本: 2011年8月 Archives

過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題
過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題大石 哲之

東洋経済新報社 2009-06-26
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ケース面接の過去問集。20問全てに、非常にわかりやすい解答例が掲載されている。

肝心の問題は前半10問がフェルミ推定系、後半10問がビジネスケース系の問題となる。前半は有名な「シカゴにピアノ調律師は何人くらいいますか?」問題など、とにかくMECEやピラミッド構造といった論理思考や計算力が求められる。後半は、フェルミ推定を使用した実際のビジネス戦略検討問題から、マイクロソフトの入社試験に出されたという「マンホールの蓋はなぜ丸いのでしょうか?」まで含まれる。

最近は図書館から借りる本ばかりであったが、久々に即決で購入した1冊。問題は20問と少し物足りないが、どれも良問ばかりで、とにかくのめり込んでしまうおもしろさだった。通勤時間など合間にも開こうという気になる手軽さがまたすばらしく、コンサルの面接試験対策はおろか、論理思考のトレーニングにもぜひぜひおすすめの1冊。
日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書)
日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書)浅川 芳裕

講談社 2010-02-19
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こういう客寄せタイトル的な本は中身が伴わないことが得てして多いのだが、本書はインパクトを狙いつつ、著者の主張と筋が通っており、納得感がある。(ネタバレ:肝心の5位は、農業GDP

”自給率”について、指標の中身、自給率の問題点、自給率と決別した海外(英国)の事例紹介と、如何に自給率が低くて問題でないか説く。具体的には、自給率は国産の肉でも海外の飼料で育った場合は自給率に換算されない、廃棄される分なども分母に含まれる、そして何より日本を始め先進国はカロリーを抑えようとしているのにカロリーを基に計算している、などなど。

また、民主党の戸別所得補償制度など選挙のための政策が日本のためになっていないばかりか日本の農業の発展を阻害している点、小麦、バター・チーズ、豚肉・・・関税などの統制が一部の利権のみで消費者に弊害をもたらしている点(2008年のバター品薄問題も一例にあげられている)など、非常に興味深いとともに無知の恐ろしさを感じる。

提言部分は仮説の域を出ず、少し弱く感じるが、新聞・ニュース等マスコミの報道する内容が一辺倒であると認識する上でも、選挙権を持つ者の必読書とも言える。

P.S.
折しも8/20 日経のプラス1で特集される(3面)。GDPベースの自給率などいいところまで掲載しているが、本書に比べると甘く、どこまで”自給率”が恣意的であることに気付けるか疑問が残る。


図解・感覚器の進化 (ブルーバックス)
図解・感覚器の進化 (ブルーバックス)岩堀 修明

講談社 2011-01-21
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珍しい、感覚器全般の専門書。人間だけでなく蚊やミミズ、魚に鯨、モグラ・・・様々な動物から、さらに時代の流れによる進化、及び退化まで、感覚器を考察する。”進化の逆戻りはない”ことから、1度陸に上がってからまた海に戻った鯨やいるかはどう進化したか、ミミズはどう感じるか、コウモリが暗いところでも飛ぶ仕組み、などなど、これほどまで感覚器を網羅的に扱った本は希であり、興味深い。

残念なのは(本書の内容ではなく)、いくら知識として得ても、それら動物がどう探知しているかまでの理解で、どのように感じているかは決して理解できないこと。これは欲張りすぎだろうか。。。
かぜの科学―もっとも身近な病の生態
かぜの科学―もっとも身近な病の生態ジェニファー アッカーマン Jennifer Ackerman

早川書房 2011-02
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もっとも身近な病、「風邪」。種々の研究はされど、未だ予防と完治の特効薬がない「風邪」。本書は、その風邪に対する様々な実験(中には、風邪の人のウィルスを鼻に塗りたくるなど考えるだけでおぞましい物まで!しかし、それらの被験者は後に良い思い出どころか、人生の友人・伴侶をそこで得ていたりするというからわからないものだ)や研究の歴史を通じて、風邪に対する理解を深める。

空気感染ではなく(インフルエンザは空気感染)接触感染、それも汚染された手で顔を触ることで伝染する、サプリメントやビタミンCは効果がない、など、なかなか興味深く、知らなかった、自分の誤った知識に気付かされることもいくつか出てくる。但し、後者については偽薬でも信じることで効いてしまうプラシーボ(ラテン語で「私は喜ぶだろう」という意味 P.199)効果もあり、難しいところ。

科学の本だが、愛情の類を否定するどころかその効能も認め、最後にはお母さんの風邪の食事レシピなども掲載しているのが、読む人を和ませる。
35歳からの「資格試験」勉強法
35歳からの「資格試験」勉強法山本 浩司

PHP研究所 2005-11-16
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早稲田セミナーの司法書士の講師ということで、必然的に資格試験の対象はその方面が多くなっている。そちらの分野に関係なくても、記憶へ残る勉強法と試験全般に言える心構えなどは、参考になる部分が多い。何より、苦痛な暗記問題を難なく簡略化、しかも忘れなくなる説明の仕方は必見。
何か試験勉強している人は自分の勉強方法の見直しに、読み物としてもおもしろいので単に息抜きに。