本日の1冊: 「生き方」の値段―なぜあなたは合理的に選択できないのか?

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「生き方」の値段―なぜあなたは合理的に選択できないのか?「生き方」の値段―なぜあなたは合理的に選択できないのか?
エドアルド・ポーター 月沢 李歌子

日本経済新聞出版社 2011-09-22
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表紙はマンガチックで簡易(表層)的な本と思っていたが、中身は、非常に濃い、千慮を引き起こす1冊だった。
なぜその価格で買うのか。お金が増えると幸福度はあがるのか。普遍のテーマであり、方々でいろいろな研究が出ているが、本書は、世界各国の政策・研究事例をこれでもか、と紹介する。

価格決定ではロマンチックな店ではそれ以外の店と比べてデザートは14%高い価格設定をしているなんていう事例から、価格設定では有名なヴェブレン効果(ウェブレンと覚えていたが、本書では濁点が付いていた)まで、事例・理論の組み合わせが、読むものを飽きさせず、また考えさせられる。
幸せでは、ブータンのGNH(国民総幸福量)は当然ながら、宗教との考察が興味深かった。即ち、信仰度が高いほど幸福度が高い(書面では、具体的な所得の増加額で示している)とのこと。また、教養が高いほど、道徳や教養として宗教を利用しており、プロテスタントが多く、教養が低いほど、依存度が高くなりカトリックやモルモン教などを信仰する者が多いとのこと。

その他、一夫多妻制の利点や、1798年発行の「人口論」でトマス・ロバート・マルサスがこれ以上の人口増加は食料危機は避けられないと予測していた(が、それ以上に生産性があがったこと、先進国ほど少子化に転換することなど外れた)など、価格の設定の問題を飛び越して、様々な示唆を与えてくれた(一方、少しオーバーボリュームとも感じる)。

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This page contains a single entry by Yuki published on 2013年1月17日 22:06.

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