本: 2014年9月 Archives

夢をかなえるゾウ 文庫版夢をかなえるゾウ 文庫版
水野敬也

飛鳥新社 2011-05-20
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ゾウの姿をし、関西弁を喋る神様ガネーシャ。自分を変えたいと望む主人公の前に現れ、1日1つの課題を出す。

課題は、「靴を磨く」「トイレ掃除をする」といった身の回りのことから始まり、「人の長所を盗む」「夢を楽しく想像する」など具体的なテクニックからマインド的なものまで様々。しかし、主人公に対し(また、読者に対しても)いくらこれらを知ったところで人は変わらない、どれも「過去の成功書に書いてある」とばっさり言う。秘伝でも何でも無いのだと。なぜか。

・何もしないから
・実行に移さないから
・経験に向かわないから

自己啓発本の類が役に立たない本質が、この本のは書かれている。そう、結局は本人のマインドの問題なのだと、そこまで踏み込んでくる。

自己啓発本の類なんだろうけれど、ガネーシャと主人公のベタな漫才がどこか憎めない、どくどくな世界観も楽しい。
ウルトラマラソン マンウルトラマラソン マン
ディーン・カーナゼス

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2012-02-16
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”この男、いったいぜんたいどうしてここまで走るのか?”
読みながら、読み終えて、すごすぎるの一言が何度思い浮かんだか。

46時間ノンストップで320kmを1人で走り抜いたディーン・カーナゼスの半生+ドキュメンタリー。陸上をやっていた学生時代を経て、普通のビジネスマンになってそこそこの成功を収めているも、あるとき人生の物足りなさから走り始める。

足のツメがはがれ、フラフラになりながら100kmマラソンを完走するも、車に戻って嘔吐、痙攣する凄まじさを記す。だが、その後にはあっさりと翌年も完走したと記載。次は50℃のデスバレー190kmレース。食パンがトーストになる酷暑(熱?)、途中でリタイヤするもこれまた翌年リベンジで完走を果たすとある。更には-40℃の南極でのフルマラソン。

そして最後に320km駅伝レース。当然ながら他の参加者はチーム戦なのだが、チーム”ディーン”、即ち彼だけは1人で走る。道中の困難さや過酷さもさることながら、金曜日の夜に走り始めて日曜日にゴール、そして月曜日には普通に出社して仕事するという。そしておきまりのように、翌年、またそれ以降も同じように完走したと、さらっと書いてあるのだから・・・もう笑うしかない(実際、話の中にはユーモアも多い)。

余談ながら、つい最近ハワイで見られる事象として知った「グリーン・フラッシュ(緑の炎)」について記載があった。フォーズバーからラッキーチャッキー・リバークロッシングに至る、太平洋で拝めるらしい。
答えは、箱から逃げ出すこと答えは、箱から逃げ出すこと
キャメル・ヤマモト

日経BP社 2013-12-19
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文系四大卒など特徴のない人が、今後のグローバル社会をどう生きればいいのか。同じコンサル業界出身の著者による「英語もできないノースキルの文系学生はどうすればいいのか?」のような話を想定していたのだが、予想をだいぶ異なった。

官僚からコンサルへ転身、活躍されてきた著者なのだが、本書はその体験談が多くあまり構造化されたストーリーではなかった。命題である”今後のグローバル社会をどう生きるか”に対しても、日常で周りの人間を無視して1人英語を使うなど、効果もKYな雰囲気になる懸念からもなかなかハードルが高そう。
米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方米海軍で屈指の潜水艦艦長による「最強組織」の作り方
L・デビッド・マルケ 花塚 恵

東洋経済新報社 2014-05-30
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落第状態だったロサンジェルス級原潜を、トップダウンの命令ではなく個々の主体性を重んじるという大凡軍隊には向かないと思われる手法で立て直した実話。

新たな艦に赴任した艦長が取り組んだのは、挨拶から始まり、主体性の重視や権限委譲、ミス防止ではなく理念の共有や技術の向上など、軍隊特有のものは一切なく、組織をリードするに当たって普遍的な事項ばかり。それもそのはず、コヴィー博士の「7つの習慣」や「Whyから始めよ!」等、著名なビジネス書を参考にしているのだから。リーダーだけでなく、担当者のレベルでも、どうプロアクティブに行動するかという点において参考になる。

できすぎと思える程の結果を残すわけだが、そこがまたサクセスストーリーの読み物として面白い。
仕事も家事も育児もうまくいく!  「働くパパ」の時間術仕事も家事も育児もうまくいく! 「働くパパ」の時間術
栗田 正行

