Yuki: 2013年1月 Archives

松下幸之助から未来のリーダーたちへ松下幸之助から未来のリーダーたちへ
松下 幸之助(述) 佐藤 悌二郎(編著)

アチーブメントシュッパン 2010-03-25
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未来のリーダーたちへ、ということで若手向けの本と捉えたが、人生の哲学的な内容を多分に含んでいるため、年齢に関係なく読める。構成はすべて、哲学・信条的な一文とその解説が1ページで纏められており、その後、実際に松下幸之助が遭遇した逸話を掲載している。実例の部分が読み物としてメインを占めるわけだが、一見とんちのような、疑問にさせられるような話あり、のんびりした(実際はしらないが)松下氏の口調あれば一喝する場もあり、なかなか面白く読める。

よくこれだけの考えを生み出し、まとめたと変なところに感心すると共に、偉人から学ぶことは多いと改めて感じる。

略奪大国~あなたの貯金が盗まれている!~略奪大国~あなたの貯金が盗まれている!~
ジェームス・スキナー

フォレスト出版 2011-12-21
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膨張を続ける医療費など社会保障費と連動する国債の残高。社会保障の見直しせず、イギリスのように規制緩和による経済立て直しを目指すこともしない日本が国債を減らすには、ハイパーインフレ(=借金の実質的な価値を下げる)しかないのでは。インフレ目標を掲げた安倍新政権に対し、そんな疑いを持って本書を手に取った。

序論でうまい話の元祖という逸話が挿入されている。アメリカに渡ったポンジという人が繰り広げた詐欺より、ネズミ講の英語をポンジ・スキーム(Ponzi scheme)という話(P.13)は、中身への興味を十分にそそられた。

しかし、内容の稚拙さというか、論理の飛躍や問題を過度に単純化した内容は、正直読むのが苦痛になる。挙げればきりがないが、いくつかサンプルを示すと以下の通り。
例1:バブルの崩壊が湾岸戦争による海外プロジェクト凍結が原因(P.112)とするが、その頃の海外投資は7兆円程度で日本の経済に影響を与えるほどのものでもない。
例2:サブプライムローン問題の原因はバーゼルⅡによる銀行の資本比率の操作(P.126)としているが、当時のアメリカの地価上昇や移民の増加、世界的な金余りなど、いろいろある要因を無視している。

最終的な解決策が、日本がアメリカの51番目の州になるこというのには(これまた根拠が不十分だが、指摘は割愛する)、下手なSF小説を読んでいるよう。

この本で役に立ったのは、冒頭のポンジ・スキームと、規制によって日本のディズニーランドのウェスタンリバー鉄道はアメリカと異なり駅が1つしかない(2つ作ると国土交通省に申請が届けが必要となり、また営業時間の変更などでもダイヤ変更として届け出がいるとのこと。P.206)の2つの豆知識くらい。

本日の1冊: FBI秘録

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FBI秘録FBI秘録
ロナルド ケスラー Ronald Kessler

原書房 2012-03-09
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アメリカ連邦捜査局、FBIを、フーバー時代から2011年のオバマ大統領の時代まで、扱ってきた事件や手法、内情を明らかにする。ゴシップから戦術作戦部隊(TacOps)や極秘進入操作の内情、冷戦時代の二重スパイ捜査からオサマ・ビンラディン殺害のSEALsチームとの協力などなど、どれも興味深い。

著者はワシントンポストの元記者で、本書はFBIの協力・インタビューあるとのことだが、FBIがここまで内情を本にしてしまうことを許すという点をとっても、驚くばかりである。
TYRE GRIP [ タイヤグリップ ] スプレー式タイヤチェーン BGTG-1[HTRC2.1]TYRE GRIP [ タイヤグリップ ] スプレー式タイヤチェーン BGTG-1[HTRC2.1]

TYRE GRIP 2011-11-24
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眉唾ものじゃないか、半信半疑だった本商品だったが、この価格(購入時3200円)なら、と保険・お守り代わりで購入していた。先日(1/14)の大雪の翌日、チェーンが破損して使う機会が発生したので、レビューがてら記す。

