フィクション: 2014年1月 Archives

ロスジェネの逆襲ロスジェネの逆襲
池井戸 潤

ダイヤモンド社 2012-06-29
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前作「オレたち花のバブル組」の最後に子会社出向となった半沢直樹が、子会社で扱っていた買収案件が親会社に横取りされる。「やられたら倍返し」の如く、親会社に宣戦布告するも、状況は厳しい。何とか打開策を見つけたと思ったのもつかの間、半沢は人事上の脅しを掛けられ・・・。

時代のせいにして卑屈になっていた子会社の若手プロパー社員、一癖も蓋癖もある買収をしようとした社長夫婦、本書でも魅力的な役者が揃い、単純だけれど一筋縄に行かないストーリー展開は、相変わらず。

絶体絶命の状況下で、親会社(半沢直樹の出向元)の役員会議に乗り込むラストシーンは圧巻でさえある。ラストは・・・ここでは書くのは控えよう。あえて言うなら、「おれたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」「ロスジェネの逆襲」3つで1つの作品とだけ記しておこう(続編もありうるが、前作は明らかに本作の伏線だった)。
オレたち花のバブル組オレたち花のバブル組
池井戸 潤

文藝春秋 2008-06-13
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「半沢直樹」シリーズ第2弾。前作で主人公の要望通り、東京中央銀行東京本店営業第二部次長に昇進した半沢直樹。老舗ホテル「伊勢島ホテル」の再建を託された直後、巨額の投資損失が発覚する。さらに、金融庁検査が行われることとなり、ホテルの経営再建計画次第では融資責任まで問われることに・・・
ダイ・ハードの銀行版か、と思うほどピンチが次から次へとやってくる半沢直樹。前作同様にそれらを切り抜けていく様も面白いが、本作では主人公の同期で、かつて病気で休職したことが原因となり第一線を外れて「タミヤ電機」に出向した近藤の話も濃い。「タミヤ電機」が社長・部下であるはずの課長がぐるとなり粉飾や帳簿の改ざんをしていたのに気付いた近藤、冴えなかった人物が、プライドをかけ、復活しながら戦っていく様は、思わず応援したくなる。
前作、あるいは今まで読んだ氏の著作と異なるのが、ラスト。

※以下、ネタバレあり。



近藤が、自身の栄転と引き替えに告発文書を相手に渡すところや、半沢直樹も痛み分けという形でそれなりの処分を受けるなど、意外性も。
オレたちバブル入行組オレたちバブル入行組
池井戸 潤

文藝春秋 2004-12-10
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今更ながら、半沢直樹シリーズを手に取る。本書は第1弾、物語はバブル期に入行した主人公「半沢直樹」、時は流れ、中間管理職となり融資課長を務める。上司の強引な指示で融資した5億円が回収不能となり、その責任を一方的に押しつけられるが・・・。

池井戸 潤氏の作品全てに言えることだが、テンポ良い爽快なストーリーに、時間を忘れて吸い込まれていく。個性の強いキャラ立ちに、真の通った主人公。最後は正義が勝つという単純明快な展開ながら、推理的小説的な要素や、どんでん返しなど、読む者を飽きさせない。早く次が読みたくなる、最高の娯楽小説だ。