Yuki: 2012年3月 Archives

1回の会議・打ち合わせで必ず結論を出す技術1回の会議・打ち合わせで必ず結論を出す技術
斎藤 岳

東洋経済新報社 2008-06-27
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会議の運営、ファシリテーション能力について”テクニック”を論理的なストーリーと共にまとめた1冊。「ザ・ファシリテーション」と同様にストーリーを通じて各種テクニックを示す形式だが、こちらはストーリー部分がおまけに近く、また全体的に内容が(いい意味で)シンプルなのでテクニック部分がわかりやすい。こうした簡単な本をテキストに、何度も読み返すのが、身につきやすいんだろうと思う。
世界の放射線被曝地調査 (ブルーバックス)世界の放射線被曝地調査 (ブルーバックス)
高田 純

講談社 2002-01-18
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ビキニ環礁のマーシャル諸島やチェルノブイリ、東海村臨界事故(c.f. 「朽ちていった命」)から、カヤーク・プルトニウム製造企業体での核災害、カザフスタン共和国の核実験場付近、シベリアにおける核爆発産業利用など、文字通り世界を飛び回り放射能汚染の実態を計測する。
構成としては最初に放射線とは何か、解説があり、中盤大部分を現地レポートが占め、最後に核災害の防御で終わる。放射線の説明では、内部に取り込んだ放射性物質が半減する生物半減期とう概念も説明されている(例えば、物理半減期のCs-137:セシウム137は生物半減期100日)いる。また、放射能防御では、ヨウ素剤の代わりにルゴールやヨードチンキ、昆布の方法なども掲載。

科学者らしく、いたずらに放射線を怖がるわけではなく(旧ソ連では放射能汚染されたキノコによるディナーがおいしいなていうブラックジョークも)、粛々淡々と分析してあり、放射能汚染の理解が深まる。


福島の事故後、放射能の話題に事欠かないが、だからこそ、それ以前の科学的な知見は非常に参考になる。例えば生物半減期はTVなど一般のメディアでは見たことがないし(遥かに長い物理半減期のみ出して、いたずらに恐怖心を煽っている?)、甲状腺の防御に至ってはルゴールやヨードチンキは控えるよう、昆布を食べても効果が少ないと、放射能障害とのデメリット比較という判断軸がないままアナウンスされたのは記憶に新しい。
不必要に放射能を恐れさせる結果(E.g.東日本大震災:原発事故後に精神科入院、被ばく恐怖「影響」24% 福島県立医大、県内の患者調査 (出典:朝日新聞))もあり、単に放射線の害だけではなく、メリットや過剰な反応によるメリットなど、多面的に物事は考慮したい。脱・原発問題から、話は脱線するが消費税・増税問題など、Yes/Noだけの1元的な問いはそもそも問題ではなく、思考停止を招くだけである。
ユニクロ帝国の光と影ユニクロ帝国の光と影
横田 増生

文藝春秋 2011-03-23
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破竹の快進撃を続けるユニクロ。そのユニクロもかつては安かろうダサかろうというイメージであったり、あるいは一過性のフリースブームによる失墜や野菜事業の失敗もあった。それでもここまで伸びる理由はなんであろうか。本書はユニクロの会長・社長で一時は社長交代も数年で更迭&社長返り咲きするなど、実質ユニクロを1人で背負っている柳井正氏にスポットを当てつつ、内情を探る。

ビジネス書・雑誌ではユニクロを絶賛するところが多い中、いまいちユニクロの実態が見えていなかったので、貴重な1冊。柳井氏やユニクロの生い立ち(小郡商事)から、元社員の声、そして中国の生産現場から柳井氏本人へのインタビューなど、徹底した取材内容から見えてくるユニクロの強さ、柳井氏の人間性。そしてSPAの一時代を築きつつも衰退したGAPの例、業界リーダーのZARAとの比較から見えてくるユニクロの脆弱性。今後、柳井氏が去った後はユニクロがどうなるのか、いらぬ心配半分、興味半分。

なお、社員の声などは得てしてネガティブな声が多く、今まさに働いている人や去って行った社長初め役員達の声はほとんどなく、スッキリしない部分が残る。
加害者家族 (幻冬舎新書 す 4-2)加害者家族 (幻冬舎新書 す 4-2)
鈴木 伸元

