Yuki: 2013年8月 Archives

ロジカル・プレゼンテーション―自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」ロジカル・プレゼンテーション―自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」
高田 貴久

英治出版 2004-02-01
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方々で推薦図書として挙げられていたのは知っていたが、プレゼンの本と軽い気持ちで手にしてみた。読み終えての感想は、バイブル本としてずっと手元に置いておくと断言するほどの濃さだった。

内容は提案から始まり、論理思考力、仮説設計力ではMECEやピラミッドストラクチャーといった基本的な技術を解説する。後半では、会議設計力、資料作成力として具体的なスキルの話に繋がる。所々、物語が挿入されており、読む者を飽きさせない。
最初から最後まで一貫して筋が通っており、抽象論など曖昧さが入り込む余地がない。例えば(人が)”納得しない場合の反応は二つしかない”、”論点を外す四つのパターン”、”相手のスタイルを理解する三つのコツ”、(チャートの)”レイアウトは四つしかない”など。話がかみ合わない場合の原因を探りたければ、ここに書かれたロジックだけで明確になる(これで伝わらないのは、感情論であったり、盲目的な、非論理思考者となるだろう)。

論点とは、示唆とは。会議の運営は、資料は同作るべきか。骨肉となり自分の言葉で言えるようになるまで、繰り返しになるが、手元に置いて何度も読み返すべき1冊。
昭和天皇 (岩波新書)昭和天皇 (岩波新書)
原 武史

岩波書店 2008-01-22
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本書は、第二次大戦を挟んでその存在が大きく変わった、昭和天皇に迫る。

神道に対する考えから、海外を見て先進的な考えをお持ちであったこと、第二次大戦を挟んで盲目的に戦争へ突き進んだ後、「象徴」として神格を降ろされたこと。本書は内面の心理や考えなど、垣間見ることができなかった世界を知れる。昭和が終わってだいぶ月日がたったからかも知れないが、慎重を要するテーマにも関わらず、赤裸々に、かつイデオロギーの類は一切省いて書いている。

新書らしくテーマの割に簡易な文調で、すんなりと読み通せる。過去の時代になりつつあるから、いや、むしろ歴史となったからこそ、読んでおきたい1冊。

BlackBerry Boldが壊れて、昔の携帯電話で急場をしのぎつつ、しばらくいろいろWatchしていた。海外でもそのまま使えるよう、2枚SIMカードが入るDual SIMのC1605あたりを狙っていたのだが、Xperia ST21がセールになっていたので購入。

ネット・メールは同じくSIMフリーのiPhone 4Sを継続して使用するつもりなので、通話用携帯は軽さ・バッテリの持ちを重視した(それならフィーチャー・フォン、いわゆるガラケーでいいじゃないかと言われそうだが、今更電話帳をコピーしたり小さいキーでせこせこ入力するのが億劫なので、Google Contact やFacebookと連係できるAndroidにした)。


到着、箱からして小さい。開けてみてのファーストインプレッションは、期待通りのコンパクトさ、マットな裏蓋など、価格の割りに安っぽさをかんじさせない外観は満足。

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裏蓋の外し方はちょっとわかりにくく、マニュアルを確認。案の定、プラスチックの薄い裏蓋なので、強引にやると簡単に壊れそうなのでこの辺は慎重に行う。
 

実際に動かしてみると、まずは画面の荒さが目立つ。iPhone 4Sの画面に見慣れているから当然といえば当然だが。
そしてアプリを動かすと、シングルコアのCPUとありお世辞にも速いとは言えない。ただ、肝心の電話とIP電話のSmarTalk、Google系のアプリ、Facebook入れた程度なら、使用上は問題なさそう。SIMは通話のみなので、データ通信はもっぱらWi-Fiのみで使用するが、アプリはほとんどいじらず、待ち受けが大部分の使い方でバッテリは丸々2日間持った。さらに、Wi-FiもOffにしていると、平日1週間は余裕で持ち、ここは期待以上(もっとも、常時データ通信&アプリも使用するメインでの使用となると、1日が限界か)。

1台目としては躊躇するところだが、自分のように2台持ちで通話専用や海外用と考えると、なかなかコストパフォーマンス的にもお勧めできる機種だった。

キャリア官僚の仕事力  秀才たちの知られざる実態と思考法 (ソフトバンク新書)キャリア官僚の仕事力 秀才たちの知られざる実態と思考法 (ソフトバンク新書)
中野 雅至

ソフトバンククリエイティブ 2012-12-18
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法案や国会答弁書、予算案作成から議員・団体への説明など、官僚の仕事内容を把握できる良書。一時期、天下り(それ自体を肯定するわけでないが)やタクシー内のビール接待などマスコミから叩かれていた官僚だが、実際にはその激務ぶり、優秀な人でもポストが限られている内情などなど知ると、一方的な非難はできなくなるだろう。

