社会: 2014年2月 Archives

反省させると犯罪者になります (新潮新書)反省させると犯罪者になります (新潮新書)
岡本 茂樹

新潮社 2013-05-17
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出版社の意向だと思うが、新書はタイトルで釣ろうとして奇抜になる本が多いと感じる。そして、そういったタイトルの本は中身も一致している(=こちらが知らなかった斬新な主張をしている)ものと、ロジックがおかしかったり中身が違うなどがっかりな本に二分されるように思う。

本書は少しタイトルが言い過ぎと感じつつも、主張している内容は一般論と異なりつつも至極まっとうだった。

何か悪事を働いたとき、親や学校と同様に、刑務所でもまずは反省をさせるらしい。反省する態度をすることによるインセンティブが働くため、反省したフリが先に来て、考えが深まらないという。まずやるべきは、自分の気持ち・行いを認め、なぜそうするに至ったかを考えることで、本当の反省が出てくるという(なので、「反省させると・・・」というタイトルはひっかかるのだが)。

本書を読んで、2つ、思うところがあった。

まず1点目が、子供の教育場面。小生も子供時代、怒られることでまずは誤り方を考えていたと気付かされる。即ち、上べっつらしか考えていなかったので、また同じ事を繰り返す=同じ事を誤るのループがあった(そして誤ることだけが上達する)。自分が親になり、子供を叱って謝れば許したり満足していないか、本書を読んでより意識するようになった。

もう1つが、交通事故。日本では交通事故を起こして人を殺傷してしまうと、まず業務上過失傷害罪として犯罪者になり、これは鉄道・航空も同様である。アメリカが個人には刑事罰を課さず、原因を追及するのとは対照的である。私は日本人の多くが人の処罰・反省を第一に望み、真の原因究明まで思いが至らないことが多いと常々思っているので、言わば国民性だろうと推察する。

本書の言わんとすることは十分理解できるも、犯罪者の更生という点ではいまいちピンとこなかった(また、人によっては感情が先立ち拒否反応を示すだろう)。著者の専門だから仕方ないのだろうが、身近な例を持ち出した方が、より納得感があったと思う。