一考: 田中文科相の3大学設置不認可騒動

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来年4月に開校を目指す3大学の設置不認可を発表した田中文科相に対し、3大学を始め猛反発によって撤回、さらに謝罪するに至った。この件で非常に気になったのは、うわべだけで本質を考察した記事を見ていないので、ここに記載してみる。

田中文科相:「設置不認可」 翻意へ委員会で与野党包囲網
毎日新聞 2012年11月10日 15時00分(最終更新 11月10日 15時02分)
 田中真紀子文部科学相が秋田公立美術大(秋田市)など3大学を「設置不認可」とした問題は、田中文科相が発言を二転三転させたあげく「認可」に言及、9日にやっと謝罪して決着した。

発端は、

クローズアップ2012:文科相、3大学再審査へ 猛反発で一転「決断」 「問題提起」手法に疑義
毎日新聞 2012年11月07日 東京朝刊
 田中文科相の「問題提起」は、大学数の多さや審議会の在り方だ。この日の記者会見でも「乱立に歯止めをかける」と述べた。「方法に問題はあるが、問題提起は正しい」という声もある。
 規制緩和の流れを受け、03年度から文科省が大学新設の抑制方針を撤廃したこともあり、大学数は増加。00年に649校だった4年制大学は12年で2割(134校)増の783校となった。同省は今年度から財務情報や学生の就職情報を公開していない大学・短大への助成金を減額しており、定員割れなど経営難に陥っている大学の統廃合を促している。

にもある通り、大学の増えすぎと共に質の低下に対する問題提起だったのだろう。確かに、関係者が検討、合議してきた内容を就任したばかりの大臣が撤回するのは横暴、突発に思える。しかしながら、これは冷静に考えれば、大臣は職務である決裁を遂行しただけであり、これが騒動になるということがそもそもおかしい。開校前年の11月に大臣許可というスケジュールも、そもそも不許可を想定しないわけで、大臣はハンコを押すことしか期待されていない(余計なことはしてくれるな)という暗黙のルールが垣間見える。これは民主党が主張していた脱・官僚政治が進んでいないことを露見させたわけだ。

そもそも、数年の任期の大臣が、その道のプロである官僚とまともに戦えるはずもない。官僚支配を脱却するには、人事権を大臣が持つとともに、官僚と少なくとも互角に議論できるだけのスタッフ、体制としてシンクタンクがもっと必要と感じる。(※)

※例えばアメリカでは、政策に民間のコンサル会社が深く関わっている。
http://careers.accenture.com/us-en/about/news/Pages/military-veterans.aspx

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