日本実業出版社 2012-05-26
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家族だけでなく仕事や自己啓発など自身のことも含めてどうコントロールするか、本書はそんな問いに対する解の1つとなりうる。冒頭の”今、この本を手にしているあなたは、それだけで十分、すてきなパパです。だって、職場や家庭で忙しいにも関わらず、この本を読んでパパスキルを上げようとしているんですから。”からして、著者の人間性が垣間見える。教師という本職の通り、人(子供、生徒、そして想定される読者=パパ)の人生をよりよいものにしようとしているのだから。

内容は時間術に始まり、子育てのTipsやママとのコミュニケーションの重要性、自身の自己投資の必要性と方法など、幅広く含んでいる。そして書籍に至るまでに、種々のPDCAサイクルを回してきたのだろう、軽く書かれているものの、思慮深さを感じる。また、参考書籍や著者が利用するオーディオブック、お薦め文房具などアイテム類にも話は及び、肩肘張らずに楽しめる。
働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書)働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書)
駒崎 弘樹

筑摩書房 2009-05
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病児保育などで活躍されているNPO法人フローレンスの代表・駒崎弘樹氏による、長時間労働の改善に関する提言。今流で言うところの、ワークライフバランス本。

氏自身が片時もメールから目を離さないような長時間労働を実施していたそうだが、とあるアメリカの研修を受講したことで長時間労働に対して疑問を呈するようになる。それ以降、無理矢理に定時退社を敢行し、家族や自分の時間を取り戻していく様を綴る。書きっぷりはかなり砕けていて、肩肘張らずに読める(人によっては、軽いと感じるかも知れない)。
覆す力 (小学館新書)覆す力 (小学館新書)
森内 俊之

小学館 2014-02-03
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将棋を最後にやったのは小学生の頃だろうか、その程度のレベルなので、失礼ながら森内俊之氏を存じ上げなかった。羽生善治氏の同期で、名人・竜王などいくつものタイトルを取得されている。そんな実力を持ちながらも、圧倒的な存在、羽生氏が居ながら、どう勝ち抜くか(生き残るか)、その思考力、執念には学ぶことが多い。

1局で体重が2~3kg減ることもあるという将棋(脳は、全消費エネルギーの2割を使う箇所なので、これ自体は驚くことではないが)、もちろん対局中の思考についても常人の及ばない世界なのだろう。だが、本書はそうした対局の話よりは、負けたときの気持ちの持ち方、日頃の学習など、総合的な戦略、人生論をひしひしと感じる。もちろん、将棋が好きというのも大きい。しかし、好きだけではうまくいかない時にどうするか。

少しショックだったのが、将棋の世界でも全盛期は若い20後半~30前半とのこと。加齢と共に、衰えが出てくると知り、同じように「脳」を職にするものとしては・・・。
仕事に活きる禅の言葉仕事に活きる禅の言葉
島津清彦

サンマーク出版 2013-09-02
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禅とビジネスの融合はスティーブ・ジョブズを始め、欧米でも注目されている。本書はそんな禅の魅力や本質を、自身の経験(主に失敗から学んだ内容)を基に語る。

禅の言葉を平易な言葉で解説し、さらに自身の体験談を具体例としてされるので非常に分かりやすい。正直、禅の意味するところはそうなのかと疑問に感じるところもあることはある。しかし、利己主義に走らず、人として大切なモノを見つめ直すヒントが多い。
君に友だちはいらない君に友だちはいらない
瀧本 哲史

講談社 2013-11-13
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タイトルは過激だが、要は同調する友達ではなく、映画「七人の侍」や漫画「ワンピース」のように個々の力を寄せ合ってチームを編成する仲間が重要とのこと。

背景としては、グローバル化を掲げているが、それと共に知的産業の割合が増加したことも理由にある。即ち、肉体労働的な作業においては規模と強調性が比例的に生産性へ直結したのに対し、知的産業では異なった能力の組み合わせ次第で何十倍・何百倍もの価値あるイノベーションを生む。個々はそれぞれがリーダーシップを取る、余人に代えがたい存在になる必要であることを訴える。

煽るタイトルとは対照的に、至極まっとうな内容。これから社会にでる人はもちろん、今後を考える上で是非読んでおきたい1冊。
考える力 (イノベーションクラブBook)考える力 (イノベーションクラブBook)
イノベーションクラブ

ダイヤモンド社 2009-10-17
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「考える力」をつけるために、企業の研修として実施されている内容を書籍化したもの。そもそも「考える」とは何か、その定義に始まり、実際に「考える」ための問題を多々用意する。「考える」ための手段として”考えるクセをつける”、”なぜなぜ”や”3つにまとめる”など、実際に実施するための訓練シートも用意されている。

初歩向きだけありかなり簡易に書かれているが、研修の評価が高いと言うだけあり、なかなか身につく。子供の教育にも向いていると感じる。