育児: 2014年1月 Archives

成功する子 失敗する子――何が「その後の人生」を決めるのか成功する子 失敗する子――何が「その後の人生」を決めるのか
ポール・タフ Paul Tough 高山真由美

英治出版 2013-12-19
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貧困・教育問題を専門に扱ってきた著者による、最新のアメリカ教育理論で、NYタイムズや成毛氏が絶賛していたので読んでみる。

成功というと大げさだが、何が子供の人生の充実度を決定付けるかという点について、考えさせられる1冊。最近の研究によると知識や知性よりも、非認知的スキルと呼ばれる性格面の能力、具体的には粘り強さや自制心、好奇心、誠実さ(勤勉さ)、ものごとをやり抜く力が大きく影響することが分かってきている。これは、『本日の1冊: 親と子の「伝える技術」』でも同じ事を言っていたが、こちらはさらに踏み込んで書かれていて、実際に行われてきたプログラムとその結果を紹介する。

読んでまず頭に浮かんだのが、同様に好奇心や集中力・持続性・楽観性・リスクテイキングが人生のキーファクターであると説く Planned Happenstance Theory だった。つまり、教育・育児だけでなく、大人にも非認知的スキルは有効と言えよう。

日本の教育は未だ主観・経験に基づく点が多い反面、システマティックに体系立てられているアメリカの教育論もウォッチしていく必要性を強く感じた(アメリカは、昔は黒人の知能が低いという常識があり、人種による知能を検証してきたため、今では客観・体系的に整理されているのだろう)。
親と子の「伝える技術」親と子の「伝える技術」
三谷 宏治

実務教育出版 2013-05-14
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どこかで読んだことあると思えばそのはず、本書は「一瞬で大切なことを伝える技術」の親子版とのこと。前書で書かれていた具体的・抽象的×事象・心象の2×2のフレームワーク(中身は割愛)を、曖昧・ハッキリ×現象・気持ちと言葉を置き換えていたり、寸劇(?)の挿絵写真も多用されており、著者がさらにわかりやすさを追求しているのがわかる。

ほんのさわり程度ではあるが、ハーバード教育大学院のVisible thinking(思考の可視化)の紹介をするなど、ただ軽いだけでなく理論も学べる。

理論というと難しく考えてしまいそうだが、ほめた回数を数える、ルールを紙に貼る、など具体的で簡単なアクションに落とし込んでいて、さらに子供のように”できた”シールまで付録としてある。

近年の非行や若年鬱は、親や周りの大人が過干渉であることが多いというのも興味深い(P.148~)。子育ての目的・目標は何かと答えられる人はどれくらいいるのだろう。つい目先を見てあれもこれも気にしてしまいがちだが、長期的な視点、高い視野を持つように意識したいと、自戒した1冊だった。

以下、読後メモ。
バーバラ・フレドクリソンはポジティブ心理学において、人はポジティブさがネガティブさの3倍を超えると成功すると発見した。但し、ネガティブさも必須。ゼロだと暴走して失敗する。(P.102)

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