ビジネス書: 2011年11月 Archives

外資系コンサルの真実―マッキンゼーとボスコン
外資系コンサルの真実―マッキンゼーとボスコン北村 慶

東洋経済新報社 2006-10
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「マッキンゼー」と「BCG」を中心に、日の目を見ることが少ないコンサルティング会社の実情をわかりやすく解説する。特に知ろうとしても情報が少ないだけに、本書の内容、iモードなどの製品開発から日本郵政民営化プロジェクトのように政治など、ありとあらゆる分野に進出している実態は驚きすら覚える。それでも日本のコンサルティングマーケット2000億円強は、GDP1/10の韓国が700億円、2倍のアメリカでは7~8兆円と比較して、まだまだ市場拡大の余地があるという。(P.50)

コンサルティングの内情としてキャリアパスや年収のイメージ、パートナーの仕事や報酬の仕組みを、仕事の進め方としてフレームワークの解説まで記されている。

萌芽期のコンサルへ対する畏怖の念があった時代を過ぎた今、コンサルティング会社の限界を客観的に分析しつつ、コンサルティング会社との上手なつきあい方でまとまっている。

成川式文章の書き方―ちょっとした技術でだれでも上達できる
成川式文章の書き方―ちょっとした技術でだれでも上達できる成川 豊彦

PHP研究所 2003-09
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文章の善し悪しは、常套となる「型」を知っているか知らないかでだいぶ違ってくる。本書はそうした「型」毎に改善ポイントと悪い例・良い例とともに多数掲載されている。大抵は小学校の作文で一通りのことを習った後はなかなか文章を添削される機会も少ないので、そうした「型」(ルール)を知らない・忘れていることも多いだろう。事実、本書を一通り読んで知らないこともあった。

一例を挙げると、”37 カギカッコでくくった文章には句点「。」を打たない”。
悪い例(抜粋)
 ①「今日は雨が降った」。
   「今日は雨が降った。」
良い例(抜粋)
 ①「今日は雨が降った」
 ③花子は言った。「今日は雨が降りそうね」。
 ④「今日は雨が降りそうね」。花子は言った。
基本はタイトルの通り、悪い例、良い例の1番目だが、良い例の③④のように前後で文章が続くときは打つ、など。
※但し、”昔は閉じ括弧の前にも句点を打つことがあった”と記載の通り、市販の書籍でも句点が打たれている文は多い気がする。

いろいろ参考になった書籍だが、各種のルールで、例が具体例をあげるものの本質的でない印象を多々受けた(例えば、”一般に、慣用が固定していると認められるもの”<P.241>などは判断を読者にゆだねるよう受け取れる)。また、常用漢字を使用する(P.160)例として、”新製品の進捗状況”を悪い例とし、良い例に”新製品の進行状況”をあげるなど、一般的なビジネスの実態からは疑問の箇所もある。
トレードオフ―上質をとるか、手軽をとるか
トレードオフ―上質をとるか、手軽をとるかケビン・メイニー(著) ジム・コリンズ(序文) 内田和成(解説) 有賀裕子

プレジデント社 2010-07-06
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成熟した経済で成功する方法は、高級化(決して限られた人のという意味ではなく、雰囲気を含めて上級を目指す物)をすすめるか、あるいは利便性を追求するかに限る、即ち二兎を追うどっちかずは失敗することを示唆する。スターバックスがなぜ売れるのか、また迷走したのか、ティファニーがなぜ失敗したのか、そして復活したのか、マクドナルドが廃れない訳。iPhone、Bose、Palm(ちょっと古いが)、ATM、NFL、ルンバ、セグウェイ、IBM、新聞、様々な成功・失敗した企業・サービスを、分析、上質・手軽のフレームワークに帰着することを論理明快に解説する。

一見、経営や起業理論のようだが、最終的には個人の立ち位置とこれからの戦略について考えさせられる。即ち、今までのように平均的に可も不可もなく成長していては、結果中途半端で消耗エリアを脱せない。自分自身の強み、ニーズを千慮する必要があることを示唆される。物語としても面白く、一読に値する1冊。