商品の説明によると、北米・北欧ではノーマルタイヤだけでなくスタッドレスタイヤにも使用されるとのこと。説明通りトレッド面にまんべんなくスプレーし、5分程度放置する。実際に走ってみると・・・おそるおそるアイスバーン化した路面を20km/h程度で走る。この程度では問題ない。止まることもできる。そして5度以上あるアイスバーン化された路面で、ストップ&ゴー。FFのワゴンで、ノーマルタイヤでは確実に発進できない状況だが、これをスプレーした状態では問題なく発進した。まだ裏道をちょろちょろ走る程度だったが、はっきりと効果あり、特に年数回しか雪が積もらない都会などでは、緊急用として、他人ににも常備を薦めたい1品だった。

気になる航続距離だが、70km程度(英語では70mile:80km程度)とあり、ドライ路面を走ると急激に効果が落ちるとのこと、まさに緊急用であり、これだけで遠出するのは不可能だる。また、量的には20台分=タイヤ80本分(日本語表記はタイヤ20本分とあり、誤訳と思われる)と表記されており、たまにの積雪に使う程度ならスタッドレスタイヤはおろか、チェーンと比べてもコストパフォーマンスは非常に高い。
デメリットとしては使った後にタイヤに白い後が残る。特に側面はなかなか消えないので、タイヤの汚れも気にする方は、適さない。なお、成分は天然樹脂等で、環境汚染はないとのことだった。
山でバテないテクニック [ヤマケイ山学選書]山でバテないテクニック [ヤマケイ山学選書]
羽根田 治 中村 みつを

山と溪谷社 2008-03-19
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単純に歩き方や行程など、実行時の対策を期待して本書を手に取ったが、中身はバテの事例から始まり、食事やトレーニング、実際の登山での歩き方・道具(パッキング)など、素人が登山の準備に際し考えうる対策が一通り学べる1冊だった。

バテの事例を記載していることで、実際どのようにバテていくのかイメージしやすい。その対策としてどう準備するのか、遅筋・速筋などの説明から具体的なトレーニングまで書かれている。歩き方などは勘違いしていた点もあり、また行程の計画で予備時間を50%付与するなど数値を記載している部分など、参考になる点は多かった。

毎年少なからず遭難者が出る登山、少なくとも素人が山登りをする際にはぜひ手に取るべきと感じる(中身も非常に厳選されて簡潔に書かれており、1〜2時間もあれば読み終える)。
「生き方」の値段―なぜあなたは合理的に選択できないのか?「生き方」の値段―なぜあなたは合理的に選択できないのか?
エドアルド・ポーター 月沢 李歌子

日本経済新聞出版社 2011-09-22
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表紙はマンガチックで簡易(表層)的な本と思っていたが、中身は、非常に濃い、千慮を引き起こす1冊だった。
なぜその価格で買うのか。お金が増えると幸福度はあがるのか。普遍のテーマであり、方々でいろいろな研究が出ているが、本書は、世界各国の政策・研究事例をこれでもか、と紹介する。

価格決定ではロマンチックな店ではそれ以外の店と比べてデザートは14%高い価格設定をしているなんていう事例から、価格設定では有名なヴェブレン効果(ウェブレンと覚えていたが、本書では濁点が付いていた)まで、事例・理論の組み合わせが、読むものを飽きさせず、また考えさせられる。
幸せでは、ブータンのGNH(国民総幸福量)は当然ながら、宗教との考察が興味深かった。即ち、信仰度が高いほど幸福度が高い(書面では、具体的な所得の増加額で示している)とのこと。また、教養が高いほど、道徳や教養として宗教を利用しており、プロテスタントが多く、教養が低いほど、依存度が高くなりカトリックやモルモン教などを信仰する者が多いとのこと。

その他、一夫多妻制の利点や、1798年発行の「人口論」でトマス・ロバート・マルサスがこれ以上の人口増加は食料危機は避けられないと予測していた(が、それ以上に生産性があがったこと、先進国ほど少子化に転換することなど外れた)など、価格の設定の問題を飛び越して、様々な示唆を与えてくれた(一方、少しオーバーボリュームとも感じる)。
「反原発」の不都合な真実 (新潮新書)「反原発」の不都合な真実 (新潮新書)
藤沢 数希

