歴史: 2014年4月 Archives

私はガス室の「特殊任務」をしていた私はガス室の「特殊任務」をしていた
シュロモ ヴェネツィア 鳥取 絹子

河出書房新社 2008-12-11
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アウシュビッツに強制収容され、特殊任務部隊として同胞の遺体処理をになってきたシェロモ・ヴェネチィア氏。特殊任務部隊自体も、隠匿のために3ヶ月毎に抹殺されて入れ替えられるのだが、シェロモ氏は奇跡的に助かり、こうして語ることができた。本書は氏との対談形式で綴られる、歴史の暗部を明らかにする貴重な資料(シェロモ・ヴェネチィア氏が著者となっているが、実際に編集したベアトリス・プラスキエ氏に関するクレジットはない)。

アウシュビッツにやってきて選別された病人・女性・子供・老人らは、そのままガス室に詰め込まれ(ガスを節約するために、ぎゅうぎゅうに押し込まれる)、10分以上悶え苦しみ、絶命していく。後に残った遺体は眼球が飛び出たり、体内の液体・排泄物が外に出て、それは悲惨な状況だったのだろう。特殊任務部隊は、それらをひたすら焼却炉に運び、次のために(シャワーを浴びると言って押し込めるために)ガス室を綺麗にする。一度、母親の母乳を吸っていた赤ちゃんが奇跡的に助かっていたが、やってきたドイツ人将校がやってきて銃で殺したという話は、言葉にならない。

ガス室から死体を焼却炉へ運ぶ特殊任務部隊
ガス室から死体を焼却炉へ運ぶ特殊任務部隊(P.101)

罪悪感や感傷に耽る余裕などまったくない、生きるために必死だったという言葉が非常に重い。

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