一方で、著者の経歴(官僚→学者)もあり、少し偏見があるように感じた。具体的には、官僚の優秀さや仕事の質を一方的に褒め称えるのだが、例えば比較として出したコンサル会社、どの程度知見があるのか解からないが、官僚のどこがコンサル会社よりどう優れているのか読み解けなかった。また、官僚の情報処理の能力が優秀なのは理解したが、あくまでも自分らのために動く組織である以上、そのアウトプットは外から評価されないのでは、と感じる。さらに、最も職位が上位の事務次官は同期で1人しかなれない、とあるけれど、民間でトップは同期どころか10年に1人ということもあるわけで、この辺も違和感を感じた。
日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」
水谷 竹秀

集英社 2011-11-25
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フィリピンパブなど、ホステスに入れあげて現地へ渡った日本人。やがてお金がなくなると捨てられ、挙げ句の果てに路上生活者になってしまう。退職金を持って、借金や犯罪で、日本に居づらくなり、状況は千差万別だが、フィリピンに渡り日本に帰るにも帰れなくなった人々をルポ形式で追う。

なかなか実情を知り得ない中、本書は本人、周りのフィリピン人、本人の日本の知人・家族まで取材し、また核心にまで突っ込み時には嘘まで見抜くだけあり、なかなか読み応えがある。一言で言ってしまえば自業自得・自己責任なのだが、なぜこうまで人生の歯車を踏み外したのか、興味深い。

また、捨てる神あれば拾う神ありでないが、フィリピン人達の心優しさも印象的である。特に次の一文は心に残った。

「日本人はとにかく人目を気にしますね。いい意味で人のことを思いやる、自分さえよければ、じゃなくて社会全体のことを気にするというか。小学生のころ、人の迷惑にならないようにと教えられませんでしたか?でもフィリピン人は四六時中人に迷惑をかけっぱなしだから、逆に自分が迷惑かけられてもどうってことないんですよ。ストレスを感じないっていうか。日本人はいつも迷惑かけないようにって生きてるんですよ。だから、少しでも迷惑を掛けられるとすごく怒ってしまいますよね。困窮している日本人も、日本人が相手だったらきっと世話になれないですよ」
外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々
藤沢 数希

ダイヤモンド社 2012-09-14
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ブロガーとして有名な著者が、自身も働いていた外資系金融の内情を赤裸々に綴る。なまなましく黒い実態あり(話半分フィクションとして読んでいるが)、どこか共感してしまうのは、著者の文章もさることながら、良いところも悪いところ平等に書きながらあるべき金融世界を訴えているからだろう。一方で、世間離れした世界に、嫌悪感を抱く人も多いのもわかる。
著者の「反原発」の不都合な真実同様、主義は一貫しており、非常に面白い1冊だった。
良い戦略、悪い戦略良い戦略、悪い戦略
リチャード・P・ルメルト 村井 章子

日本経済新聞出版社 2012-06-23
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ビジネス、軍事、政治、宇宙、など様々な分野のケーススタディと共に、戦略とは何か、どうすべきかを説く。非常に明快で分かりやすい文章と共に、コミカルな例もあってさらっと読めてしまうが、中身は非常に濃い1冊だった。

著者によると、戦略を立てるカーネル(一般的にいうフレームワークと理解)は、診断、方針、行動だという。聞けば当然のようだが、診断が抜けて現実に即していなかったり、行動を伴わない夢や願望的な戦略が多いという言葉には、ついつい思い当たる事例は枚挙にいとまがない。
ファスト&スロー (下): あなたの意思はどのように決まるか?ファスト&スロー (下): あなたの意思はどのように決まるか?
ダニエル・カーネマン 友野典男(解説)

早川書房 2012-11-22
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人間の思考を直感(システム1)と推論(システム2)でモデル化して解説した上巻に続き、下巻では錯覚やバイアスを多数解説する。

著者がノーベル経済学賞をとったプロスペクト理論や、多数掲載される例題はどこかで見聞きしたことも多いことからも、人間の非合理性を追求してきた第一人者たる故だろう。純粋に楽しめるだけでなく、判断を誤った際のリスクが大きい投資や高額商品の購入時など、活用場面は多い。
自分のアタマで考えよう自分のアタマで考えよう
ちきりん 良知高行

ダイヤモンド社 2011-10-27
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コンピュータが登場してから、記憶の重要性は低下した(最も、これは文字が発明されたとき、活版印刷が発明されたときにも言われていることではあるが)。21世紀は知識よりも考えることが重要になると言われて久しい。しかし、「考える」とはなにかを明確に言うことは、意外に難しいのではないか。

本書では身近の事例(例えばプロ野球から自殺者数など)を元に、データから気づきを得るまでの思考プロセスを明かす。ブログ程おちゃらけてはいないが、わかりやすいシンプルな書きっぷりは健在。本書はただ読むだけでなく、読み終わったらぜひ身近の例を使って同様に自分の頭で考えてみたい。

P.S.本書とは少し関係ないが、かなり先と言われていたコンピュータが人間に将棋で勝つことが起きた。コンピュータの性能向上と共に、莫大なパターンをシミュレーションできるようになったのが大きいだろう。とすると、人間の考えることも大部分がいずれコンピュータに置き換わるのではないか。何が、人間に残るのだろうか。。。