本日の1冊: 数学的思考の技術 (ベスト新書)
数学的思考の技術 (ベスト新書) | |
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惜しい。タイトルがいかにも学術的で興味をひくものではないのだが、中身はわかりやすく(難解な部分もあるが)面白い。まずは目次を一部、引用する。
第1部 不安定な毎日を生き抜くための数学的思考
第1章 相手を自分の思い通りに動かすには第2章 給料が上がらないのはなぜか第3章 人に本音をいわせるテクニック第4章 「だらしない人」の経済学第5章 年金問題を数学から考える第6章 協力って、大事?第7章 不確実な世界における行動法則第8章 勝ち組は、運か実力か
第2部 幸せな社会とはどういうものか
第1章 どんな経済、社会が望ましいか第2章 今、コモンズを考える第3章 デフレ不況への処方箋第4章 伝統的な経済学の限界第5章 お金より大切なものはあるか第6章 私たちが暮らすべき魅力的な都市とは第7章 人間の「不完全知」といかに向き合うか
第3部 「物語」について、数学的思考をしよう
~省略~
タイトルで手に取らせ、中身が薄っぺらい本ほど腹立たしいことはないが、本書は正反対。凡庸なタイトル(失敬!)と比べ、各章のタイトルは興味をそそられるではないか。そして、中身はもっと面白い。日経新聞に時折登場する、経済の解説やゲーム理論などをわかりやすく、論理的に解説されている。
例えば第1部 第2章から、リスクを取らなければ人並みの給料しか手に入らないことが証明される。その他、人々が衰退産業にしがみつく理由として「ダウ&ワーラン効果」を解説したり(P.84)、魅力的な都市の条件が普通に考えるのと正反対、狭くて古今の建物混在し複数の機能を持って人口密度があること(P.158、アメリカの都市学者ジェーン・ジェイコブスが調査・分析)、など目から鱗の話も。
終盤は村上春樹の世界観が出てきて、単に数学的世界だけではなく飽きないと同時に、複雑な世界観の思慮を要求する。
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