新潮社 2012-02-17
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2011.3.11後初の衆院選挙結果を見ても、原発問題は冷静さを取り戻してきたように思える。しかしながら、それは冷静に考えた結果というよりは、単に意識しなくなっただけというのが正しいところでは無いだろうか。反原発の主張根拠は、以下に集約されるだろう。

・危険性
・コスト(賠償コストを加味すると原発は高いといった類のもの)
・その他のエネルギー源で代替できるという誤解
・核廃棄物

本書ではこ危険性、代替に対する誤解、廃棄物に対し、具体的に原発を停止した際の弊害をデータ含めてわかりやすく解説する(特にこのわかりやすさは秀逸で、Web上で有名な人物であるのもうなずける)。出典はきちんと明示してあり、ファクトベースで著者の主義・主張の類でないことも、信頼できる。

まず危険性であるが、(他の発電方式との)比較と、原発自体に分けられる。前者では、WHOのデータより大気汚染で年間115万人、日本では3.3万人~5.2万人が亡くなっていること、そのうち3割が発電所からの大気汚染物質であることを示し、原発を停めることによる危険の増加を提示する(P.20~)。これは、統計上感知できない低レベル放射性物質と異なり、疫学的に認められているものである(例えば、今日本では原発を停めてたくさんの火力発電をフル稼働しているが、石炭火力は放射性物質や重金属を出し、かつ原発を停めることで環境アセスを簡略化する方向にある)。特に、原発の放射能ばかり気にして3.11の後に香港に脱出した外資企業があるが、実は東京の最大放射線量は毎時0.07マイクロシーベルトだったのに対し、中国の石炭火力発電所の影響が大きい香港では毎時0.14マイクロシーベルト
だったというのは、皮肉である。ここで、年間の死者の量によってニュース価値・メディアと人々の反応を以下の通り分類しているP.47の表(以下、抜粋)は、大変興味深い。

 年間死者数      例                 ニュース価値  反応 
  0~100人      放射能、O157、狂牛病    大         パニック
  100~5000人   HIV、熱中症           中         社会問題化
  5000人~20万人 交通事故、大気汚染、自殺   小         日常化

また、原発自体の危険性としては、低放射線被曝の危険性が否定されること(公平に言えば、完全否定されるものでもないと思うが、統計上有意なデータが出ない)、高放射線障害は原発作業員に症状が出ていないようにコントロールできること、さらに最新の原発ではフクシマのように電源喪失しても冷却してメルトダウンしないといった、技術的なところにも踏み込んでいる。

次に他のエネルギーで置換できるといった誤解は、再生エネルギー(風力・太陽光)は不安定で効率悪くコストがかかるため主力になり得ないことを、先にFIT(政府による補助制度)を導入して失敗したドイツ・スペインの弊害をもとに示す。また、火力では資源問題や、公害による健康被害やCO2(地球温暖化)問題などと絡め解説する。

最後に廃棄物に対しては、今はロンドン条約で縛られているけれど海洋投棄がオプションの1つになりうることを、放射性物質は重いので海底に沈殿すること、中国やソ連は日本海に散々投棄してきたこと(それで問題が出ていない)など技術・政治・歴史より示す。また、太陽光発電もイタイイタイ病の原因物質であるカドミウムなど大量の廃棄物を生み出す(しかしながら、放射性物質のように厳格な管理はされない)こと、核廃棄物の体積が非常に小さいこと、さらに現状は核廃棄物がゴミとなるのはコスト的な問題で、将来、再利用が化石燃料等を下回れば新たな燃料源になりうることなど、核のゴミ問題が言われるほど問題でないことを示す。

そもそも物事は全てに対して最良ということはなく、大抵はリスク・コストその他、比較によって決めるべきだろう。しかしながら、原発に関してはなぜか問答無用に悪とする論調が多いのが不思議である。もともと感情論の多い反原発であるが、本書を読むとそれらは単なる感情問題の粋を超えていかに弊害が多いか、再考のきっかけになるのではないか。
メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)
松永 和紀

