自己啓発: 2012年10月 Archives

「困った人」の説得術「困った人」の説得術
出口 知史 伊東 明

日本経済新聞出版社 2011-08-09
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”困った人”を評論家クレーマー、職人クレーマー、思考停止クレーマー、現実逃避クレーマー、近視眼クレーマーに分類し、それぞれについて対策を述べている。一見、それぞれ適当に名付けていそうだけれどうまく分類されており、多数がやっかいと思う人は上記のいずれかに属するのではないだろうか。著者はコンサルティングファームに属していたとなるほど、その分類の納得感(MECE)に頷く。

それぞれに対する分析も的を得ていて、チャレンジしてみよう(そんな人達に遭遇しないのが1番なのだが)と思わせるとともに、そうした人達を如何に持ち上げるか書かれているのを見て、これら困った人はその人の一部の側面でしかないと気付かされる。対立が全ての解決策ではなく、如何にお互い向上するか。と同時に、自分自身、こうした”困った人”の顔がでていないか、ちょっと冷静になってみる。


不動産投資「やっていい人、悪い人」──年収200万円時代に備える (講談社プラスアルファ新書)不動産投資「やっていい人、悪い人」──年収200万円時代に備える (講談社プラスアルファ新書)
長嶋 修

講談社 2010-05-21
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ロバート・キヨサキのお金に働いてもらう考え方を引用して、不動産投資の魅力を語るが、いきなり冒頭で万人向けではないと言い切る。ニーズの把握、資金調達、物件探しのホーム・インスペクションからメンテナンス。さらに、自分が何を実現したいか、それらを全て考慮・対応できて初めて、不動産というものが魅力的になると諭す。いい面、悪い面含め、必要な情報や考え方を幅広くまとめてあり、不動産始める気がなくても、それがどういったものかと理解する上で良書であった。
実践!交渉学 いかに合意形成を図るか (ちくま新書)実践!交渉学 いかに合意形成を図るか (ちくま新書)
松浦 正浩

筑摩書房 2010-04-07
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冒頭で、交渉術と交渉学をはっきり区別している。そう、本書は心理的なかけひきなどのテクニックやコミュニケーションの仕方ではなく、あくまでも「学問」としての交渉を扱う。
まず交渉の時に、「立場」:表面的な主張と「利害」:最も交渉したい対象を意識することを重要視する。ここで、AとBという2人が居たとき、それぞれ「立場」と「利害」は以下だったりする。

     立場          利害
A  窓を開けて欲しい  換気したい
B  窓を閉めたい     寒い

こうして書けば分かりやすいが、実際、立場だけで議論し、平行線となることは多々ある(自省も込めて)。その上で、実際交渉するに辺りBATNA(Best Alternative To a Negotiated Agreement)やZOPA(Zone Of Possible Agreement)の概念を説明、後半では多数のステークホルダー(利害関係者)による交渉、(都市計画が専門だけあり)地域の住民協議や政治・社会問題の応用まで、幅広い。空気を読んでの決断、声の大きい人の主張に流れる、反論する人の出現で議論のひっくり返りといった問題への対処の仕方はどれも論理的で、逆にこれらを知らずに交渉することが如何に稚拙か思い知らされる。
「学」というがとても分かりやすく、奥深い、良書である。