本日の1冊: じゅうぶん豊かで、貧しい社会:理念なき資本主義の末路 (単行本)

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ロバート スキデルスキー エドワード スキデルスキー 村井 章子

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幸せと経済的豊かさはの関係は古くからの議論であるが、タイトルの通り充分に豊かになった先には何が正しいのかを問う。経済が成長していれば未来は今よりも豊かになることは自明であり、努力が即ち幸せに直結する。しかし成熟した資本主義経済では、がむしゃらにがんばらなくても不自由することはなく、むしろ努力したところで結果に繋がらない、閉塞感すらある。ゆとり世代という言葉が言われて久しいが、豊かさの定義を考えさせられる1冊。

経済学で有名なケインズだが、彼は経済成長によって効率的になることで労働時間は減少してゆくと予想していたことが興味深い。実際問題、労働時間は増えているのだが。エンデのモモではないのだが、何が人々を労働に駆り立てるのか、またその結果、失っているモノは何なのか。著者によれば、幸せに繋がる価値として健康、安定、尊敬、人格(自己確立)、自然との調和、友情、余暇を説く。

忙しい日々を過ごす時だからこそ、一言一言が心に染みて考えさせられる。一方、当たり前だが労働を軽視して経済的な自由がなければ、安定や健康、自己確立などは成立しないのも自明だろう。結局の所、ポートフォリオ的なバランスという事に落ち着くのだろう。

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