光文社 2007-04-17
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記憶に新しいあるある大辞典の納豆ダイエット問題は単に放送側の倫理的な問題だったが、白インゲン豆ダイエットのように、TV放映された内容を試した人が嘔吐・下痢で病院に担ぎ混まれるようなことも。これは極論ではあるが、メディアの情報を鵜呑みにせず如何に自分で考えて捉えるか。そんな問題提起を、様々な事例を基に投げかける1冊。

添加物・遺伝子組み換えパッシングや自然志向といった白黒単純論、昔はよかった的な感傷論からニセ科学(マイナスイオン、水からの伝言)や政治経済に利用される・た問題(バイオ燃料、地産地消、トランス脂肪酸)の誤解を、科学的に解説する。実際にそこまで読み込むかどうかは別にして、それらに対しては科学者や学者の論文を示しており、新たな問題に対してファクト(真偽)を調べればよいか参考になる---最も、そうした論文はほとんどが英語なのだが。

メディア、特にTVの情報は単純であり、思考せずに受け入れることは楽である。が故に、多くに人はそれを信じるのだろう。しかしながらその情報も作ったのは同じ人間、そこには欲(視聴率、関連食材の販売、知名度)や怠惰(調査分析・聞き込みなどの手抜き)、思いこみ・間違った正義感や政治経済情勢、長いものに巻かれる的な思考といったものが入り込む余地は多分にある。一部、著者の思い、感情が強いと感じる箇所もあったが、物事を考えるきっかけとして、必要な書だった。


備忘録:
食品安全情報Blog(国立医薬品食品衛生研究所安全情報部・主任研究官 畝山智香子氏の個人ブログ)http://d.hatena.ne.jp/uneyama/
コンサルタントの読書術 確実に成果につながる戦略的読書のススメコンサルタントの読書術 確実に成果につながる戦略的読書のススメ
大石哲之

tyk publishing 2012-11-30
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如何に短時間で多量の書物から情報を吸い上げ、結果を出すか。コンサルの読書の仕方(研究でも比較的近いと思うが、時間の有限性や結果重視の度合いが異なるだろう)に焦点を当てた、「思考力が目覚める ロジカル頭脳問題集」や「過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題」の大石哲之氏による著書。
”如何に読書から成果を出すか”という命題に対し、単に読書の部分だけではなく、読書を決心するところから読み終えた後まで、考え方やテクニックが以下のように論理的に纏められている。

・読書の目的(問題意識から始める)
・本の収集(不要な本のフィルター)
・読み方(ロジカルシンキング、雲雨の部分に集中)
・成果へつなげる(事前にアウトプットを設計)

多くの人は、漠然と最初から読み始め、所々うなずき・メモしながら、最後まで読むだろう。何か有益そうなことが書いてあり、試してみようと思いながら忘れてしまう。。。小説などストーリーものでは、当然そのような読み方をすべきだろう(推理小説、時間がない・面白くないので結果だけすぐに、というのもありそうだが)。本書の読書術がターゲットにするのは成果を出すことであり、そのためにはまず問題意識=目的から始まる。そしてその目的に対し、同じ題材の本を数十冊見て読む本を5~10冊程度にフィルターし、そこから有益な情報を抽出することを説く。そしてすぐ実践(もともと問題から始まっているので、実践の場がある)することで身につくという。1冊の本をしっかり読まないことで中途半端な知識になる、身につかないのでは?と疑問を持ちそうな点に対しても、しっかりと伏線を敷いている(詳細は本書を読んでいただきたい)。

本書はKindle専用で出たが、この価格がすごい(何度か値下げされ、2013/1/2現在126円)。実験的な意味合いもあったと推測するが、まさに、Kindle(電子書籍)ならではの価格設定だろう。正直、中身に数点、誤字が見受けられたのが残念だが、この値段でこれだけ有益・ボリュームの本が読めるのなら、そうしたミスも薄れてしまう。一方で、今後、こうした価格が主流になっていくと、アフィリエイトも変わらざるを得ないだろう。。。