本日の1冊: 最強国家ニッポンの設計図

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最強国家ニッポンの設計図最強国家ニッポンの設計図
大前 研一

小学館 2009-05-29
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年金、経済、エネルギー、領土・・・ニッポンのありとあらゆる問題について、大前氏の歯切れの良い口調で断言していく様は、気持ちいい反面、人によっては反感を覚えるだろう(事実、amazonの書評でも意見がはっきり分かれている)。

しかしながら、大前氏の最近の書は(アリストテレスでいうところの)ロゴスよりもパトスが強く出ているのが気になる。あるいは、人は論理では動かないと感じて敢えて発破をかける口調になっているのか。2009年の民主党への政権交代も、この時点で何も変わらないと切り捨てている辺りからも、低落する日本に対して一種の嘆きを感じているのではないだろうか。

論理的な根拠が記載されているところも適度にあり、そこは今の日本の問題点をシンプルに述べている。例えば景気対策のために安易に公共事業を連発するが、そもそもニューディール政策で行われたのがケインズ経済学の「有効需要の創出」という方法だが、これは「閉鎖経済における質量保存の法則」を前提にしているとのこと(P.303)。すなわち、グローバル化している今日では、いくら有効需要を創出しても、雇用が国内で発生して循環するわけではない、と痛いところを(しかし本質を)ついている。

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