Yuki: 2013年3月 Archives

竜馬がゆく〈5〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈5〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎

文藝春秋 1998-10-09
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池田屋の変、蛤御門の変と、長州藩の動乱、それによる佐幕に傾く過程が描かれる。ここで、勤王的な動きは完全に潰えるかに見える。史実を知っていても、そうした動きは興奮さえ覚える。

さて、竜馬はと言えば、勝により西郷隆盛と出会い、お互い認め合っていく。何気ない小話から始まるも、ここに歴史の偶然、必然を感じさせる描写が、読む者を惹きつける。その勝は、先の変で海軍学校からも長州に加わった土佐浪士が居たことから幕府に呼び戻され、肝心の船は没収される。
さらに竜馬の色恋ありと、読む者を飽きさせない。
イスラームから世界を見る (ちくまプリマー新書)イスラームから世界を見る (ちくまプリマー新書)
内藤 正典

筑摩書房 2012-08-06
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キリスト教の文化圏である西欧でも政教分離が今では当然となっている中、無宗教がほとんどの日本では宗教が密接に政治と絡むイスラムの世界(注:イスラムでも政教分離の国はある)は理解が難しいところ。本書はイスラムの歴史と共にそうした世界観を、さらにはイスラムから見た西洋圏を知ることができた。

アラブの春としてエジプト、シリア等の民主化運動を西側のメディアは総じて賞賛するが、その先の事、具体的には民族・宗派による対立を想定していることは少ない(自分は本書を読むまでまったく考えが及ばなかった)。中東の民主化というのが西洋の考えの押しつけであるか、また難しいか、思い知らされる。

著者は中立・客観的、というよりはかなりイスラム世界寄りの発言をされていて、その世界観を知らなかった者にとっては自分のように違和感をもったり、あるいは否定的な考え方を持つ者もいるかもしれない。事実、amazonの書評では批判的な意見もあった。しかし、メディア含め日本で手に入るほとんどの情報がキリスト・西洋の考え方である中、アジテーションを目的とするのでなければ、こうした異論を知ることも世界観が広げるために必要と感じた。
政友会と民政党 - 戦前の二大政党制に何を学ぶか (中公新書)政友会と民政党 - 戦前の二大政党制に何を学ぶか (中公新書)
井上 寿一

中央公論新社 2012-11-22
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民主党の政権奪取は、2012年の衆院選の結果を見るまでもなく、失敗というのが大方の見方だろう。改革の是非はともかくとして、今後の日本に二大政党制を予測した論調も目立ったが、二大政党制の本質をついたものは少なかった。本書は、タイトルの通り歴史から二大政党制を考察し、相手の失点が自党の得点になるため政策競争にならない、党利党略になりやすいといった欠点を示唆する。最後に、今回の民主党と自民党の類似点にも言及しており、政権交代時の引き継ぎや日本としての一貫性(少なくとも、過去の歴史を無視した「最低でも(沖縄)県外」といった類の発言を戒める。

政権交代時には、アメリカのように今後の日本も二大政党制に移行することを予測する論調も目立った。果たして、二大政党制を実現しているアメリカと何が違うのか考えてみた。まず、芯となる軸の有無だろうか。アメリカではキリスト教と先進性、自由(小さな政府)と連邦制(大きな政府)といった大きな差異があるのに対し、日本では本質的なところでは変わらない。また、アメリカは政権交代時にはスタッフ共々入れ替わり、その上で国として一貫性は担保できるよう引き継ぎの仕組みがシステムとしてあるのに対し、日本では事情を知らない、あるいはスタッフとなる官僚変わらず、能力的にも彼・彼女らの方が上手だったりするので、いくら政党が変わっても何も変わらないか、混乱を起こすだけなのだろう。
日本人のしつけは衰退したか (講談社現代新書 (1448))日本人のしつけは衰退したか (講談社現代新書 (1448))
広田 照幸

講談社 1999-04-15
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少年(少女)の犯罪が起きると決まって耳にする家庭教育の崩壊。本書は、インタビューや時代背景、データに基づきそうした迷信を否定する。さらに、過去と現在だけではなく地方・都会、上流・中流・下流と言った他の分解要素によって分析しているのが興味深い。結論から言うと、家父長制時代の過去のしつけとは家の仕事のことや村のルールであり、むしろ現代の方がよっぽど子供のための教育・しつけはされているとのこと。

そもそも、しつけ(教育)と一言で言っても、人により知識主義と人格主義、後者はさらに童心主義(子供らしさ)と厳格主義に分かれ、それぞれで矛盾した点で一筋縄でいかないことに気付かされる(P.58)。
一般に、マスコミ情報(特にTV)は耳に入りやすいよう簡略化やシングル・イシュー化されるが、そこからどうやって真相を探るか、ということを気付かされる。

コノスルのピノノワールが出ていたので、初めて試す。ピノノワールは味・価格とも差が大きく、さらにコストパフォーマンスがあまり良くないので敬遠することが多いのだが、本品はさすがコノスルブランド。お手軽な価格で、芳醇な甘みやベリーの香りを楽しめる。個人的には同じくコノスルのメルローと同等、あるいはそれ以上と感じた。

味          :★★★★☆
辛さ          :★★☆☆☆
渋さ          :★★☆☆☆
フルボディ       :★★☆☆☆
コストパフォーマンス:★★★★☆

2013-03-16 13.55.57.jpg

竜馬がゆく〈4〉 (文春文庫)竜馬がゆく〈4〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎

文藝春秋 1998-09-10
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竜馬が海軍育成に苦心、金策に走り回り、いよいよ船を調達する。当時は誰もがすっ飛んでいると思っていた夢を思い描き続け、実現した心境は計り知れぬ。と同時に、尊皇・佐幕といった思想が、如何に小さいことか。いや、当時の人々はそれでも自分の信念に従い、忠実に生きたのだろう(切腹することとなった竜馬の親友、武市もしかり)。そしてその違いは何か、所々にヒントが出てくるが、竜馬に大局を見、時流を読む能力に長けていたの一言だろう。
そんなこんな考えながら、物語は折り返し地点、いよいよ面白さもスピードアップしてくる。
ハーバード流宴会術ハーバード流宴会術
児玉 教仁

大和書房 2012-11-24
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宴会術という、本人の個性、もっと言うと天性によるところが多いと思われるスキルを、体系的に整理した本。著者は商社でスキルを得て、ライフネット生命副社長・岩瀬大輔氏と同期となったハーバードで仕組みを学んだとのこと。

宴会に対する準備、当日、翌日それぞれの心構えからタスクまで、ユーモアたっぷりに説く。面白い、素晴らしい宴会(パーティ、レストラン、ホスピタリティ求められる場面は全て同様)は、こうしたホスト側の考え・準備のたまものだろう。
ここまで考えるのか、やるのかと感心しているだけではダメなのだが、さて、自分はできるだろか。。。