フィクション: 2010年9月 Archives

人間の証明 (角川文庫)
人間の証明 (角川文庫)森村 誠一

角川書店 2004-05
売り上げランキング : 69881

おすすめ平均 star
star色褪せたボロボロの文庫本に
starすばらしい作品
star不朽の名作

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東京で謎の黒人が殺される事件を発端に、ニューヨークと東京、過去と現代が交錯していく推理小説。この種の展開はスケールを大きくすることで、どこか矛盾が目立つようになり興ざめするものだが、この本は見事に場所と時代の跨りを描いている。タイトルにもある「人間の証明」が最後に理解できる展開も、読後感が内容のやるせなさとは別にすがすがしい。娯楽小説として、非常に満足度高い1冊。
冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)
冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)辻 仁成

角川書店 2001-09
売り上げランキング : 23655

おすすめ平均 star
star順正がすきです
star一途に女性を想い続けた情熱の果てにある冷静
star気取ってる

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同じ物語を異なる主人公の目線で、異なる作者が書いた1冊。2冊を読んで全貌が見える作りで、こちらは男性側のストーリーとなる。過去を後悔しつつも、今を生きる主人公。ひょんなきっかけから過去の恋人の現状を知り・・・。
Rosso同様、Bluも切ない話が同居するのだが、こちらはどこか読後感がすがすがしい。前者がもやもやしているところが中心なのに対し、後者が一途と言うのもあるだろう。タイトルにある「冷静と情熱のあいだ」のとおり、情と自分の本心に対しどこまで正直に生きられるか、何が正解というわけではないが、読む人読む人それぞれにいろいろな思いがこみ上げるだろう、読んで損はない1冊(2冊)。
冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)
冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)江國 香織

角川書店 2001-09
売り上げランキング : 15125

おすすめ平均 star
star最高の恋愛「ファンタジー」
starなにかが足りない空虚さ
star映画の方が私は好き

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同じ物語を異なる主人公の目線で、異なる作者が書いた1冊。2冊を読んで全貌が見える作りで、こちらは女性側のストーリーとなる。何不自由ない生活をしているのに何かもやもやして過ごす主人公だが、その煮え切らない態度にフラストレーションがたまる(誤解のないように記すと、2冊を読み終えたとき、この辺も全てが繋がるように構成されており、本そのものを否定するものではない)。そしてその女性心理が理解できていないというのもあるだろうけれど、読み終えた後は何とも後味の悪い感じが残る。そういう意味でも順序的にはRossoから読む方がいい。
エイジ (朝日文庫)
エイジ (朝日文庫)重松 清

朝日新聞社 2001-07
売り上げランキング : 206606

おすすめ平均 star
star怖いぐらいリアル!!
star繰り返し出題されるだろう
star勉強になりました

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神戸児童連続殺傷事件を筆頭に、凶悪犯罪の低年齢化としてマスコミが騒いた後、そうした年代の中学生にスポットを当てたフィクション。

ごく普通の中学生である主人公のエイジ、彼のクラスメートが連続通り魔として逮捕されたことから少しずつ変化が起こる。大人をどこか冷めた目でみつつも、自らも大人への仲間入りが始まりいろいろ挫折を味わうなど人生思うようにいかず歯がゆい思いをする年頃、そうした中学生の気持ちを見事に表現している。エイジは主人公の名前であると共に、そうした年頃である中学生一般を表すAgeともかけている。

物語はエイジの心境に変化、通り魔として人を襲う黒い好奇心がうごめき始めるところは、読んでいる者にも緊張感が伝わってくる。