本日の1冊: CIA秘録 その誕生から今日まで 上

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CIA(Central Intelligence Agency:米・中央情報局)を5万点の機密解除文書、10人の元長官を含む300人以上のインタビューから内幕・陰謀を明るみに出した驚愕の1冊。

著者:ティム・ワイナー(Tim Weiner)
NY Timesの記者。インテリジェンスを30年近くカバーし、国防総省・CIAの秘密予算を暴露して'88年にはピューリッツアー賞を受賞。'94年には自民党への秘密献金を明るみに出した。

CIA秘録上
CIA秘録上
文藝春秋 2008-11-12
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おすすめ平均 star
star実名に勝る情報なし、必見の本
star意外だった
starジャーナリストによるCIAの通史
star9.11が防げなかったわけ

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上巻は

 ・第一部 トルーマン時代:OSSからCIAの誕生
 ・第二部 アイゼンハワー時代:共産主義に対する幻想と日本含む各国に対する秘密工作
 ・第三部 ケネディ、ジョンソン時代

の3部からなる。事実は小説よりも奇なり。CIAが名目やプライドによる始める各種工作や、都合悪くなると工作員(協力者)の切り捨ても厭わない隠蔽、共産圏に対する誤った認識や畏怖から各国政府に対する諜報活動からソ連・中国に対する先生爆撃の検討など、想像以上の内容。特に興味深かったのが、以下の3点。

・ケネディ兄弟(JFK、RFK)のカストロ暗殺計画---これにより、ケネディ兄弟暗殺の理由も説明もつく。

・情報(推測)による軍事介入や、キューバへのミサイル搬入を見抜けなかった事実---大量破壊兵器の名目に開始したイラク戦争や9.11など、今日の失態は過去にも多々存在しており、その延長線でしかなかった。

・日本(岸・自民党)への秘密献金---靖国のA級戦犯合祀問題で、A級戦犯である岸が釈放され首相まで上ったことは世界が無実と認めたと発言したタレントが過去にいたが、この本によれば単なるアメリカの御都合主義であるとわかる。戦後、なぜここまで親米となったか、自民党が強力な第一党になり得たか。

尚、非常に内容の濃い本であるのは間違いないが、読み手を選ぶ本でもある。多大な登場人物、WWⅡ以降の冷戦含む歴史等、前提知識がないと退屈な内容となる可能性もある。(Amazonの批評でも、評価が分かれる理由と思われる。)

 

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This page contains a single entry by Yuki published on 2009年9月12日 10:39.

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