歴史: 2014年10月 Archives
決定版 日本のいちばん長い日 (文春文庫) 半藤 一利 文藝春秋 2006-07 売り上げランキング : 8938 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
広島、長崎を経て終戦へ向けた議論、天皇の降伏聖断。そして8月14日から15日正午の玉音放送までの緊迫した24時間を克明に(一部、史料が不十分な箇所はその旨明記有り)記す。
戦争継続派によって起こされたクーデターによって皇居を占拠されるも、ちょっとしたきっかけから玉音放送を録音したテープリールを奪われなかった偶然によって、承知の通り無事に終戦放送に至る。実は終戦も、ぎりぎりの状況でなしえた奇跡と知る。
国の存続のために降伏を決意した天皇、指導者。同じく国を憂い、降伏を翻そうとクーデターを起こした青年将校、敗戦の責任を感じて自害する阿南陸相。手段や結論としての正しさは別として、共通するのは、登場人物の日本を強く想う気持ちに、心揺さぶられる。
アジアを救った近代日本史講義 (PHP新書) 渡辺 利夫 PHP研究所 2013-12-14 売り上げランキング : 251653 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
拓殖大学総長・渡辺氏が、学生に行った講義をまとめた1冊。アジアを侵略した犯罪者という中国・韓国による批判や、朝日新聞のように捏造記事で日本を貶めようとする声が目立ち、自虐的な評価が目立つ近代の日本史。本書は客観的・肯定的に捉える。
小生が理解した、著者の主張は3つ。即ち、欧米に対する猛追と勤勉により日本はアジアで唯一、列強の植民地にならなかったこと。そしてアジアへの進出は、弱肉強食であった帝国主義の当時において、日本の行いは批判をうけることではなく(日本が進出しなければ他の国が進出していた)、むしろインフラ整備など現地の発展に貢献したこと。最後に、東京裁判は、それまでの国際法では合法だった行為を罰した、法の不遡及の原則から逸脱していたこと。
太平洋戦争は、アジアを救ったという大東亜戦争でもなければ、一方で日本の侵略戦争だったというのも正しくない。本書は前者に偏りすぎているが、少なくとも日本の歴史を不必要に卑下していたら、必読の一冊。