Yuki: 2013年7月 Archives

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)
岡田 斗司夫 FREEex

幻冬舎 2012-09-28
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朝日新聞に掲載された人生相談の内容を、回答と共に、そこに至るプロセスを明かす。

相談内容はタイトルにある”オタクの息子に悩んでます”を始め、"20歳の娘がダッコをせがみます"、"女優と結婚したいです(男子高校生)"など難問奇問ばかり、普通の感覚だったら一蹴して終わりだろう。
また、もしまじめに答えるとしても、大抵は思いつきになるのではないだろうか。

本書では、回答を作るために使うツール・メソドロジーを紹介し、実際の相談・回答文を例に、どう相談内容を分析して回答内容を構築するか解説する。売れる相談回答とはこういうことか、もっと言うと、考えるとはこういうことなのか、と実感させられた1冊。
論理が伝わる 世界標準の「書く技術」 (ブルーバックス)論理が伝わる 世界標準の「書く技術」 (ブルーバックス)
倉島 保美

講談社 2012-11-21
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論理的な書き方は、バーバラ・ミントの「考える技術・書く技術」を筆頭としたロジカルな思考法を避けて通れないが、いかんせん、即効性のあるものではない。

本書は、気軽に読める文書量で、基本はパラグラフにするというメッセージをトップに、種々のテクニックをサンプルと共に掲載しており、即効性が高い。
大前の頭脳 「産業突然死」時代を生き抜く知恵大前の頭脳 「産業突然死」時代を生き抜く知恵
大前 研一

日経BP社 2009-07-09
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本書は、日経BPのウェブサイトに掲載されている連載記事を書籍化したものである。連続して読むと、ウェブで読んだとき(シングルイシュー)とは違い、複数の記事を通すことで、大前氏の根底にある主義・主張がより見えてくる。

扱うネタはその時々の時事問題であり、今となっては正直古い感じも否めない。しかし、いかに問題に気づき、考え、解を出すかという点、氏の日本を愛する姿勢(合理的に考えたら、ここまで日本に執着しないだろう)は一貫している。
さっさと不況を終わらせろさっさと不況を終わらせろ
ポール・クルーグマン 山形 浩生

早川書房 2012-07-20
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アベノミクスの根底にあるリフレ政策を理解できる1冊。賛否両論はともかくとして、なぜ不況時に財政出動が必要なのか、なぜインフレ目標を立てるのか、その理由が理解できる---少なくとも、著者は経済学者であり、ロビイストや日本の族議員のように利益誘導ではない。

一方、意図的か否か不明だが感情的な記述が多い反面、腹落ちしない点や新たな疑問が多々、発生した。例えば、
・財政出動や金融緩和を行ったとして、グローバル社会では国内にお金が留まらないので効果は限定的ではないか。
・デフレ下の日本でも実質GDPは下がっておらず、生活面でも不況感はあまりない。デフレ(インフレ)と景気の関連性に実感がないのではないか。
・財政出動が有効に機能した例は、そもそもあるのか(ニューディール政策などはWWⅡ特需などでかき消されており、)。
など、読後感は不完全燃焼だった。
クアトロ・ラガッツィ (上) 天正少年使節と世界帝国  (集英社文庫)クアトロ・ラガッツィ (上) 天正少年使節と世界帝国 (集英社文庫)
若桑 みどり

集英社 2008-03-19
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ライフネット生命の元社長・出口氏の書評より、読んでみる。

時は16世紀、西洋と日本が初めて交わった歴史的に重要な時代だが、知識が日本側からの一方的な見方と、西欧の中の歴史に分断されていたので、両極面から描く本書は新鮮だった。特に、世界の覇者となった西欧側が日本人への宣教のために訪れるも、数々の苦労や努力をする様は新たな歴史的認識を得る。即ち日本文化への適応、経済的枯渇から貿易に勤しむ内情、西欧内の対抗意識(ポルトガル・スペイン)など。

また、なぜ日本人にキリスト教が受け入れられていたかという点で、仏教との比較で対する利点と共通点を挙げている。利点としては、仏教は悪事が来世も続くのに対し、キリスト教は懺悔で救われることを、共通点として聖書の句の朗読は読経、大勢の読経は合唱、説教は同じ、ミサと茶道や袱紗の使い方などなど数多いことを挙げる(P.252)。

ボリュームあり難読な点もあるが、日本史・世界史という括りだけでは決して分からない、当時の世界観を明示してくれる。