだが、ただアンチ・ネットではないのがこの本の示唆に含んだところ。

かつて、グーテンベルクが印刷を発明して15年後。娯楽のために価値のないものが書かれたり、内容を歪めたり改悪したりされるから、偽りの書を1000部も世の中にばらまくよりは、本などないほうがましではないか(P.189)との批判が出ているとのこと。まさしく、ネット社会で情報の氾濫とか、玉石混合などと批判されている同じ事が、繰り返されている。所詮、印刷もネットも道具でしか無く、どう使うかの問題なのだが、技術革新はいつの時代も反感を生むという点で興味深い。

また、都市化が進み人口が増え出した時代、アリストテレスやセネカなどが如何に心の平安と社会の調和を試み、何が成功して失敗したか、本質的な問いは現代社会にも十分通用すると理解できる。

肝心のネットとのつきあい方、は人それぞれ千差万別だと思うが、歴史的な側面で、考えさせられた1冊。