自己啓発: 2011年10月 Archives

質問する力 (文春文庫)
質問する力 (文春文庫)大前 研一

文藝春秋 2005-03-10
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バブル後の地価下落、冷戦崩壊・ビルゲイツからの世界、シンガポールの奇跡を題材にそれぞれ章立ての後、様々な問題に対して問題提起・一刀両断する。その量、テンポは相変わらず、圧巻で心地よい。その対象は年金、国債、ペイオフ、北朝鮮問題、郵政民営化などから、”原子炉は安全でない”など今まさにホットな題材など枚挙にいとまがない。ただ問題提起するだけでなく、プレート課税、英語教師採用の国籍条項撤廃、道州制など(著者の他の本やWebの原稿を読んでいると繰り返しも多いが)アイデアも提案多い。

目から鱗だったのが、歴史教科書を疑う点。開国時代にも日本に優秀な人材が居たと言うことで幕臣小栗忠順を挙げているが(P.268、新井喜美夫『幕末日本を救った救った「先見力と胆識」』プレジデント社、1992)、そうした人物も、現在の日本の歴史の教科書は明治維新の薩長土肥の後輩達が書いたものだから、幕府側の官僚は悪役としてしか出てこないのである。ただ鵜呑みにしていては、見落とす、知らないことがいかにあるか。

本書を読んでなるほどと感嘆するのは易し、如何に同じような、問題の着眼点・思考力を鍛えられるか。自問したい。

P.S.氏の著書の中では、比較的口調が穏やかであった。
凹まない人の秘密
凹まない人の秘密アル・シーバート 林田レジリ浩文

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2008-04-15
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困難に遭遇したときに、それに負けず、場合によっては逆境をバネにするような人の特性、心のResiliency(弾力性)を持つ人の共通の性質を特定し、獲得する方法を示す。

問題に集中、好奇心、多様性、周りを動かす力、逆境を幸運にする力・・・後半に行くほど、天性で努力ではいかんともしようがない性格のような気もするが、ポジティブな気持ちを意識するかどうかが重要なのだろう。薄い本なので、何かの隙間にさらっと読んだり、時々手にとってみるのがいいかもしれない。
「知の衰退」からいかに脱出するか?
「知の衰退」からいかに脱出するか?大前研一

光文社 2009-01-23
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論理的な批判的な言動が目立つ大前氏だが、分厚い(440ページ)本書でもその切れ味ある論調は留まるところをしらない。

政治の体たらくに対する批判を目にしない日はないくらいだが、選挙から制作に至るまで表面的な事象しか報道しないマスコミ、そして最終的には我々自身が何も考えていないことを嫌というほど痛感させられる。低IQのTVが氾濫、何も欲せず、何も考えず生きる人が多いことを氏は嘆く。

今の中国や韓国にあって日本にないもの、「坂の上の雲」。その他、国民1人あたりのGDPが日本を超えたシンガポール、成長著しいインド、現状でも次々に日本の価値が下がっていく中、常に先を見通してきた著者にとって将来の日本はどのように見えているのだろうか(想像に難くない、悲惨な状況が本書の悲観論になっているのだろう)。

それでも決して悲観論一辺倒ではなく、一図の希望も残して本書を綴っている。後半では、他の本でも散々言っている現代の3種の神器「IT」「金融リテラシー」「英語」、学ぶべき他国の事例など。読者に考えさせるための設問が随所に織り込まれている。その中でも、最後の問い、「今日からあなたはどのように行動しますか」は重い。