ビジネス書: 2011年10月 Archives

「事務ミス」をナメるな! (光文社新書)
「事務ミス」をナメるな! (光文社新書)中田亨

光文社 2011-01-18
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「うっかり」などのヒューマンエラーをどう減らし撲滅するか、どう品質を向上するか。タイトルは「事務ミス」と銘打っているが、コンピュータの世界や業務の設計でも大いに参考になる。そもそもなぜミスを犯すかという間違いのメカニズム分析から、解決まで網羅されており、品質対策の示唆に富む。

後半では様々な Good Design と Bad Design を紹介、具体的な実例でミスを減らす環境・帳票作りを考えさせられる。例えば鉄道の安全対策や、ブッシュJr.とアル・ゴアの大統領選で問題となった投票用紙(P.158)、ヒヤリハットの報告書例(P.196、簡単に報告でき、また情報が埋もれないようWhen,Where,What,How-it-was,How-react,Who,Why-happened を表形式にする)など面白いネタから参考になるものまで様々。ここで、2001年1月に静岡県焼津市上空で起きたニアミスで管制官を有罪にしたことを断罪している点(P.207)、せっかくなのでもっと詳しく書いてほしかった。

以下、備忘録
ドラッカーによれば、カフカが安全ヘルメットを発明(P.209)
質問する力 (文春文庫)
質問する力 (文春文庫)大前 研一

文藝春秋 2005-03-10
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バブル後の地価下落、冷戦崩壊・ビルゲイツからの世界、シンガポールの奇跡を題材にそれぞれ章立ての後、様々な問題に対して問題提起・一刀両断する。その量、テンポは相変わらず、圧巻で心地よい。その対象は年金、国債、ペイオフ、北朝鮮問題、郵政民営化などから、”原子炉は安全でない”など今まさにホットな題材など枚挙にいとまがない。ただ問題提起するだけでなく、プレート課税、英語教師採用の国籍条項撤廃、道州制など(著者の他の本やWebの原稿を読んでいると繰り返しも多いが)アイデアも提案多い。

目から鱗だったのが、歴史教科書を疑う点。開国時代にも日本に優秀な人材が居たと言うことで幕臣小栗忠順を挙げているが(P.268、新井喜美夫『幕末日本を救った救った「先見力と胆識」』プレジデント社、1992)、そうした人物も、現在の日本の歴史の教科書は明治維新の薩長土肥の後輩達が書いたものだから、幕府側の官僚は悪役としてしか出てこないのである。ただ鵜呑みにしていては、見落とす、知らないことがいかにあるか。

本書を読んでなるほどと感嘆するのは易し、如何に同じような、問題の着眼点・思考力を鍛えられるか。自問したい。

P.S.氏の著書の中では、比較的口調が穏やかであった。
仕事脳を強化する記憶HACKS(ハック) ~ITツールを駆使して”第2の脳”を使いこなせ! (デジタル仕事術シリーズ)
仕事脳を強化する記憶HACKS(ハック) ~ITツールを駆使して”第2の脳”を使いこなせ! (デジタル仕事術シリーズ)佐々木 正悟 四六

技術評論社 2009-08-07
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ITの普及によって、脳を記憶することから、より思考に注力できるようになった。本書では、そうしたITツールを利用して仕事・生活・勉強の質を向上させるアイデア・サービスが紹介されている。

話が脱線するが、携帯による質問サイト利用カンニングや論文のWebコピーなどをやり玉にITの批判もある。しかし、今からITのない世界へ戻ることはあり得ないわけで、本書のような論調は至極まっとうである。何より、文字ができたとき(「ガリア戦記」に詳しい)や活版印刷が生まれたときにも同様の批判はあったわけで、時代は繰り返しているだけである。

Gmail、携帯、iPhone、Mac、Outlookといった定番から、今では非常に有名になったDropBox、Evernoteはもとより、存在すら知らなかったクラウドサービスなど情報満載。ここで、小職がしらなかったツール・サービスを備忘録がてら数点記す。

■ToDoツール(P.39~)
TooDledo・・・時間(期限)だけでなく、人・場所などをキーに管理できる。
OmniFocus・・・日程・優先順位でタスクを整理する。

■スクラップ・ブックマーク(P.194~)
diigo・・・オンラインブックマークサービスで、マーカーを使って一部のみをノートする、オンラインに付箋を貼ることが可能。

■人物管理・証跡(P.202~)
FriendFeed・・・特定個人に関する情報を管理。ブログやTwitterなど全活動を把握できる。

その他、Audible、SleepTrackerの活用例なども。