幻冬舎 2010-11-27
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犯罪は被害者の家族は当然ながら、加害者の家族にも暗い影を落とす。しかしながら、加害者家族の実情はなかなか知る機会は少ない。いや、無言電話に嫌がらせなど、知っていても、家族も同罪なのだから迫害も仕方ないという江戸時代の五人組的な思考であったり、良くても興味すら持たないだろう。
本書は様々な凶悪犯罪、交通事故加害者などの家族の状況から心境を追ったルポタージュ。宮崎勤、オウム真理教、神戸の児童連続殺傷事件(酒鬼薔薇)。被害者の怒りややるせなさは当然なのだが、ある日加害者になってしまったそれらの家族の状況も筆舌に耐え難いものがある。脅迫や嫌がらせ、名前を変え住むところを変え逃げるように暮らすことになる彼らに、社会的なサポートは何もない。
正直、何が正しいのか何とも言えないが、イギリス・オーストラリア・アメリカなどの海外事例では、加害者家族の会があったり、全国から加害者の家族をサポートする便りが来たり。そもそも考えてもいなかったことに驚きの連続である。
思考の幅を広げる意味でも、読んで起きたい1冊。
大金持ちも驚いた105円という大金大金持ちも驚いた105円という大金
吉本 康永

三五館 2009-05-22
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ローンの返済が回らなくなりそうになった還暦近い予備校教師が、せどり、即ちブックオフなどで仕入れた本をAmazonマーケットプレイスに出品して人生を立て直す。その売上額、なんと月100万円以上というからびっくり。
せどりのテクニック的な内容も書かれてはいるのだが、著者の人生に始まり思い出に残った本の紹介など、むしろせどりの人生記のような内容。いや、それだけの売り上げをあげるために、自宅に8000冊近い本を在庫し、毎日休み無くメール確認に発送、クレーム処理と実情を知ってしまったらおいそれとできないことは目に見えてわかる。これはやはり、ストーリーとして楽しむレベルが1番なのだろう。
ザ・ファシリテーターザ・ファシリテーター
森 時彦

ダイヤモンド社 2004-11-12
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ファシリテーションのノウハウを、ストーリー仕立てで学べる。「ザ・ゴール」と同じデザインでシリーズものの1つか、と思うも作者がエリヤフ・ゴールドラットではない。期待半分で読むと・・・「ザ・ゴール」に劣らず有益・面白い物語だった。

主人公がフレームワークなどファシリテーションのツールを駆使しながら、会社を建て直していくストーリーの中には、山あり谷あり、読者を驚かす展開も含まれており、なかなか飽きさせない。肝心のファシリテーションのノウハウもフレームワークや各種ツール類からテクニックまで多々含まれており、ファシリテーターのテキストとしても有益。

以下、備忘録。

1920年代、シカゴにあるウェスタン・エレクトリック社のホーソン向上で行われた実験。(略)証明、温度・湿度、休憩の回数・時間、インセンティブ給などいろいろな物理的条件を変えてみたが、どれも作業効率との間に明確な相関性を見いだせなかった。(P.304)

内臓の動き、血圧、感情・・・。自分の心や体でも自分の意志の力でコントロールできるものは少ない。(略)その中で、呼吸は、ある程度石によってコントロールできるユニークな機能だ。その呼吸に集中することで、本来不随意であるはずの血圧や、内臓の動きを調えることができる。(略)禅や世が、自律訓練法などが教えているではないか。(P.332)
ザ・プロフェッショナルザ・プロフェッショナル
大前 研一

ダイヤモンド社 2005-09-30
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大前研一氏がプロフェッショナルを定義する1冊。ドラッカーの予言通り、知的労働者と作業者の差が歴然とする時代、どのように立ち振る舞うべきか指南書。本書によると、プロとしてもつべき能力は具体的に「先見する力」「構想する力」「議論する力」「矛盾に適応する力」と定義される。いずれも、解のない世界を生き抜くのに必須の能力だろう。
本書の内容は至極端的に書かれているが、分かったつもりは容易く、実践は難解。理想を思い浮かべつつ、自分をどこまでそこへ寄せられるか。。。
ドラッカーの「プロフェッショナルの条件」と同様、1度は(理想は何度でも)読みたい1冊。