自己啓発: 2014年1月 Archives

なぜ、間違えたのか?なぜ、間違えたのか?
ロルフ・ドベリ 中村智子

サンマーク出版 2013-09-10
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人間が犯す間違いの心理的なパターンを、52の”落とし穴”として、1つずつショート・ストーリーとともに解説する。著者はナシーム・ニコラス・タレブと知人というだけあり(?)、ブラック・スワンの話も随所に出てくる。

”落とし穴”には、サンクコストのように比較的よく知られたものもあるし、平均回帰などファスト&スローなど他書で読んできたものも多かった。本書は新たな理論を出すわけではなく、方々で証明されてきたものを集めたに過ぎない故、amazonのレビューも低評価なのだろう。

本書の価値は、シンプルに整理されていることだろう。ブラックスワンやファスト&スローがいくら素晴らしくても、あれだけの文量をおいそれと読み返せない。何度も読み返し、あるいは参照できてこそ、”落とし穴”を意識して回避できる。もし深く知りたいときには、文末に参考文献が載せられれているので、そちらを読めばいい。
仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法
内田 和成

東洋経済新報社 2006-03-31
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問題解決技法として、コンサルの世界では定石である仮説アプローチを解説する。

なぜ仮説を持つべきか、なぜそれが有益なのか。信じられないが、著名な著者自身、初期はそうした考えを持たず苦労したという。苦労して会得したからこそ、また生産性の高い、問題に対処するスピードの速い同僚や若手を数多く見てきたからこそ、仮説の重要性を説く部分に重みを感じる。

一方、例示するサンプルが経営課題に集中しており、これから仮説思考を学ぶという人間に対してはあまりピンとこないだろう。読者のターゲットがどこにあるのか、分からなかった。後者が目的なら、 『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』の方が適していると感じる。
諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉
為末 大

プレジデント社 2013-05-30
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スポーツ選手が、しかも世界陸上で2度のメダルを獲得した著者が”諦める”を肯定することに驚きを覚えるも、読んで納得。これだけ戦略的に考え抜いたからこそ、結果も残せたのだろうと理解した。

諦めるの反語は諦めない、努力するだろうか。一見、"努力"とは美しく肯定的に扱われることがほとんどだが、時には思考停止でもあり得る。
よく日本人は与えられたルールの下で努力することは得意だが、ルール自体を変える、自分が勝てるフィールドを作るのは苦手と言われるが、これも”諦める力"の不足、いや、思考停止での"努力"が原因なのだろう。

読む前は単にスポーツ選手の書いた1冊という認識だったが、為末元選手の思慮深さ、また仏教など多方面についての知の深さに感銘を受けると共に、人生の指南書と言ってもいいくらいの良書であった。
親と子の「伝える技術」親と子の「伝える技術」
三谷 宏治

実務教育出版 2013-05-14
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どこかで読んだことあると思えばそのはず、本書は「一瞬で大切なことを伝える技術」の親子版とのこと。前書で書かれていた具体的・抽象的×事象・心象の2×2のフレームワーク(中身は割愛)を、曖昧・ハッキリ×現象・気持ちと言葉を置き換えていたり、寸劇(?)の挿絵写真も多用されており、著者がさらにわかりやすさを追求しているのがわかる。

ほんのさわり程度ではあるが、ハーバード教育大学院のVisible thinking(思考の可視化)の紹介をするなど、ただ軽いだけでなく理論も学べる。

理論というと難しく考えてしまいそうだが、ほめた回数を数える、ルールを紙に貼る、など具体的で簡単なアクションに落とし込んでいて、さらに子供のように”できた”シールまで付録としてある。

近年の非行や若年鬱は、親や周りの大人が過干渉であることが多いというのも興味深い(P.148~)。子育ての目的・目標は何かと答えられる人はどれくらいいるのだろう。つい目先を見てあれもこれも気にしてしまいがちだが、長期的な視点、高い視野を持つように意識したいと、自戒した1冊だった。

以下、読後メモ。
バーバラ・フレドクリソンはポジティブ心理学において、人はポジティブさがネガティブさの3倍を超えると成功すると発見した。但し、ネガティブさも必須。ゼロだと暴走して失敗する。(P.102)