本: 2010年9月 Archives

人間の証明 (角川文庫)
人間の証明 (角川文庫)森村 誠一

角川書店 2004-05
売り上げランキング : 69881

おすすめ平均 star
star色褪せたボロボロの文庫本に
starすばらしい作品
star不朽の名作

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東京で謎の黒人が殺される事件を発端に、ニューヨークと東京、過去と現代が交錯していく推理小説。この種の展開はスケールを大きくすることで、どこか矛盾が目立つようになり興ざめするものだが、この本は見事に場所と時代の跨りを描いている。タイトルにもある「人間の証明」が最後に理解できる展開も、読後感が内容のやるせなさとは別にすがすがしい。娯楽小説として、非常に満足度高い1冊。
くまのプーさんはじめての英語絵じてん―親子でストーリーブック Pooh’s Honey Tree全編収録 (ディズニーイングリッシュ ディズニーの英語ディクショナリー)
くまのプーさんはじめての英語絵じてん―親子でストーリーブック Pooh’s Honey Tree全編収録 (ディズニーイングリッシュ ディズニーの英語ディクショナリー)吉田研作

学習研究社 2010-06-23
売り上げランキング : 184613

おすすめ平均 star
starプーさん好きのプーさんを原書で読むための辞書
starすっごく かわいい!
starくまのプーさんを読むための英語辞典

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プーさんを原書で読むために必要な単語を、絵付きで記す辞書。タイトルの通り、親子で楽しめる1冊。対象としては小学校入る辺りの子供だろうか。いろいろ絵付きで、また本に出てくる単語や例文を収録したCD付きで愉しく学べる。
子供が最初に手に取る辞書としては必要十分なのだが、欲を言うともう少し紙の質が良くても、また絵や付録をもう少し付けて幼児の興味や、興味の範囲を発展するようなことも考えてあるとなお良かった。
冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)
冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)辻 仁成

角川書店 2001-09
売り上げランキング : 23655

おすすめ平均 star
star順正がすきです
star一途に女性を想い続けた情熱の果てにある冷静
star気取ってる

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同じ物語を異なる主人公の目線で、異なる作者が書いた1冊。2冊を読んで全貌が見える作りで、こちらは男性側のストーリーとなる。過去を後悔しつつも、今を生きる主人公。ひょんなきっかけから過去の恋人の現状を知り・・・。
Rosso同様、Bluも切ない話が同居するのだが、こちらはどこか読後感がすがすがしい。前者がもやもやしているところが中心なのに対し、後者が一途と言うのもあるだろう。タイトルにある「冷静と情熱のあいだ」のとおり、情と自分の本心に対しどこまで正直に生きられるか、何が正解というわけではないが、読む人読む人それぞれにいろいろな思いがこみ上げるだろう、読んで損はない1冊(2冊)。
冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)
冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)江國 香織

角川書店 2001-09
売り上げランキング : 15125

おすすめ平均 star
star最高の恋愛「ファンタジー」
starなにかが足りない空虚さ
star映画の方が私は好き

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同じ物語を異なる主人公の目線で、異なる作者が書いた1冊。2冊を読んで全貌が見える作りで、こちらは女性側のストーリーとなる。何不自由ない生活をしているのに何かもやもやして過ごす主人公だが、その煮え切らない態度にフラストレーションがたまる(誤解のないように記すと、2冊を読み終えたとき、この辺も全てが繋がるように構成されており、本そのものを否定するものではない)。そしてその女性心理が理解できていないというのもあるだろうけれど、読み終えた後は何とも後味の悪い感じが残る。そういう意味でも順序的にはRossoから読む方がいい。
新潟少女監禁事件 密室の3364日 (朝日文庫)
新潟少女監禁事件 密室の3364日 (朝日文庫)松田 美智子

朝日新聞出版 2009-02-06
売り上げランキング : 34958

おすすめ平均 star
star綿密な取材を評価
star傍聴記
starジャンル分けすると何に区分されるのか

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当時9歳だった少女が拉致され、以後9年以上も監禁されていたというニュースが10年ほど前に明らかになった際には、非常に衝撃を受けたのを覚えている。被害者の心情は想像を絶する。

