Yuki: 2013年12月 Archives

日経平均を捨てて、この日本株を買いなさい。日経平均を捨てて、この日本株を買いなさい。
藤野 英人

ダイヤモンド社 2012-02-09
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ひふみ投信で有名な著者による津投資ノウハウ本。”投資の世界で素人は勝てないので、アクティブではなくインデックスを主とすべき”・・・こんな主張が多い中、著者は積極的にアクティブ投資、具体的には株を買うべきと言う主張を

 ・インデックスは現在儲からないが、単体で探せばいくらでも成長株はある
 ・インデックス投資は時代遅れとなった保守的・大企業に投資することとなり、世のためにならない

という2つの根拠で説く。
単に儲けるだけの主張でなく、社会の発展させるという強い想いがあり、共感できた。

中盤はPERやPBRといった指標の簡単な解説、後半は具体的な銘柄の紹介をしているが、指標類の解説はかなり初心者向け、後半の銘柄紹介は疑問な点もあり(例えば再生エネルギーを押しているが、ヨーロッパでは太陽光バブルが弾け、また価格の下落で中国メーカーでさえ回らなくなっている現状を見ると、腹落ちしない)、個人的には前半部分のみが特に参考になった。
お手伝い至上主義でいこう! ― 子どもの就職力を高める「ヒマ・ビンボー・オテツダイ」習慣お手伝い至上主義でいこう! ― 子どもの就職力を高める「ヒマ・ビンボー・オテツダイ」習慣
三谷 宏治

プレジデント社 2011-03-11
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アクセンチュア、BCGからPTA会長などを経験、現在はK.I.T.虎ノ門大学院で教鞭をとる著者による子育て論。子供に与えすぎていないか、自身の子供(3姉妹)の話を交えながら与えるべきものは「ヒマ・ビンボー・オテツダイ」であると説く。
人が国家・会社・家庭などでピラミッド上に構成され和や協調性といったものが重んじられてきた時代から個の重要性が高まる時代、全ての人がドラッカーのいうプロフェッショナル(知的労働者)となる必要がある時代に変貌していく中、どのように子供を育てるか参考になる。親(大人)が与えるのではなく、子供自身が考える力を身につける重要性は多くの人が理解するところだろうが、なかなか実践は難しいし、何よりどうそれを実現するかわからないことも多いだろう。その解が、著者によると「ヒマ・ビンボー・オテツダイ」とのこと。

お金で解決しない、多忙で考えることを放棄してしまうことをさせない、というのはなかなか説得力があった。もっとも、オテツダイというのはいまいちピンとこなかったし、子供が年頃の時に携帯も持たせないという強い意志が通せるか、私は自信ないが・・・。
ともあれ、本書も著者のシンプル・明瞭なスタンスは継承されており、まずは読んでみるだけでもいいのかも。
イノベーションとは何かイノベーションとは何か
池田 信夫

東洋経済新報社 2011-09-29
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先日の「未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II」がイノベーションのミクロの部分についてポジティブに解説していたが、こちらはマクロの観点でネガティブに論じている。
主たる主張は「はじめに」で列挙されており、具体的には以下の通りである。

1.技術革新はイノベーションの必要条件ではない
2.イノベーションは新しいフレーミングである
3.成功の法則はないが、失敗の法則はある
4.勝つのは安くてよい商品とは限らない
5.「ものづくり」にこだわる限り、イノベーションは生まれない
6.オーナー企業が有利である
7.知的財産権はイノベーションを阻害する
8.銀行の融資によってイノベーションは生まれない
9.政府はイノベーションを生み出さず、阻害する効果が大きい
10.過剰なコンセンサスを断ち切ることは重要


思い当たる節があるものから、意外な論点いろいろあるが、特にピックアップすると7.の著作権関連が興味深い。先進国では著作権を侵害する行為は犯罪という認識が強く、考慮しない中国を無法状態と考える。しかしながら、その結果、スマートTVといった新しい製品が中国で活発なのも事実(http://diamond.jp/articles/-/42605)。

本書は冒頭の通り、マクロでネガティブに書かれているので、個々の人が次アクションにつなげることは難しい。しかし、なぜ日本が停滞しているか、なぜ日本でiPhoneを作れないか、論理的に書かれているので、問題を理解するには最適の1冊ではある。

読後メモ:「ヒュームの問題」きのうまで太陽が昇ったことは、あすの朝もそれが昇ることを保証しない。(略)どんなに多くの経験からも、理論を機能するロジックは存在しないのである。(P.19)
未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学 集中講義II
ティナ・シーリグ 高遠裕子

