ビジネス書: 2013年8月 Archives

ロジカル・プレゼンテーション―自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」ロジカル・プレゼンテーション―自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」
高田 貴久

英治出版 2004-02-01
売り上げランキング : 1957

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


方々で推薦図書として挙げられていたのは知っていたが、プレゼンの本と軽い気持ちで手にしてみた。読み終えての感想は、バイブル本としてずっと手元に置いておくと断言するほどの濃さだった。

内容は提案から始まり、論理思考力、仮説設計力ではMECEやピラミッドストラクチャーといった基本的な技術を解説する。後半では、会議設計力、資料作成力として具体的なスキルの話に繋がる。所々、物語が挿入されており、読む者を飽きさせない。
最初から最後まで一貫して筋が通っており、抽象論など曖昧さが入り込む余地がない。例えば(人が)”納得しない場合の反応は二つしかない”、”論点を外す四つのパターン”、”相手のスタイルを理解する三つのコツ”、(チャートの)”レイアウトは四つしかない”など。話がかみ合わない場合の原因を探りたければ、ここに書かれたロジックだけで明確になる(これで伝わらないのは、感情論であったり、盲目的な、非論理思考者となるだろう)。

論点とは、示唆とは。会議の運営は、資料は同作るべきか。骨肉となり自分の言葉で言えるようになるまで、繰り返しになるが、手元に置いて何度も読み返すべき1冊。
キャリア官僚の仕事力  秀才たちの知られざる実態と思考法 (ソフトバンク新書)キャリア官僚の仕事力 秀才たちの知られざる実態と思考法 (ソフトバンク新書)
中野 雅至

ソフトバンククリエイティブ 2012-12-18
売り上げランキング : 31653

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


法案や国会答弁書、予算案作成から議員・団体への説明など、官僚の仕事内容を把握できる良書。一時期、天下り(それ自体を肯定するわけでないが)やタクシー内のビール接待などマスコミから叩かれていた官僚だが、実際にはその激務ぶり、優秀な人でもポストが限られている内情などなど知ると、一方的な非難はできなくなるだろう。

一方で、著者の経歴(官僚→学者)もあり、少し偏見があるように感じた。具体的には、官僚の優秀さや仕事の質を一方的に褒め称えるのだが、例えば比較として出したコンサル会社、どの程度知見があるのか解からないが、官僚のどこがコンサル会社よりどう優れているのか読み解けなかった。また、官僚の情報処理の能力が優秀なのは理解したが、あくまでも自分らのために動く組織である以上、そのアウトプットは外から評価されないのでは、と感じる。さらに、最も職位が上位の事務次官は同期で1人しかなれない、とあるけれど、民間でトップは同期どころか10年に1人ということもあるわけで、この辺も違和感を感じた。
良い戦略、悪い戦略良い戦略、悪い戦略
リチャード・P・ルメルト 村井 章子

日本経済新聞出版社 2012-06-23
売り上げランキング : 3914

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


ビジネス、軍事、政治、宇宙、など様々な分野のケーススタディと共に、戦略とは何か、どうすべきかを説く。非常に明快で分かりやすい文章と共に、コミカルな例もあってさらっと読めてしまうが、中身は非常に濃い1冊だった。

著者によると、戦略を立てるカーネル(一般的にいうフレームワークと理解)は、診断、方針、行動だという。聞けば当然のようだが、診断が抜けて現実に即していなかったり、行動を伴わない夢や願望的な戦略が多いという言葉には、ついつい思い当たる事例は枚挙にいとまがない。