本書はその裁判の記録を事詳細に書き下している。一見、ルポタージュのようなのだが、所々に著者の感想が織り込まれていて、それが読む者にとってノイズ以外の何者でもない。もちろん、そうした心情は非常に理解できるものなのだが、得てしてそれが内容を薄っぺらいものにしてしまうのが非常に残念(あるいは、ルポではないのでは著者の主張が非常に少なく、結果、どっちつかずになっている)。
事実を知るには、非常に詳細な裁判記録を取られており貴重な1冊だが。
エイジ (朝日文庫)
エイジ (朝日文庫)重松 清

朝日新聞社 2001-07
売り上げランキング : 206606

おすすめ平均 star
star怖いぐらいリアル!!
star繰り返し出題されるだろう
star勉強になりました

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神戸児童連続殺傷事件を筆頭に、凶悪犯罪の低年齢化としてマスコミが騒いた後、そうした年代の中学生にスポットを当てたフィクション。

ごく普通の中学生である主人公のエイジ、彼のクラスメートが連続通り魔として逮捕されたことから少しずつ変化が起こる。大人をどこか冷めた目でみつつも、自らも大人への仲間入りが始まりいろいろ挫折を味わうなど人生思うようにいかず歯がゆい思いをする年頃、そうした中学生の気持ちを見事に表現している。エイジは主人公の名前であると共に、そうした年頃である中学生一般を表すAgeともかけている。

物語はエイジの心境に変化、通り魔として人を襲う黒い好奇心がうごめき始めるところは、読んでいる者にも緊張感が伝わってくる。
坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)
坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)司馬 遼太郎

文藝春秋 1999-01
売り上げランキング : 1202

おすすめ平均 star
star早く次を読みたくなります
star日露戦争前
starまずは手に取り読んでみるべし。

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ずっと読もう読もうと思っていたものの、シリーズ物であったことから後回しにしていた。NHKドラマ(昨年・今年・来年と3年がかりで)放映を気に読み始めるも、あっという間に読み終える。読む者をぐいぐいと惹きつけるその魅力は読んでこそ、納得。

現状に対する危機感とその現状打破をなしとげた人々は何を感じ、考え、どのように生きたか。自分含め、今の時代に足りない物は何か。1冊目はまだ序章ということで、主人公らもまだ素朴であり、楽天的(兄・好古除き)である。

2000年近く前のガリア戦記同様、ここでも
 文字を習わせ書を読ませると「俳句を作ったり歌をよんだりして商売に身をいれなくなる」 (P.25)
と主旨こそ違えど新しい文化を忌み嫌う考えがあるのが興味深い。
「やさしい」って、どういうこと?
「やさしい」って、どういうこと?アルボムッレ スマナサーラ Alubomulle Sumanasara

宝島社 2007-09
売り上げランキング : 6707

おすすめ平均 star
star『怪物くん』でも扱わなかった「やさしい」の意味
star腑に落ちました
star穏やかになります

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「やさしい」という、非常に主観的・曖昧な言葉を仏教の観点から説く。非常にわかりやすく、内容もシンプルなので1~2時間で読めてしまうが、内容は濃い。

そもそも、「やさしい」ということの真理を説明できる人はどのくらいいるだろうか。子供がほしがる分だけおもちゃ・おやつをあげる親は、子供から見たらその時は「やさしい」かもしれないが、世間一般に見たら「やさしい」とは言わないだろう。そこは誰でも理解できるが、それと同様のことが大人の間の話となると多くの人が理解していないことに気付かされる。

やさしくして欲しい、というのはエゴだと著者は言う。それを自覚した上で、やさしい社会、やさしい関係を作るにはどうすればいいか。解はなんのことはない、非常に簡単なことなのだが、自分も含め大人社会ではなかなかできていない。

考えさせられる1冊。
残念な人の思考法(日経プレミアシリーズ)
残念な人の思考法(日経プレミアシリーズ)山崎将志

日本経済新聞出版社 2010-04-09
売り上げランキング : 405

おすすめ平均 star
star残念な人が書いた、残念な内容の本
star本書自体が残念
star参考程度に

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非常に売れている本ということで購入してみたが、Amazonの書評の通り、見事に期待はずれな1冊だった(購入しただけに)。まずタイトルは非常にインパクトあるものの、それに対し解が提示されていない。前半はまだストーリー性もあったが、後半になるといろいろなエピソードを紹介するも、どんどん論点がぼやけてしまう。例えば「マイ割り箸を疑ってみる」という単元では身近な事象の様々を紹介して疑問を呈するが、思考トレーニングとしての題材と言うよりは著者が思ったことを羅列しただけという印象が強い。

主眼は面白いだけに、まさに残念な1冊であった。