阪急コミュニケーションズ 2012-05-31
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20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」の著者による続編。本書では、タイトルの通り未来を主体的に作る、クリエティビティの磨き方を説く。

著者によるとイノベーティブな思考には、3つの内的要因(知識、姿勢、想像力)と3つの外的要因(資源、環境、文化)を内から外、外から内につなげる相関性が重要とのこと。そして事例を多々交えながら、人々がどうやって月並みの発想を打ち破ったか紹介する。

イノベーティブは才能によるところが大きいと考えられがちだが、本書を読むと鍛えられることがわかる。例えば最初の方(P.12~)で、名札をデザインし直すという課題を学生に与える。当初はただ、目下の不満(=字が小さい)のみを対応するのみなのだが、名札の役割、もっと言うと何を求めているかを考え抜くことで、Tシャツになったりイヤホンになっていく(詳細は本書参照いただきたい)。

日本人は決まった仕様のものを作ったり改善は得意だが、新たな物を作り出す能力が弱いと言われて久しい。単に技術至上主義の物作りだけで立ち行かなくなるのは自明であり、今後は付加価値を如何につけるかということに苦心していかなければいけない中、とても参考になる1冊である。
一瞬で大切なことを伝える技術一瞬で大切なことを伝える技術
三谷 宏治

かんき出版 2011-11-11
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BCG・アクセンチュアという経歴をもち、今はIT虎ノ門大学院で教壇に立つこの著者は、どうして、ここまで物事をシンプルにできるのだろう。

MECEなどロジカルシンキングも、この著者にかかれば「塊」「つながり」という単語で表現する。重要な事を話す考え方は、「重み」と「差」のみと言い切る(詳細は、本書を参照されたく、ここでは言及しない)。

ただ、ロジカルシンキングをこれだけ簡単にされても、悲しいかな、人間はすぐに忘れてしまう。また、覚えていても、知っているのと実践できるに雲泥の差があるのは言うまでもない。
稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?
亀田 潤一郎

サンマーク出版 2010-12-02
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ベストセラーになっていたので読んでみたが、好みが分かれそうな内容だった。

著者が発見したという、年収=財布の価格×200という法則は、著者が会計士という職業柄良く接する中小企業の社長が5~10万円の財布を持っているというだけの話ではないだろうか。また、著者自身がLouis Vuitton のタイガを使うようになって年収がその財布の200倍になったというのも、よくある因果関係の錯誤だろう。実際、身の回りの普通のサラリーマンを見れば、財布1~5万円でピンキリであり、年収が200倍というにはあまりに標本が限定的と感じた。

一方、財布に余分なものを入れない、お金に気持ちよく居てもらうといった哲学的な話は、(やるかどうかは別だが)筋が通っていてなるほどと思える。

結論としては、真理として書かれている部分は懐疑的だが、著者のお金・財布に対する考え方は、学ぶところがあるといったところ。
完全レベル別 30代~50代のための海外投資「超」入門完全レベル別 30代~50代のための海外投資「超」入門
岡村 聡

東洋経済新報社 2012-03-09
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「超」入門というだけあり、投資(複利)の効果から目的設定まで、基本的なところから言及されており、また素人が投資を考える年利20%や無目的が如何に見当違いか、分かりやすく説明している(単発で勝てても、決して長続きしない)。

機械的な対応やアクティブ投資ではなくインデックス投資の重要性を、ダニエル・カーネマンで詳しい人間の認知の歪みの解説から如何に人が失敗するかから説明され、非常に説得力がある。さらに、ではどうすればいいかと言うことで、証券会社の口座から実際の投信・ETF・ヘッジファンドの購入例まで、手取足取り書かれている。

名の通り「超」入門なのだが、書かれていることは非常に奥が深い1冊だった。
ルポ 出所者の現実 (平凡社新書)ルポ 出所者の現実 (平凡社新書)
斎藤 充功

平凡社 2010-11-16
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出所者がどういう生活を送っているか、あまり知らない実情を、いくつかの実例をルポで書き綴り、彼ら(彼女ら)の置かれている環境や悩みを、そして社会がどうあるべきかを提言する。


刑務所に世話になったというだけで、社会の偏見というものは想像に難しくないし(実際、小生自身気にしないといえば嘘になろう)、社会復帰は楽でないのは理解できる。そうした事情からも出所者の再犯率が高く、その影響もあってか年々仮出所までの期間が長くなっているという。本人の責任は当然だが、社会がどう復帰を支援できるかまで踏み込んでおり、普段想像すらしない視点で考えさせられた。