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夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち (中公新書)夫婦格差社会 - 二極化する結婚のかたち (中公新書)
橘木 俊詔 迫田 さやか

中央公論新社 2013-01-24
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一億総中流という潮流が崩れた昨今、家族の最小単位として夫婦の現状を詳細に分析した1冊。格差社会と言われるように(妥当性については、私見は割愛する)、夫婦も高収入同士、低収入同士、専業主婦、夫婦それぞれの職業、などさまざまなパターンを分析しており、その情報量は圧巻。

一方、著者の都合をそのまま掲載している情報も多く、研究書という域を出ない感が否めない。例えば、夫婦の組み合わせ(それぞれの大学、職業、etc.)を分析するのに、男側からみた場合と女側から見た場合を分けて掲載しているが、これは単なるサンプルの問題と思われ、読者にとっては不要である。

また、後半ではそれまでの分析とは温度が変わり、如何に家族制度を守るか、貧困を防ぐか、といった主張が混じってくるが、これは唐突感を感じる---例えば、夫婦という制度についても、未婚の母の割合があまり変化していないのは先進国で日本くらいであり、今後も日本の状態が続くのか否か、といった考察が適していると思われる。