Yuki: 2013年5月 Archives

ベアード・トゥ・ユー(下)ベアード・トゥ・ユー(下)
シルヴィア・デイ 中谷ハルナ

集英社クリエイティブ 2013-01-04
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下巻では、敢えてネガティブな面を書いてみる。

これは著者に限った話ではないが、女性の描く官能ものの男性は、いかんせん、不自然に感じる。外面、肉体や言動はこれ見よがしに男性的に描きつつ、心情的な物は女性的な考えを抜けでない。そして、少し離れてみると、くっついた、離れた(離れそうになった)、またくっついた、、、というサイクルも、どこか、冷めて見てしまう。

最も、上記は、本書の魅力に比べたら末梢だろう。上巻の部で述べた読みやすい、楽しめる、と言った点は変わらず。気付けばあっという間に読み終え、読後感は十分に満足感を覚える。


ベアード・トゥ・ユー(上)ベアード・トゥ・ユー(上)
シルヴィア・デイ 中谷ハルナ

集英社クリエイティブ 2013-01-04
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もともと自費出版だったが、反響により書籍化、NY Tymes のベストセラーにもランクインされた本書。

文章は非常にダイレクトですらすら良く読めるだけでなく、行間には微妙な登場人物の心情も含まれており、軽々しさを感じさせない。主人公2人含め、個性的な登場人物達もストーリーに花を添える。

たまにはさくっとした読み物を、純粋に娯楽を楽しみたい、そんな時に満足できる1冊。
自分をえらんで生まれてきたよ自分をえらんで生まれてきたよ
いんやく りお

サンマーク出版 2012-05-23
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障害をもって病弱だったりおくんだが、決してその環境にもめげず、むしろそれを前向きに捉える言動に心打たれる。一方、スピチュアル的なものに半信半疑なものとしては、生まれる前の知識や子供が言ったとされるあまりに哲学的な言葉には、素直に腹落ちしない。また、読んだことがないので偏見ではあるが、監修している池川 明氏の著書と、シリーズ物かと見間違えるほど似ており、本書の中身にもいろいろ色がついているのではと勘ぐってしまう。
夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち (中公新書)夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち (中公新書)
橘木 俊詔 迫田 さやか

中央公論新社 2013-01-24
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一億総中流という潮流が崩れた昨今、家族の最小単位として夫婦の現状を詳細に分析した1冊。格差社会と言われるように(妥当性については、私見は割愛する)、夫婦も高収入同士、低収入同士、専業主婦、夫婦それぞれの職業、などさまざまなパターンを分析しており、その情報量は圧巻。

一方、著者の都合をそのまま掲載している情報も多く、研究書という域を出ない感が否めない。例えば、夫婦の組み合わせ(それぞれの大学、職業、etc.)を分析するのに、男側からみた場合と女側から見た場合を分けて掲載しているが、これは単なるサンプルの問題と思われ、読者にとっては不要である。

また、後半ではそれまでの分析とは温度が変わり、如何に家族制度を守るか、貧困を防ぐか、といった主張が混じってくるが、これは唐突感を感じる---例えば、夫婦という制度についても、未婚の母の割合があまり変化していないのは先進国で日本くらいであり、今後も日本の状態が続くのか否か、といった考察が適していると思われる。
専門家の予測はサルにも劣る専門家の予測はサルにも劣る
ダン・ガードナー 川添節子

飛鳥新社 2012-05-23
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同じ著者の「リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理」と同様、人の過大評価を扱う。本書では、専門家と言われる人々の予測でさえ、いかにあてにならないかを説く---タイトルの”サルにも劣る"は、サルに選ばせる予測と、専門家の予測結果に差異がないことからつけられている。

専門家の予測が仰々しく扱われ、人々が翻弄されることは多いが、著者は以下の視点で問題があると言う。

・予測結果を検証することはまれ、またいくつもの予測から当たった物だけをピックアップするなど、メディアの扱い方に問題がある。
・人はメタ認知、あるいは不安定な未来を課題に識別するなど、バイアスが掛かりやすい。

どちらも前作「リスクにあなたは騙される」に通じる物があるが、多くの事例で物事を冷静に考えるきっかけを与えられる。
デイトレード―マーケットで勝ち続けるための発想術デイトレード―マーケットで勝ち続けるための発想術
オリバー ベレス グレッグ カプラ Oliver Velez

日経BP社 2002-10
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アメリカでトレーダーを養成する機関の創業者が、投資で生き残るための指南書。投資の本というと、テクニカルやファンダメンタルな内容がほとんどだが、本書は心構えについて書いている---正確に言うと、原著では心構えとテクニカルの二部構成なのだが、翻訳されたのが前半の心構えのみとなる。

トレーダーで生計を立てるプロ、というと大きな利得を設けるイメージを持ってしまうが、いかに騙されやすい直感をコントロールするかという話と、反省・分析の繰り返しと言った地道な努力に尽きる。種々のマインドを解説するのだが、特に、(中身ではないのだが)帯の「勝者は希望を売り、敗者は希望を買う」が心に残る。
ブラック・ジャック創作秘話~手塚治虫の仕事場から~ (少年チャンピオン・コミックス・エクストラ)ブラック・ジャック創作秘話~手塚治虫の仕事場から~ (少年チャンピオン・コミックス・エクストラ)
吉本浩二

秋田書店 2011-07-08
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鉄腕アトムなどのヒットからアニメの時代へ移り、苦境に陥るも新境地となるブラックジャックやブッダなどのヒットで復活するまでを漫画化。様々な人の証言なども入り、どういう風に仕事をしていたかが赤裸々に綴られる。

素直な感想は、こうまでも一心不乱に打ち込んだからこそ、あれだけの名作の数々を描けたんだと納得。アシスタントなども同様に寝ず食わずを共にしているが、いまでは間違いなく”ブラック”と言われるであろう。
図解 クラウゼヴィッツ「戦争論」入門 (中経の文庫)図解 クラウゼヴィッツ「戦争論」入門 (中経の文庫)
是本 信義

中経出版 2006-10-03
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難解なクラウゼヴィッツの「戦争論」を、ポイント毎に史上(主にWW2)のサンプルをもとに解説してあり、わかりやすい。概要が簡易に理解できる。未だ原著を読んでいないので本筋を理解したとは言えない身であるが、概要は理解できる。

一方、タイトルにもある”図解”については、今ひとつ。様々な記号でサンプル事例を表しているのだが、凡例もなく、それらを繋ぐ矢印が時系列を表していたりロジックの繋がりだったり、バラバラ。頭の中の整理途中のメモ・・・を脱しない印象だった。