本: 2015年2月 Archives

ワイルド・ソウル〈下〉 (新潮文庫)ワイルド・ソウル〈下〉 (新潮文庫)
垣根 涼介

新潮社 2009-10-28
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上巻からの流れが一気にスピードアップ。復讐の計画自体は隠されたまま物語は進むため、読む者の(言葉は悪いが)期待感を高める。また、復讐を計画する野口ケイイチと女子アナ井上貴子の関係など人間模様もワクワクさせられる。

ネタバレとなるので詳細は控えるが、復讐という言葉ながら重さを感じさせず、最後まで爽快感でいっぱいだった。一方、少しスケールダウンというか、拍子抜けしたのは自分だけだろうか?
ワイルド・ソウル〈上〉 (新潮文庫)ワイルド・ソウル〈上〉 (新潮文庫)
垣根 涼介

新潮社 2009-10-28
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戦後の日本政府による稚拙な移住政策により、成功を夢見て移住した人々。約束された内容とは運電の差がある未開の地で、過酷な生活を強いられるさまが描かれる。そして時は流れ、現代へ。妻や兄弟を失いつつも成功した衛藤、同じ移住仲間の息子野口ケイイチなどとともに、日本政府への復讐を計画する。

重いテーマでありながら、壮大なスケール感と壮快なテンポで非常に読みやすい。
幸せはガンがくれた―心が治した12人の記録幸せはガンがくれた―心が治した12人の記録
川竹 文夫

創元社 1995-04
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本書を読んだ感想は、癌患者や家族に希望を与えてくれる一方、非常に危険性をはらむということ。登場する人物はいずれも癌を前向きに捉え、克服してきた人ばかり。治療するも放置するも、基本は本人の意志できめるべき事項だと思うが、それは正確な判断材料があっての話。どれだけの母数を確認されたのかしらないが、一部の例を出し、あたかもそれが王道のように書かれるのは、人々に誤ったシグナルを発することにならないだろうか---近藤誠先生のように。

全体的に、印象操作が強いと感じる。例えば、癌に対して気持ちが折れなかった人の方が生存率が高いと図示している箇所もあるが、一般的に患者は「否認」「怒り」「取引」「抑うつ」「受容」というステップを踏むと言われているのにその説明がなく、どの段階のことを言われているのかわからない。
「感染症パニック」を防げ!  リスク・コミュニケーション入門 (光文社新書)「感染症パニック」を防げ! リスク・コミュニケーション入門 (光文社新書)
岩田 健太郎

光文社 2014-11-13
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3.11の原発・放射能問題を筆頭に、最近ではデング熱やエボラなど、人々はリスクに対して印象で過度に恐れたり無視することが多々ある。著者は、正しくリスクを認識し、対処するように説く。

SFTSのように日本ではほとんど報道されないながら、対処方法がなく実際に死者も多数出ているなど、エボラよりもよっぽど恐れるべきことがあるなど、如何にリスクに対する考えが印象で左右されているか思い知る。一方、本社は副題にもあるとおり発信者側に向けて書かれたものなのだろう。聴講側として読んでいると、効果的なプレゼンの仕方など、ちょっと意図していない内容もあった。

以下、興味深かった点を備忘録がてら記載。

・1950年には、医学知識が倍になるのに50年かかりましたが、2020年には、これがたったの73日になっています。