本日の1冊: 実践!交渉学 いかに合意形成を図るか (ちくま新書)

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実践!交渉学 いかに合意形成を図るか (ちくま新書)実践!交渉学 いかに合意形成を図るか (ちくま新書)
松浦 正浩

筑摩書房 2010-04-07
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冒頭で、交渉術と交渉学をはっきり区別している。そう、本書は心理的なかけひきなどのテクニックやコミュニケーションの仕方ではなく、あくまでも「学問」としての交渉を扱う。
まず交渉の時に、「立場」:表面的な主張と「利害」:最も交渉したい対象を意識することを重要視する。ここで、AとBという2人が居たとき、それぞれ「立場」と「利害」は以下だったりする。

     立場          利害
A  窓を開けて欲しい  換気したい
B  窓を閉めたい     寒い

こうして書けば分かりやすいが、実際、立場だけで議論し、平行線となることは多々ある(自省も込めて)。その上で、実際交渉するに辺りBATNA(Best Alternative To a Negotiated Agreement)やZOPA(Zone Of Possible Agreement)の概念を説明、後半では多数のステークホルダー(利害関係者)による交渉、(都市計画が専門だけあり)地域の住民協議や政治・社会問題の応用まで、幅広い。空気を読んでの決断、声の大きい人の主張に流れる、反論する人の出現で議論のひっくり返りといった問題への対処の仕方はどれも論理的で、逆にこれらを知らずに交渉することが如何に稚拙か思い知らされる。
「学」というがとても分かりやすく、奥深い、良書である。

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