歴史: 2012年12月 Archives

憲法で読むアメリカ史(上) (PHP新書)憲法で読むアメリカ史(上) (PHP新書)
阿川 尚之

PHP研究所 2004-09-16
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いろいろ歴史書はあるけれど、本書は憲法からアメリカの成り立ちを追うという視点がユニーク。内容も堅苦しくなく、非常に面白い。

上巻では建国から南北戦争(序章として、ブッシュJr.の大統領戦を含む)までを範囲としている。アメリカ憲法は200年、ほとんど形を変えることなく現存することからも、非常に考えられ、作られているのがわかる。その生い立ちを読み解くと、なぜアメリカが弁護士社会なのか、なぜ得票率で勝っても結果で負ける大統領選が許されるのか、なぜ上院議員は1票の格差が70倍もあるのに問題とならないのか、などアメリカを理解できる、オススメの1冊だった。

印象に残ったのが、1819年3月6日のマカラック対メリーランド事件の判決で、マーシャル判事が連邦政府を「人民の政府であり、人民によって権限を与えられた政府であり、人民のために権限を直接行使する政府」と称している。そう、リンカーンの演説で有名な「人民の人民による人民のための政府」の基となる趣旨が、その約40年前にあったのである。(P.127)
イスラム教入門 (岩波新書)イスラム教入門 (岩波新書)
中村 広治郎

岩波書店 1998-01-20
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「入門」とあるが、池上氏の「大人も子どももわかるイスラム世界の「大疑問」 (講談社プラスアルファ新書)」と比べるとより歴史やユダヤ教・キリスト教との関係など、ある程度の知識を要するものの、より深い内容であった(そもそも、池上氏の著書と比較するのが間違いかも知れないが。。。)

歴史、教えや行い---即ち六信五行()、分派の違い、法的規範や政治との関係、原理主義との関係など、幅広く、主観なく描かれていて、教養としての知識は得られるのではないだろうか。
イスラム法として政治にも入り込んでいることがあるから、例えば女性の扱いなど、時代の変化にそぐわなくなってきていたり、あるいは過激派原理主義のような問題も出るけれど、同じイスラム教でも国によって全く異なっていてそれは一部でしかないこと、それが理解できるだけでも、本書の価値はある。

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